藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2018年12月12日

  

がん, 免疫

ノーベル賞を受賞された本庶佑先生とANK療法とは直接の関係はありませんが同じ京都大学のレセプター研究、今日では免疫チェックポイントという呼び方が定着してきましたが当時、レセプターと呼ばれていた分野で、京都大学が世界をリードしていた時代、PD-1を発見されたのが本庶佑先生で、IL-2R(インターロイキン2レセプター)を発見されたのがANK療法開発者2名の内のおひとり勅使河原計介先生です。

 

ANK療法開発は大久保祐司先生の存在抜きには語れないのですが、開発当時まだ大学院生であられ世代が異なる勅使河原先生は先にIL-2Rの発見という業績をあげておられました。

 

PD-1発見は文句なしに学術上の業績ですし、ノーベル賞受賞について反論異論はあるのですが、まあ大勢において「おめでとうございます」ムードです。 オプジーボでがんが治るようになったのではありません。あくまでPD-1発見の業績を評価されたものです。 その後、免疫チェックポイント阻害薬オプジーボを誰が開発したかは論争があるようですが、少なくとも開発につながったという事実は異論ないところでしょう。実際の開発は紆余曲折を経て相当苦労があった訳ですし、一部で騒がれたような夢の新薬ではないのですが、ともかくも「医薬品」の開発になりましたので医薬品メーカーがスポンサーになり、世間の耳目を集めるまでに至りました。

 

PD-1は抑制系の免疫チェックポイントですが、IL-2Rは活性型の免疫チェックポイントです。NK細胞であれ、T細胞であれ免疫細胞を培養する際にIL-2を添加してIL-2Rを刺激しないと細胞は死んでしまいます。IL-2は免疫細胞の培養や腫瘍免疫の活性維持に必須の物質なのですが、これを発見したのがダートマス大学ケンドールスミス先生です。勅使河原先生もダートマス大学時代はケンドールスミス先生のグループと研究をされていました。 IL-2大量投与でがんが事実上完治することはあるのですが副作用も激しく、投与量を減らすと効果がなくなっていくので医薬品としては切り札にはなりませんでした。そこで体の外に免疫細胞を摂りだしてIL-2刺激を強力に加えて安全に免疫細胞を目覚めさせる免疫細胞療法が開発され有効性も確認されます。米国政府研究機関NIHの大規模臨床試験を実施されたリーダーのロッテ先生がダートマス大学に講演にこられた時には、専門家である勅使河原先生にNK細胞の活性を高めながらNK細胞だけを選択的に増殖させられればいいのですが(どうしても一緒に混じってくるT細胞が爆発的に増殖してしまいます。T細胞はほとんどがん細胞を攻撃しません)、そんな培養法はありますか? と聞かれたそうです。 米国NIHが実証した免疫細胞療法の有効性というのは、NK細胞の培養が難しいので大量採取、強力刺激、短期間培養で強引に治療を行ったのでした。 その後、免疫細胞療法は「医薬品」ではないため、制度上も品質管理上もどうやってこれを扱えばいいのか仕組みがなく、医薬品メーカーのスポンサーがつきませんでした。

 

ようやく法整備が進んできましたので免疫細胞療法に医薬品メーカーがスポンサーにつき始めています。とりあえず簡単に培養できるT細胞の方が手を出しやすいようですが専門家の間ではNK細胞が大本命であることはよく知られています。やがてはNK細胞が主流になるでしょう。 ただしNK細胞は培養が難しいため研究すること自体が大変ですのでどうしてもT細胞の方が話題先行となります。

 

本庶佑先生はNATURE誌の論文の9割は嘘だとおっしゃいますが、趣旨は嘘をついているんだ、ということではなく、その時、そう考えたんだ、だけど後から新しい発見があり、以前建てた仮説は違っていたと後からわかる、有名学術誌に掲載されたから絶対正しいとか権威化するのは新しい研究の芽をつむだけだ、科学とはそういうものとおっしゃってるのですが、免疫チェックポイント研究のメッカだった京都大学のグループとしてNATURE誌には本庶佑先生や勅使河原先生をはじめ錚々たる方々が名を連ねる論文も掲載されています。

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