藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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2018年10月31日

  

がん, 免疫

がん細胞特異抗原: がん細胞には必ず存在し、正常細胞には存在しない特異物質は存在しない。

 

概ね正しいのですが例外「的」なものはあります。

 

 

細胞表面には糖鎖が突出しており、外から細胞に近づくと細胞は鎖質が複雑な枝サンゴの様に突き出しているものに見えます。ペプチドや脂質はあまり見えません。細胞認識には糖質が重要な機能を果たします。 

 

ヒト正常細胞では糖鎖の先端に特殊な9炭糖(ブドウ糖などは炭素が6個ですが、9個ある少し大型の糖)で、しかも窒素を含むものがよくついています。特にN-アセチルノイラミン酸という糖がよくついています。 ちなみにインフルエンザウイルスはこの糖に電気的にトラップされて感染細胞から離れることができないので自前のN-アセチルノイラミニダーゼという酵素をもち、この糖を切ってから脱出します。そこでこの酵素を阻害することで薬効を狙ったのがタミフルです。

 

細胞同士や細胞とウイルスの間の接触や認識などに大変重要な役割を果たす糖で神経線維には特に大量に存在し、電気を伝える神経線維の電気的性質を決定する機能もあります。

 

がん細胞では、よくこのN-アセチルノイラミン酸が脱落します。そこで以前は腫瘍マーカーとして使われていました。まだ腫瘍マーカーが5種類しかなかった時代、重要なマーカーと考えられていた時期があります。ベトナムの孤島の絶壁にある海ツバメの巣を集めてそこから高純度品を抽出していたのでまあ、大変でした。匂いも凄いですが採る人も取られまいと猛攻をかける海ツバメも命掛けです。

 

この性質を利用してがん細胞を特異的に傷害(狙い撃ち)できないのか色々と探究したのですが、そもそも腫瘍マーカーとしてもあまり感度はよろしくないぞということがわかり、この物質を単独でおいかけても意味はないと判断しました。 

 

ところが代りに正常細胞にはみられない糖質ががん細胞に現れることがあります。

 

(続く)

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