藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2008年11月27日

  

がん

2008.11.26.

腫瘍マーカーについて、患者さんからご質問をいただき、やりとりを
していますと、腫瘍マーカーというのは、がん細胞特有のものだとか、
どの腫瘍マーカーの値が高いと、どういう種類のがんがあるのかを
特定できる、というイメージをお持ちの方が結構いらっしゃいます。

そういうものではないのですね。

腫瘍抗原の取引をしていた頃の話です。
今は、随分と種類が増えてきましたが、
腫瘍マーカーが実用化された当初は、
主に、がん胎児性抗原、CEA、AFP、β2ミクログロブリン、フェリチン、
が使われ、あとは、シアール酸が、腫瘍マーカーとして使われるケースも
ありました。 シアール酸は、基本的には、炎症マーカーという捉え方でしたが、
最近は、もう使わないようです。

これらの物質を精製するのに、産婦人科のある医療機関から、
後産、お産のあとの胎盤を集め、胎盤血を抜いて、胎盤は返却する
という作業が必要でした。 胎盤血の中に、こういった腫瘍マーカーとなる
物質が入っているのです。  胎盤血を診断薬用に使用してもいい県は、
全国で四つ位しかなかったと記憶しています。 しかも、使用後は、
ちゃんと、供養している、と聞いていました。 赤ちゃんが生まれたのに、
供養というのは、よく分からなかったですが。

CEAというのは、Carcino Embryonic Antigen 名前の通り、
腫瘍・胎児性・抗原です。  急成長する腫瘍組織では、がん細胞は、
正常細胞よりも、未分化な状態であり、かつ、盛んに増殖するという状態が
胎児の細胞に近いわけです。 そのためでしょうが、急成長中の腫瘍組織は
時々、胎児の細胞が沢山出す物質と同じものを出すことがあります。

代表格が、CEAですが、AFP(アルファ・フェト・プロテイン)も、フェリチンも
名前にフェトとか、フェリとかあるように、フェラス、つまり鉄に関係する蛋白
です。急成長する組織は大量の鉄分を必要とするので、鉄を蓄える蛋白質を
沢山用意するのです。 

こういった物質は、腫瘍組織なら必ず、出すものとは限りませんし、
特に、腫瘍サイズが小さいとか、まだ、急成長期に入っていないと、
出てこない確率が高くなります。また、成長が納まってくると、出しにくく
なります。 また、正常細胞からも出ます。したがって、腫瘍マーカー値が
小さくでも、がん細胞がいないことの証明にはなりませんし、逆に、
がん細胞がいなくても、一般に、ゼロにはなりません。 

今は、種類が多くなってきましたが、それでも、全部テストしたところで、
半数以上のがん患者さんは、反応がでません。 ですので、スクリーニング、
つまり、検診には向いていません。 がんと診断されたか、診断中に、
腫瘍マーカーの測定を行い、そのマーカーが使えるのか否かは、
総合判断を要します。 

腫瘍マーカーを検査するのは、原則、血中に存在するマーカー物質の
量を抗体を使って測定する方法が取られます。 ウィルス検査ならば、
血中の抗体価を測定する方法もありますが、腫瘍マーカーの場合は、
健常人でも、持っている物質ですので、一般に、がん細胞が沢山
いたとしても、抗体価は上昇しません。 
腫瘍に特異的な抗原ではないのです。
あくまで、物質そのものを測定する必要があります。

原料を一度、入手できれば、抗体は大量に作成することができます。
検査キットには、量産された抗体が使われていますが、抗原である
腫瘍マーカー物質との反応性は、抗体の特製や、使用する試薬、装置の
特性によってもデータが変わってしまいますので、予め、腫瘍マーカーの
精度や濃度を厳密に測定した標準物質というものを用意しておき、
この標準物質を測定した値と、受診者の血液サンプルを測定した値を
比較することによって、腫瘍マーカー値を求める方法をとります。
そのために必要な標準物質を供給するビジネスをやっておりました。
お客さんは、栄研化学などの、診断薬メーカーでした。
腫瘍マーカーは気をつけないと、同じ標準物質を使っていても、
測定する装置によって、値が違ってきますので、腫瘍マーカー値が
増えてるのか、減ってるのか、モニターする際には、同じ医療機関や
臨床検査ラボで測定するのが望ましいです。 また、正常値も、
検査機関によって異なることがありますので、注意が必要です。

がん胎児性抗原とは原理が異なり、その後、大量に製品化される
一連の腫瘍マーカーの先駆けとなったのが、CA19-9。
この診断薬の開発者と共同でやらせていただいた仕事について、
いずれ、お話させてください。

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