藤井真則のブログ

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2017年11月30日

  

がん, 免疫

2017.11.30.

 

 

 

NK細胞に関して

こんなニュースをみた

こんな発表をみた

NK細胞が、がん細胞を

傷害しなくなるメカニズムに

関する研究だけど

ANK陣営はどう考えるのか、、、、

 

というご質問をいただくことが

結構あります。

 

 

 

ほとんどが、マウスのNK細胞を用いた実験結果の

ことをおっしゃっておられるか、セルライン化された

特殊なNK細胞のことをおっしゃってられるのですが

今回は、マウスのNK細胞について。

 

 

たとえば一時、ニュースに流れたこんな話がありました。

 

 

NK細胞が腫瘍細胞を攻撃する際に

腫瘍細胞表面にあるNKG2DLという物質を

認識するが、攻撃の際に、標的細胞にあった

NKG2DLを取り込んでしまい、今度は

自分が、がん細胞と間違われて周囲の

仲間のNK細胞に攻撃され、アポトーシスを

起こす現象をみつけた、、、、

 

 

というものがあります。

 

 

 

人間の野生型、つまり人の体内から

とりだしたばかりのNK細胞集団を

強く刺激して活性化した場合は

このような面倒な現象はみられません。

 

実際に患者さんから採りだしたNK細胞1個あたり

100個を超えるがん細胞が周囲にいたケースで

がん細胞を全滅させた上、NK細胞は無事という

こともありました。

 

NK細胞にとって最適化された培養環境であれば

NK細胞が、がん細胞と闘ってアポトーシスを

起こすということはまずありません。

 

培養環境がずれていると、高度に活性化された

NK細胞は圧倒的な攻撃力がアダとなって

容易にアポトーシスを起こしてしまいます。

 

 

当然ながら、刺激をかけるのをやめれば

NK細胞の活性は下がります。

 

 

さてマウスにもNK細胞はいるのですが

ヒトのNK細胞よりも遥かに活性が低いです。

 

単純に比較することはできませんが

ざっくりでいうと、一桁レベルで

活性が低いです。

 

 

さきほどのNKG2DLをとり込んでしまう話も

マウスNK細胞が標的がん細胞を傷害するのに

「時間」単位の時間がかかります。

その間、べたべたと張り付いて戦っているわけです。

 

ヒトNK細胞、それも野生型を強く刺激した場合は

もう瞬殺レベルです。 いつまでもべたべたやってないので

標的細胞の物質をかぶってしまうということが

はてあるのかどうか。 ま、あってもなくても

仲間のNK細胞に攻撃されるなどみたこともないので

言われているような現象は起こらない

ということです。

 

 

マウスのNK細胞ですから

傷害活性を測定するには

マウスのがん細胞を使う必要があり

ヒトのNK細胞の活性を測定するには

ヒトのがん細胞を使う必要があります。

 

同じ細胞で比較するということはできませんし

やっても何を測定したのか意味がわからなくなります。

 

 

じゃ、ネコのがん細胞を標的にマウスとヒトのNK細胞の

攻撃力を比較すれば、どうなのか。

 

ますます訳がわからなくなります。

 

 

 

ということで、あくまで

 

ヒトNK vs ヒトがん細胞

マウスNK vs マウスがん細胞

 

で比較したもので、しかもマウスのがん細胞というのは

非常に珍しいものですから、ものすごく変わったがん細胞を

実験に使ってしまっている可能性があります。

 

 

こういった背景があり、あくまでおおよその話しかできないのですが

それにしてもマウスとヒトではNK細胞の攻撃力には劇的な差がある

ということです。 誰がどうみても、あまりにも違うほど違う

というレベルで大きな差異がある、ということです。

 

 

 

なぜか。。。。

 

 

マウスにはNK-T細胞が多いからという説が一時ブームに

なりましたが、どうもそういう訳でもないようです。

 

 

 

おそらく野生のネズミはせいぜい1年ほどしか

生きてませんので、がんになるより寿命の方が

先に尽きてしまうのでしょう。

 

だとしたら、NK細胞はあまり必要ない、すくなくとも

がん退治の重要性は何十年、あるいは100年以上も生きる

人間に比べたらはるかに低い、と考えられます。

 

 

もちろん、マウスにヒトのがん細胞を放り込むと

大騒ぎになります。

人間の細胞が入ってきたのですから

がん細胞とか正常細胞とかそんなことは

どうでもよく、種が違うものが入ってきたのですから

当然ながら、異物に反応するT細胞が

猛烈に迎撃します。

 

こういうのをみているとまるでT細胞が

強力にがん細胞を傷害すると思ってしまう

研究者もでてくるわけですが

人間の体内に本人のがん細胞に対して

T細胞はそれほど反応しませんし

NK細胞の攻撃力は圧倒的です。

 

 

さて、元々マウスのNK細胞は活性が低い上に

実験に使われるNK細胞は特殊な条件下で

選別を受けたものをクローン培養したもの

つまりコピー培養したものです。

 

ヒトであれ、マウスであれ、研究用に特殊な

選別を受けてしまうと、がん細胞を傷害する

能力が落ちてしまいます。

 

特に、あるタイプのがん細胞は攻撃しない

といったケースが目につくようになります。

 

NK細胞が、がん細胞を認識する時に

目印にする標的物質は数十種類もあり

野生型のNK細胞であれば、どんながん細胞でも

認識しますが、研究用のセルライン化された

NK細胞の場合は、センサーの種類も量も

少なくなっています。 これはヒトでもマウスでも

同じことです。

 

先述のNKG2DLというのは標的物質の一つでは

ありますが、正常細胞にも発現するものであり

また、がん細胞が発現する標的物質で、NK細胞が

認識するもの数十種類のうちの一つに過ぎません。

 

たった一種類の物質があるなしで、がん細胞と正常細胞を

区別できるなら、たとえばNKG2DLがあるかないか

だけで、がん細胞かどうかわかるくらいならば

NKG2DLを標的とする分子標的薬をつくれば

がん特効薬になるはずですが、実際にそんな薬は

つくれないのです。 NK細胞の特徴は数十種類の

物質を組み合わせて複合的な認識メカニズムを作動

させていることです。

 

 

 

治療に使われる野生型のヒトNK細胞とは

かけはなれた特殊な選別され、クローン培養された

マウスNK細胞で実験するのは自由ですし

研究のための研究としてはいいのですが

治療の参考にはなりません。

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