藤井真則のブログ

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TOP > がん組織には免疫細胞が少なからずよく集まります

2018年03月05日

  

がん, 免疫

2018.3.5.z

 

 

 

がん組織に免疫細胞が少ない理由が

解明されたんですかという

問い合わせがありましたが

それはある研究成果の発表であって

それ自体はいいのですが

研究成果の解釈や意味を

メディアが過剰に報道したものです

とお答えしました。

 

人間のがん組織には免疫細胞が

少なからず存在することがあります。

時と場合とところにより

状況は様々ですが。

 

たとえばANK療法の点滴後に

PET画像を取ると腫瘍周辺に

NK細胞が殺到しており

著しい集積が見られます。

 

もちろん通常は進行がん患者さんの

PET-CT画像を取っても

CT画像上の腫瘍よりも周辺部分に

強烈な免疫細胞の集積がPET上に

みられるということはありません。

 

 

そもそも体内の腫瘍は

がんによるものであっても

がん以外が原因のものであっても

基本的に免疫抑制をかけていないと

たちどころに免疫細胞によって

排除されます。

 

寄生虫や、ある種のウイルス

がん細胞などは免疫抑制信号を

発信する免疫細胞を呼び寄せたりして

腫瘍の防衛策を図ります。

 

免疫細胞が激しく腫瘍組織を攻撃する場合

周囲から攻撃することもあれば

腫瘍の内部から壊死を起こしていくこともあります。

腫瘍周辺一帯という風にみれば

腫瘍に免疫細胞が殺到している状態になりますが

腫瘍の内部に浸潤するかどうかは

決定的な意味をもちません。

腫瘍細胞を傷害するスピードが

速いかどうかが重要です。

 

 

最近の報道ではがん組織には免疫細胞が少ない

というタイトルのものがありましたが

あくまで「マウス」による実験とあります。

 

これはもう人間とは別世界の話なので

あくまで研究のための研究です。

これと治療を直結するのは早計です。

 

 

人間の場合は患者さん本人のがん細胞が

本人の免疫抑制系の免疫細胞を

呼び寄せるわけですが

マウスにしろラットにしろ、ネズミの場合は

通常はがんになりませんのでヒトのがん細胞を

植えて実験します。

すると本人の細胞同士のような会話が

同じように成り立つと考える方が無理があります。

いきなり移植すると異物として直ちにネズミ免疫細胞に

よって排除されますので、ネズミ側の免疫システムを

弱めておく細工が施されています。

 

この手の実験系で問題なのは何といっても

単なる異物に過ぎない「種が異なる細胞」を移植して

それをあたかも患者本人の細胞同士である

本人のがん細胞と本人の免疫細胞の話に

よくメディアが結び付けてしまうことです。

また、滅多にがんにならないネズミの場合は

あまりお仕事がないからなのか

ネズミNK細胞はヒトNK細胞よりも

活性が低いのです。

人間の体内とは状況がまる

違うのです。

そうはいっても人間で実験するわけには

いきませんので、研究者がマウスやラットを

使うのはしょうがないのです。

 

 

ネズミの体内に放り込まれたヒトがん細胞は

言葉が通じないのか、

免疫抑制系のネズミ免疫細胞を

うまく呼び寄せることがでないのか

そもそも異物として目立ちすぎるために

免疫抑制をかける間もないのか

あっという間に排除されてしまうため

予めネズミの免疫システムに

機能障害を起こしておくわけですが

どのような障害をどの程度おこしておくかによって

ヒトがん細胞が生き延びたり、あるいは

活発に浸潤したりと、予後がまるで違ってきます。

遠隔転移を起こすには相当なダメージを

ネズミの免疫システムに与えておく必要があります。

 

こうした特殊な環境下での実験ですから

そこでみつけた免疫抑制や免疫刺激に関連する

物質なり遺伝子なりを研究成果として発表するのは

研究者としては当然のことですが

あくまでヒトの体内で起こっていることを

今後、調べていくためのきっかけになるのか

どうか、これから検証していく、

ということになります。

 

 

なお、免疫治療や免疫療法との

関連で言えば、「単純な話ではない」

ということです。

 

 

 

免疫療法といっても

キノコを食べる話から

免疫細胞療法

遺伝子改変を伴う免疫細胞療法

NK細胞の活性を高める分子標的薬

免疫抑制信号をブロックする

免疫チェックポイント阻害薬、、、、

他にもいくつもの種類があり

各々の種類に更に多くの手法や薬剤が

あります。

 

これを一言で免疫療法と言ってしまう

風潮が蔓延しており、何を言っているのか

ごちゃごちゃになっています。

 

NK細胞に関して言えば

高度に活性化された野生型のNK細胞で

あれば、相手ががが細胞である限り

活発に攻撃します。

腫瘍に免疫抑制がかかっているのは

当たり前。

それを乗り越えて攻撃するだけの

戦力を整えれば腫瘍は縮小から消滅へ向かい

戦力的に劣勢であれば腫瘍は増大します。

あくまで戦力のバランス次第ということです。

がん細胞がもつ遺伝子がどうのこうの

それは関係ありません。

 

T細胞の場合は、個々のT細胞ごとに

標的認識の偏りが非常に大きいので

様々な影響を被ります。

先ほどのマウスを使った実験というのも

異種であるヒトがん細胞を植えた限りは

まずT細胞の挙動を見ているということになります。

 

免疫療法が効果を発揮しない場合と

メディアが言う時の免疫療法というのは

免疫チェックポイント阻害薬のことを

指すことが多いです。

このタイプの薬は多くの部位のがん種に

ほとんど効果がありません。

それはそもそも薬剤の標的物質を

発現するがん種が限られているから

当然でしょう、と

まずは当たり前の理由が考えられます。

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