藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

TOP > iPS細胞からNK細胞をつくる話 (2)

2016年12月22日

  

がん, 免疫

2016.12.22.

 

 

 

(前回の補足です)

 

 

 

iPS細胞からNK細胞をつくった場合

免疫抑制剤の使用が前提ということについて

お問い合わせをいただいております。

 

 

iPS細胞というのは、遺伝子操作を施していますので

野生型の細胞と「何かが違っている」

可能性があり、

実際に本人の細胞を採りだしてiPS細胞をつくったのに

拒絶反応が起こるという指摘があります。

これに対して、iPS細胞の発見者が

実用化の際には、他家の細胞ソースの使用を

想定しており、当然ながら、免疫抑制剤を使用する

ことを前提としているとコメントされています。

 

つまり拒絶反応が起こる問題は

折込済ですよ、ということです。

 

ちなみに、これは、法令ではありません。

その時、そういうご発言があった

ということです。

 

 

NK細胞は自然免疫に属する細胞であり

他人のNK細胞を用いたからといっても、

拒絶反応は起こらないのでは ?

ならば、免疫抑制剤を使うこともないのでは ?

 

というご質問もあります。

 

 

野生型のNK細胞であれば

他人から採取したものでも

 

「おそらく」 「問題はないと」 「思われる」

 

ということなのですが、まず、法令上、

他人のNK細胞を用いる場合には

「第一種再生医療」として

事前に厚生労働大臣の承認を取得の上

臨床試験を実施する、という規制があります。

 

 

患者本人のNK細胞を用いるのであれば

「届出」が「受理」されると自由診療として

実施していいのですが、この場合

ANK療法を実施するのであれば

ANK療法としての届出でなければなりません。

 

NK細胞は、どこの誰かの製造物でもなく

自然に存在するものですが

ANK療法となると、ANK療法としての

培養を行ったNK細胞となり

ANK療法という技術・ブランドを

特定した届出となります。

 

よく「国が認めていない」という言い方を

されることがありますが、

「国は認めている」のです。

 

 

さて、法令上の規制を棚にあげてはいけないのですが

あくまで、議論のため、ということで、少し棚の横に

置かせていただき、他人のNK細胞を用いるのは

実際のところ、どうか、ということですが

いきなりまったく赤の他人から細胞を採ってくる

というと、おそらく反対意見が出されるでしょう。

 

医療ですから、慎重の上にも慎重に進める必要があります。

 

手始めに親族から、とか、親族だからといって

かなり遺伝的な「距離」のある場合もありますので

HLAの型をある程度、合わせておく

ということからやっていかないと、

物議をかもすでしょう。

 

そうやって段階を踏みながら進めていく必要があります。

 

 

また、ANK療法と他の一般的な免疫細胞療法とでは

決定的な違いがあります。

 

たとえば、HTLV-1型ウイルスが混入している場合

ANK療法であれば、培養中にウイルスが排除されることを

確認していますが、一般的な免疫細胞療法では、ウイルス

(正確には、ウイルスゲノムの量)が増える問題があります。

 

ですので、HTLV-1型ウイルスが混入している場合

一般的な免疫細胞療法は実施してはいけません。

 

C型肝炎ウイルスや、B型肝炎ウイルスの場合は

どんな免疫細胞療法であっても、培養中にウイルスが

増加することはないはずですが、培養作業者が感染する

リスクがあります。

 

ANK療法の場合、培養プロセス中に、注射針を使用しません。

 

それだけ、培養作業員が感染するリスクが抑えられている

ということになります。

 

また、ANK療法の場合、B型およびC型肝炎ウイルスは

培養中に消滅することを確認しています。

 

 

他人の細胞を用いる場合、どうしても、ウイルス感染を

どうするのか、という問題があります。

その点、ANK療法の場合は、技術的にはクリア可能ですが

これも、実際にやるとなると、慎重な検討と議論が必要で

安易にやってはいけません。

 

 

その点、iPS細胞であれば、他人の細胞からつくっても

ウイルスはいないだろう、と言えるかというと

「いない」とは断定できません。

 

特に、遺伝子操作などをすると、「溶原化」というのですが

溶け込んでいたウイルス遺伝子にスイッチが入って

動き出すかもしれません。

 

通常では発生しないウイルスが発生する可能性も

否定できないのです。

 

 

また、マイコプラズマの感染はよくあることです。

よくウイルスばかり話題になりますが

大学の研究などで、問題が起こるのは

マイコプラズマの方がはるかに多く

また、除去が面倒で、はるかに深刻な

問題となります。

 

医薬品メーカーさんでも

マイコプラズマで失敗したケースを

実際にみてきましたが、

具体的なメーカー名などは

もちろん、ここでは書けません。

 

これも、ANK療法であれば、培養中にマイコプラズマが

消滅することを確認していますので、基本的には

問題ありません。

 

そもそも培養細胞に感染してしまった

マイコプラズマを除去する最善の手法は

活性の高いNK細胞と一緒に培養することなのです。

 

ANK療法とは、マイコプラズマ除去法そのものとも

言えます。

 

もちろん、実際に他人の細胞から培養して

患者さんの体に戻すのであれば、徹底した検証が

必要なのであって、これも、安易にやって構わない

ということではありません。

 

 

いろいろと書くと結論がわからなくなりますが

 

まず、「法令上」 どんな細胞を用いようとも

他人の細胞を使って、治療を行うのであれば

厚生労働大臣の事前承認がないと臨床試験も

やってはいけない、ということです。

 

実際問題としてどうか、というと

iPS細胞を用いてNK細胞をつくる限り

それが、他人の細胞からつくった

iPS細胞であってもなくても、

自然に存在するNK細胞とは異なる

可能性があり

(遺伝子の構成は異なるものになります)、

体内に戻す際の拒絶反応の

可能性は考慮しなければいけない

ということです。

 

他人の体内にいる本物のNK細胞を採取して

治療に使う場合、おそらく、拒絶反応の問題は

ないのでしょうが(自然免疫系だから)

実際にやる場合は、HLAの型を可能な限り合わせておいて

まずやってみる、など、慎重に進めていくのが

医療として妥当なセンスです、ということです。

 

 

他人の細胞を用いる場合、ウイルスやマイコプラズマの

混入をどう否定するかという問題があります。

 

 

ANK療法であれば、培養中のNK細胞の活性が高いために

混入ウイルスやマイコプラズマが消滅すると考えられますが

(既知の全てのウイルスで試したのではありません)

iPS細胞からNK細胞をつくった場合、

結局、NK細胞になってからの培養技術が

ANK療法に匹敵するものでない限り

培養中に、ウイルスやマイコプラズマが残る

あるいは、増殖する可能性があります。

 

 

 

結局、どこまでいっても

NK細胞を治療に用いるには

「NK細胞の培養技術」が要になり

iPS細胞からつくったところで

NK細胞の培養技術がなければ

どうにもならなず、その方が

iPS細胞技術より、よほど高度で

難題である、ということです。

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