藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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2018年01月05日

  

未分類

サイトを移植した際に

なぜか昨年の4月に投稿した

「君の名は」 が消えていたようです。

 

まだ映画館で興業中に書いたものですで

日付は当時のままです。

 

2017.4.23.

日本のSFアニメ映画「君の名は」は
日本映画としての全世界興業収入で
首位に輝いています。

輸入映画も含めた国内興行収入としては、第四位。
第三位の「アナ雪」に僅差と迫ってはいますが
今の勢いのままだと、四位で終わりそうです。

その上にいるのは、
「千と千尋」、「タイタニック」

5位以下には、「ハリポタ 賢者の石」をはじめ、
ハリポタ、スターウォーズ、ターミネーター
ジュラシックパークなど、
メジャーなシリーズ物の各作品が
並んでいます。

世界首位は、それだけで立派です。

しかも、上位を占める作品のほとんどが
巨費を投じ、大規模なプロモーションを
かけたものばかりです。

大ヒットする前提で、資金を投入し、回収された
作品だけが上位に並んでいる中で、
「君の名は」は、ここまで当る前提で
プロモートされたものではなく、
静かに上映が始まり
ジリジリと興業収入を伸ばしながら、
メジャークラス入りしてから、
コラボ企画が増えてきたものです。

この作品を悪く言う評論は稀にしか見ませんが
ここまでヒットしているものを悪くは言えない
というより、ケチをつけるのは実際に難しい
出来栄えだから、ではないでしょうか。
一方、なぜ、この作品がここまでヒットしたのか
様々な方々が、色々とおっしゃっておられますが
絵がきれい、とか、声優の声が素晴らしい、
音楽がいい、若い男女の軽妙な掛け合い、、、
などなど、まあ、それはそうですけど、という
無難なものが並びます。
パワープロモートしないと上位に入れない実態の中で、
なぜ、この作品が、ここまで大ヒットしたのか
端的にど真ん中直球という感じの評論は
みかけません。

いろんな要素が重ならないと、ここまでのヒットには
ならない、それはそうでしょうが、
「真ん中」にあるものは
何なのでしょうか。
この映画、極力、先入観をもたずに
予告動画以外は、何もみず、映画をみてから
小説を読みました。

上映終了後の観客(自分もそうですが)の
反応に興味があったのですが、
びっしり満席だったのに
最初は、案外シーン、、、 として鎮まりかえり、
動く人が少なく、そろそろ立ち上がり
感動している感じは伝わってくるのですが
たまに口を開く人は、あたりさわりのないことを
言っているだけ。
感動はしたのだけど、言葉がでてこない
そういう感じでした。

今回は、一切、「科学的」という視点を無視します。
SF映画、空想科学映画ですから、科学的整合性を
求めてもしょうがないのですが、なぜ売れるか
なんて、肝心なことは科学的に分析できません。
この映画を観た人は
そこに真実を観た
だからこそ感動し、
ただ、観たものを整理できず、
また観に行った。
実際、リピーターが
初期の興行成績を押し上げたんだ
そうですが、この心をうつものは
なんなのか、何度も足を運ぶ人が
増えていったのではないでしょうか。
初めてきたところなのに
この懐かしさはナニ?

初めて見た瞬間、ピンときた人
何がどうピンときたのかわからないけど
とにかく、この人だ! とピンときた人

なぜこういう反応をするのか
人と人は、なぜ出会い
出会った瞬間、なぜ、運命の出会いと
感じることがあるのか

人生の重要な要素であり
これが、歴史上の重要人物ともなると
歴史を紡ぐ原動力となる人と人の出会い

偶然の出会いに人は弱いといいますが
要するに、人と人の縁、土地の縁
人は「縁」に弱く、縁のある人と
偶然、会ったことを喜びます。

この映画は、出会いは、偶然に思えるだけで、
偶然ではない連綿とした働きかけがある
と言ってるわけです。

それは、1000年、2000年を超えて
紡がれていくというスケールをもち
人は、意識としては忘れていくものの
魂が人を導く、というストーリーです。

映画「マトリックス」は、意識の世界と
物質の世界の関係を表わしており、
あの一見、荒唐無稽な世界観は、
最新科学が語る、「物質」と「意識による観察」の
関係をベースにつくられています。

現代人が当たり前に思ってきた世界は
実は、幻想に近いもので、目に見える世界は
実は、実態とはかけ離れたもの、、、
最新科学は、従来の常識ではどうにも説明のできない
世界観を示していますが、これを映画にすると
こんな荒唐無稽な話があるわけないと、
めくじら立てて、文句を言う人も少なく、
まあ映画の中の世界だから
と一般に受け容れられていきます。

