藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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2010年10月21日

  

未分類

2010.10.20.

 

 

そもそも培地とは何ぞや?

というお声を多くの方からいただいております。

 

確かに、説明会の折にも、「培地」という言葉を

発すると、「うん?」というお顔をされる方が

いらっしゃいます。

 

英語で medium と言っても、ホゥワァット? 

という顔をされます。 ええと、culture medium !

と言い直すと、Aha! とピンとくる人もいれば、

Ahnn? と更に怪訝さを深める方もいらっしゃいます。

 

 

NK細胞培養の特殊性について話をしようとすると

必ず、それ以前の問題でつっかかるのです。

タイトルはNK細胞の困難さですが、

しばらく、培地なるものについて、

方々を散歩してみようと思います。< /span>

 

 

すべての生命体は、水がなければ生きていけません。

 

菌類の中には、水がなくても、トレハロースという

糖の一種が作り出す擬似的な水分子構造を使って、

長期間、生命を維持する現象が知られていますが、

この場合、活動はできません。

休眠しているようなものです。

 

ウイルスも水なしで、平気ですが、ウイルスは

生命体とは考えません。

(生命体だとする考え方もあります)

試験管で合成することも可能です。

インフルエンザウイルスH5N1型でヒトに感染する

タイプも、とっくに合成されています。

米国政府は、もちろん、ワクチンなど、対応策を

研究する目的で合成しました、と発表しています。

 

人間が作り出した生命は未だひとつもありません。

ウイルスは、細胞内で活動する時だけ、生命体のように

振る舞いますが、基本的に、化学合成可能な物質と

みなされています。

 

ちなみに、このウイルスであっても、活動するには

水が不可欠です。

 

 

基本的に、生命活動に水は不可欠のものです。

 

 

培地というのは、生命体が活動するのに必要な

水を保持し、かつ、水以外に、生命体が必要と

する物質を含んだもの、ということになります。

 

温度や光も重要ですが、これらは培地というよりも、

培地のおかれる環境、ということになります。

また、炭酸ガスや酸素ガスの濃度、なども重要です。

 

 

さて、培地に含まれる成分や、そもそも培地が

液体なのか、固体なのか、中間的なものなのか、

液体なんだけど、ビーズが浮いている、、、 などなど

培地にも種類がたくさんあるわけです。

これは、培養する生命体の性質や、何を目的に

培養するのか、によって、変わってくるものです。

 

一般に、単細胞生物、普段から単独でも一般自然環境で

生きている細菌類などは、培地の成分も簡単で、かなり

適当でかまいません。 いい加減でもいいのです。

独立栄養生物たる植物となると、もっと簡単です。

生きるのに必要なものは、大抵、自分で

つくってしまうからです。

ところが、動物、特に人間様の細胞を、試験管の中で

培養するのは大変です。 

 

普段、過保護にされているからです。

 

数十兆個もの細胞がお互いに影響し合い、

そこへ更に、数十兆個か、百兆個を超える細菌が

一緒に生きていて、全体として一つのシステムを

つくっているのですから、ポツンと一つだけ

細胞を外部に取り出すと、相当、細かい環境配慮を

しない限り、生きてはいけないのです。

 

(続く)

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