藤井真則のブログ

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2011年01月25日

  

がん, 免疫

2011.1.25.

(前回の続きです)

東京に戻って、東京新聞のATL治療用抗体の記事をみました。
第一面左3分の1くらいで、10段抜きという大きな扱いです。

趣旨としては国がATL特命チームを結成し、対策に力を
入れている中で、日本発の新薬がスピード承認される見込み、
しかも、薬の単独投与でこれほど、がんに効くのは珍しい
という共同開発者(名市大)のコメントも載っています。
記事の全体の趣旨は、ごくリーゾナブルなもので、
患者さんにとっても、これで少しでも状況が動くことに
プラスになるなら、ありがたい話でしょう。

では、内容の詳細について。

新聞報道で、がんに対する免疫というと、
獲得免疫を利用して、特定標的物質を的に
がん細胞を狙い撃ち、という、「特定のイメージ」
に偏ったものがものが多いのでが、
東京新聞の記事の内容は
「微妙、、、」です。

この薬はCCR4という物質を標的とする(OK)
CCR4はATL患者のがん細胞に「多く」発現する(OK)
この薬、つまり抗体は、免疫細胞を刺激する(まあ、OK)

ここまではいいのですが、体内の免疫細胞が、薬が
結合したがん細胞だけを攻撃する、としています。

間違いとは言い切れないですが、正確ではありません。
薬が結合していなくても、相手ががん細胞であれば
免疫細胞は攻撃します。

記事全体については、好意的に読ませていただきましたし、
そんなに間違ってはいないのですが、やはり、「薬」が
がん細胞と正常細胞を識別し、それによって、免疫細胞が
攻撃誘導される、というニュアンスはありますね。

実際は、抗体には、ATL細胞は見えていないのです。
CCR4という物質が見えているだけです。
その物質さえあれば、相手が、ATL細胞でも
正常細胞であっても、結合はします。
ただし、抗体自体に攻撃力はないので、正常細胞に多少、
結合したところで、大きな問題はありません。

一方、NK細胞は、自分単独でも
ATL細胞と正常細胞を識別して、
ATL細胞だけを攻撃します。
今回の薬の役割は、あくまで、「手助け」です。
抗体が結合したATL細胞の方が、
結合していないATL細胞より、
NK細胞から、「よく見える」わけです。

抗体によって、攻撃力がアップするのは
NK細胞の特徴です。 他にも、抗体に結合する
免疫細胞はありますが、抗体による「増幅」効果は
NK細胞の比ではありません。

問題は、ATL患者さんの血液中に存在する
NK細胞は、活性が低下しています。
もちろん、個人差は激しいのですが、
折角の新型抗体を、もっと有効に使うには
体内のNK細胞の活性を高める手立て、
つまりANK免疫細胞療法を同時に
併用するのが、もっとも理に適っているでしょう。

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