藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

TOP > オプジーボなどT細胞を動員する免疫治療は自己免疫疾患を招く

2017年07月18日

  

がん, 免疫

獲得免疫は、正常細胞も攻撃するという問題をはらんでいます。

 

獲得免疫系に属するT細胞も正常細胞を攻撃するためT細胞を漠然と活性化する免疫治療は自己免疫疾患を発症するリスクがあります。

 

そういうこともあるのでANK療法と併用して実施されるCTL療法は、標的がん細胞を傷害したCTLもしくは、最低、腫瘍組織に集積したCTL集団を選択的に増殖させているのです。

やみくもにT細胞を増やすのではなく標的がん細胞にフィットするものだけ増やしているのです。NK細胞の場合は活性を高めればすべてが戦力になりますが、T細胞の場合はほとんどががん細胞に反応しませんので、数リットルの血液中から集めた膨大なT細胞の中からほんの数百万分の1とか、ごくわずかに含まれるがん細胞に反応するT細胞を選択的に増殖させる必要があります。 基本的に大多数のT細胞はがん細胞に反応しないのです。

 

 

一方、自然免疫は、正常細胞を原則、攻撃しません。

また、他人の正常細胞も攻撃しません。

免疫治療の副作用としてイメージされるものとは、あまり関係ない、ということはそれほど知られていないようです。

 

NK細胞は典型的な自然免疫に属する細胞です。

 

NK細胞は、正常細胞を攻撃したり他人の正常細胞を攻撃したりすることは原則ないのです。

 

 

 

さて、日本では、よく 「体にやさしい免疫治療」 という言い方をします。

 

私どもの昔の資料にもこの言葉は使われていました。

 

抗がん剤や放射線よりは遥かにやさしいのですが日本国内で実施されるANK療法以外の免疫細胞療法は

 

「ほぼ何の反応もない」

 

のに対して、ANK療法は40度Cの熱がでる人がいる、などやさしい治療なのか、というご意見もいただきました。

 

点滴後の一過性の反応を除けばあとあと残る副作用はなくむしろ、抗がん剤の副作用が緩和していく傾向があるのですから、「やさしい」が間違っているとは思えません。

とはいえ、他の免疫細胞療法があまりにも無反応なので、同じものではないことをはっきりさせるためにも「やさしい」という表現は使わなくなっています。

 

 

 

免疫にまつわる医療の歴史は

 

「生易しいものではありません」

 

古代、天然痘による民族全滅を回避するため患者の膿などを、刃物で植え付ける「人痘」が行われていましたが当然、天然痘にかかって亡くなるリスクもあります。 多くが命を落としても何人かが生き延びれば、生き延びた者は二度と天然痘にかからない。 民族絶滅を回避できるわけです。

 

ワクチンとは、本来、民族全体の救済を目的とするもので、個人の犠牲は全く考慮しない発想からうまれています。

 

近代に入り、個人救済の観念が広まりワクチン接種による副作用を抑える努力が重ねられ、その結果、新しく開発されたワクチンほど、副作用を減らす見返りに肝心の予防効果を失ってきました。

 

 

がん免疫療法も、薬やワクチンなど、物質を投与する限り、がんより危険な刺激でなければ効果はなく、コーリーの毒を用いた強制感染治療により、がんが消える人もいれば激甚な急性感染症で、命が消える人もいらっしゃいました。

 

 

免疫治療というのは、世界の歴史の中では「すさまじいもの」 というイメージなのです。

 

米国法では、50リットルの体外循環血液からNK細胞をかきあつめ、高度に活性化してから体内に戻したわけですが、ここまで本気にならないと免疫細胞療法は、効果を期待できないものです。

 

ANK療法は、一桁少ない採血量から、米国では嫌われる職人芸の培養技術で、米国法を上回る

 

NK細胞数 x NK活性 = 戦力

 

を実現したのですが、これを1クール分まとめて一度に投与するとやさしい、とか、生易しいを通り越して死のリスクを伴う強すぎる治療になります。

 

