藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2013年03月01日

  

がん

2013.3.1.
 
 
金スマという番組で、
陽子線療法の紹介をやっていました。
 
こういう治療法もある、という事実を
告知するにはいいでしょうが、番組を
見た方は、これで、生存率が向上するという
錯覚をもたれるのではないでしょうか。
 
従来の放射線は、がんだけを狙えないが
陽子線は、標的のがんにエネルギーを集中できる、
としていました。 まったくの間違いではないのですが
陽子線とて、がんだけを狙い撃つことはできません。
あくまで、X線よりは、的を狭い範囲に絞れるということです。
 
一方、細胞傷害能力については、一般にX線より高い
もちろん、X線も、強く照射すれば、効果はあがっていくのですが
副作用も増大するので、ある範囲にとどめているわけです。
実用に供される治療強度での比較において、
陽子線は、一般にX線より、強く、がん細胞を傷害できます。
 
その反面、正常細胞へのダメージも、X線より強くなります。
 
要するに、X線は、広範囲に副作用を及ぼすのに対し
陽子線は、効果も副作用も狭い範囲に集束する、
それだけ、照射部位における正常細胞へのダメージも
強くなるのです。
 
陽子線より、さらにエネルギーを集束させ、効果も副作用も
大きくなるのが重粒子線です。
 
重粒子線は、標的エリア内にある細胞を
がん細胞か、正常細胞かを問わずに、
見事に壊滅させる
破壊力は抜群です。 
 
X線で問題になる耐性もできません。
 
反面、正常細胞も壊滅するので、
照射部位に「大穴」があきます。
 
そのため、消化管のそばや、気道のそばには
照射できませんし、顔、特に顎のまわりに照射すると
顔に穴があき、崩れてしまいます。
 
陽子線は、重粒子線ほど、副作用は強烈ではない一方、
効果の方も、重粒子線ほど、狙ったエリア全滅までは
なかなかいかない、つまり、重粒子線とX線の中間的な
位置にある、ということになります。
 
 
で、結局、患者さんにとって、どうなのか、です。
 
粒子線治療を実施しても、標準治療の枠組みの中では
生存率の改善はみられません。
 
日本では、重粒子線療法が普及し始めていますが、
これは日本だけの現象です。
なぜかというと、生存率改善が見込めないのに
副作用が強烈だからです。
ならば、陽子線の方がいい、というのが
欧米の判断です。
 
エックス線だと、治療が難しい、あるいは耐性の問題がある、
などなど、陽子線の法が好ましいケースもあります。
手術の場合、不可、ということもあります。
治療のバリエーション確保のために、
陽子線が活用されることはあるわけです。
 
 
さて、腫瘍組織の核となる、がん幹細胞が、一つの腫瘍の塊の中に
すべて集まっている「限局性」の腫瘍であれば、重粒子線で
全滅させることが可能で、陽子線の場合、多少、残る可能性がある、
ということになります。
 
一方、がん幹細胞がとびちり、再発や転移を繰り返す
「転移性向が強い」がんに対しては、重粒子線であれ
陽子線であれ、完治はのぞめません。
 
陽子線で、腫瘍の塊を縮小もしくは、画像診断レベルでは
消えているように見えるまで、打撃を与え、そのうえで、飛び散るがん細胞を
ANKで壊滅させるなら、陽子線も、きわめて有効な治療設計のピースとして
機能する、ということになります。
 
ところが、とびちるタイプのがんに対し、陽子線で原発巣だけ縮小させても
残りや、とびちったがん幹細胞の制圧を、抗がん剤任せにするのでは、
結局、再発、転移を招き、最終的な死亡率や予後は、あまり改善しない
ということになります。
 
 
また、別の問題として、手術をしなかった患者さんが、重粒子線や
陽子線で、腫瘍の塊を消してしまった場合、はたして、飛び散るタイプ、
危険ながん細胞だったのか、限局性のおとなしいものだったのかが
わからなくなります。 番組にも登場されていた患者さんのように
手術不能か、困難という場合に、陽子線を選択して、腫瘍縮小を
図る、というのは、当然、「あり」ですが、手術可能な場合は、
手術しないと、相手の正体がよくわからない、という一面もあります。
 
 

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