映画「マトリックス」は、もっとも科学的な映画の
一つ、と考えてきましたが、あくまで「意識」中心です。
「精神」「魂」はでてこないのです。
精神も魂も観察できませんので、
なかなか科学の研究対象に
なりません。
「君の名」は、魂の世界を、かなり細部に亘り
描写し、余計なことは、極力、排除して
つくられた、という風に見えます。

最低限のキャラクターだけを登場させ
余計な親戚などは省き
最低限のセリフ以外は省く

徹底して余計を省き
軽妙なリズムを生み出す
よく、主人公二人の「体の入れ替わり」
と書いてあるのですが
体は入れ替わっていません。

主人公の体は元のままです。
「中身が入れ替わる」と
書いてある評論はあります。

中身が入れ替わるというと、臓器移植みたいですが
内臓を含め、肉体はそのままで、「人格」が
入れ替わっています。
では、記憶はどうか、周囲の人との関係は
社会の中での位置は、体の動きは、
あらゆる記憶が人格ごと入れ替わっているのか
というと、そうでもない。
記憶はどこに宿るのか、主人公が
探求するシーンが重要な要素を並べています。

意識が如何に曖昧なものか
意識の世界の記憶がいかに不確かなものかを
主人公の二人は経験するのですが
では、文字として記録を残そうとし
そして、その文字も消えていき
あるいは書き換えられていきます。
当初、入れ替わっている状態が
夢の中と思い始めた主人公の二人は、
多少の矛盾があっても、案外、気にせず、
夢の中と思っている物語が進みます。
実際には、3年もの時差があったのに
お互い、3年もタイムワープしていることに
気付かないというのは、この作品の中で
矛盾点ともとれますが、夢の世界って
そういうものです。
冷静に考えれば、矛盾していることでも
案外、気にしないで、物語が進んでいく。

実は、私たちの現実の世界でも、肝心なことの
記憶が次々に消え、自分がなぜ、今、
こういう行動をとっているのか
なぜ、そういう行動をとる衝動が起こるのかは
わからなくなっています。
本人は意識もしない本人特有の行動。
なぜそうするようになったかは
忘れているのです。

これこそ現代人のごく普通の日常的行動です。

結構、大事なことを忘れているのです。
自分の行動を決める、衝動を起こすもの
ほんとは記憶にあったはずなのですが
意識レベルでは覚えていないのです。

初めて来たところなのに
なぜこんなに懐かしいのか。
初めてきたと思っているだけで
来た記憶があるから懐かしいのです。

身の内にあり、行動を促すものを自覚せず
意識にのぼる記憶だけで自分の行動や
人や場所との出会い、縁を振り返ると
ただ不思議、偶然、ということになります。

「入れ替わり」によって、描かれているのは
男女の違いだけではなく、自分自身の身の内に
あるのに、普段、自覚していない魂の叫びです。

私も何度も死ぬ手前まではいってますので
どうしようもない状況で
必死に生きようとし、生き延びる途を探す時、
ひごろ忘れている身の内の声に
生きる方向を見出してきました。

この映画で、ひとつ、ひっかかるとすれば
曲の歌詞の中に、「前世」というのがでてきます。
私自身が経験してきた身の内なる声は前世ではありません。
1200年の時を超えて、
彗星の破片が再び落下してくることを後世に伝え、
悲劇を避けようとする、「働きかけ」があり
人々も、意識のレベルの記憶は、曖昧で、すぐに消えていく
ことを承知し、それでも後世に伝えるものが伝わるよう
「型」を伝え、伝統を守ってきました。
あのどうみても、普通でない地形に暮らす人々が
学者の研究に関する記事を見つけるまで
自分たちの祖先が暮らす村を壊滅させる
彗星の破片がかつて落下したことさえ、
わからない状態で生きていたわけです。
そして、なんで、こんな伝統的儀式をやるのか
ばかばかしく思う人が多い中、
その伝統の中で、女と男の遭いたい気持ちが
状況を動かし、歴史を変え、人々を救う
というストーリーです。

前座で、女と男の違いを際立たさせるために
思春期の男女の入れ替わりを設定したという評論が多い
ようですが、女と男の縁と、恋が状況を変革する
原動力であることを表わしているのでしょう。

エンディングが夢と希望に満ち
現実の世界で、やっと二人が出会い
新しい人生を始める「ときめき」で
終わるのも、この映画の人気を
押し上げる一因になっているでしょう。
意識、記憶、言葉、名前、魂、精神、縁、伝統、歴史

基本的なエッセンスをシンプルに短い作品で
表わした全世界興業収益首位に相応しい
日本を代表する映画と考えます。
あんまり具体的には書きませんでしたが
まあ、映画をみてください。
もうあんまり上映してませんが。
観た人も、また観てください。

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