そこで12分割して、週2回ずつ投与にしたのはコーリーの毒に相当する危険なレベルの治療をハイピッチな分割投与により、安全に実施でき、かつ効果とバランスをとれるようにしたのです。

 

 

さて、ここまでは、概ね会社のHP本体にも書いてありますが、どうも、世の中、大きな誤解があるように感じております。

 

 

免疫治療 = 自己免疫疾患のリスク

 

 

骨髄移植をすると、他人同士の免疫細胞が決闘を始めることがあります。

多少は、やってくれた方が、異常細胞も排除されるので、治療効果にプラスになるのですがやり過ぎるとひどい合併症を来します。

 

臓器移植では、せっかく、他人の臓器をもらったのに、わざわざこれを排除せんと攻撃をかける免疫細胞がいます。

 

ウイルス性肝炎は、ウイルスが何かをしたわけではなく、ウイルス自体はおとなしくしているのですが、ウイルス感染細胞を免疫細胞が攻撃することで、肝炎になります。

 

免疫チェックポイント阻害薬を投与すると正常組織も攻撃を受け、死に至る重い自己免疫疾患を高率で発症します。

 

 

 

こうした事例をみていくと免疫を使った治療は治療効果と、自身の正常細胞も攻撃される副作用の鬩ぎ合い、という風に見えてしまいます。

 

 

 

多くの人が、ご存じないように感じるのは、

 

自己免疫疾患は獲得免疫の暴走なのであって、自然免疫は、一般に自己免疫疾患を起こさない、そもそも、他人の細胞と仲良くしている、ということです。

 

むしろ、一般に自己免疫疾患の患者さんは自然免疫が低下しています。

 

リューマチの患者さんが、がんになりANK療法を受けられましたが、それまで続けていたステロイド治療を中断する必要があったため、がん治療の最中に、リューマチが悪化する懸念がありました。

ところが、リューマチは進行せず、がんは消滅し、その後、変形した組織は戻りませんが、リューマチの進行はステロイドを投与しなくても止まったままです。

 

リューマチの治療としてANK療法を実施することはできません。

 

あくまで、リューマチとがんと両方にかかってしまった患者さんの、がん治療として行ったものです。

そのため、症例はほとんどありませんが、ポツポツと様々な自己免疫疾患+がん 患者さんを治療した実績があり、シューングレン症候群の患者さん1例以外は、自己免疫疾患の進行もとまっています。

 

 

T細胞の中でも、体当たりで、標的細胞を攻撃するキラーT細胞は、生まれた時点では、大半が正常細胞を攻撃します。

 

概ね、胸腺で仲間殺しのキラーT細胞(CTLともいいます)は殺されている「はず」なのですが、実際には、仲間を殺してしまうCTLが相当数、生き延びます。

 

オプジーボなどの、免疫チェックポイント阻害薬は非特異的に、つまり、どういうCTLかということは一切、考えないで、漠然とCTLを活性化するようです。

これでは、切れ味の割に、正常細胞が攻撃されて自己免疫疾患を起こすのは当然の結末ということになります。

 

 

世の中に流布されている情報の大半が

 

獲得免疫は精緻なシステム 

自然免疫はかなりアバウトなもの、、、

 

というとんでもない間違いに基くものです。

 

一般に、自然免疫は、長い生命の歴史の中で遭遇するとわかっている相手の素性を事前に精通しており、精緻なシステムで正確に認識します。

 

獲得免疫にも、同様の仕組みはあるのですが原則、自然免疫の標的リストに載っていないものを含むありとあらゆるこの世に存在し得る物を想定して、ランダムな構造体を認識する仕組みになっており、いざ、実働となると結構、誤爆をやってしまいます。

 

 

 

がん治療には、がんという標的を正確に認識し正常細胞を攻撃しないNK細胞、がんを退治するために生まれてくる細胞(他のこともしますが)を用いる。

 

この王道からはずれると、免疫治療であれ標準治療であれ、がん細胞以外の正常細胞まで巻き添えにし、しかも、がん細胞を撃ち漏らすので進行がん患者さんの完治など、望むべくもないのです。

 

 

 

>>全投稿記事一覧を見る