藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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TOP > 無届が問題なのではなく、「事実上の」未承認が問題

2017年07月05日

  

えとせとら

2017.7.5.

無届で再生医療を実施したとされる
医療機関が問題とされていますが
確かに、届出を出していなかったのであれば
無届で間違いではないのですが、
第一種再生医療は、「事実上の」事前承認が必要です。
届出を出してできるものではありません。

最終的には届出を出すのですが、

厚生労働大臣が厚生科学審議会の意見を聴いた上で

計画変更命令を出すことができる猶予期間があり

変更命令の内容によっては停止できます。

実際に、変更命令を受けたために

実施ができない再生医療が存在します。

米国FDAにも同様の仕組みがありますが

停止命令を出すことができるのに出さない場合は

自動的に承認とみなされます。

 

たとえば、iPS細胞のように、
遺伝子操作がされており、
培養を続けると、がん化するリスクが
あることがわかっているものは、
第一種再生医療であって
かなりの事前手続きが必要です。
小規模な診療所が、手を出せるような
ものではありません。

本人の細胞を、遺伝子操作などを行わずに
用いる場合は、はるかに安全と考えられ
審査を受けた後、
届出が受理されれば
合法的に実施できます。

今回の事件は、他人の臍帯血を用いた
ということですから、これは無届で
やってしまった、というレベルでは
ありません。
なお、がん治療に用いられるとする
報道をみかけますが、本来、がん治療に用いる
ことはできないものです。

(いわゆる骨髄移植的に用いるものは除外しています)

臍帯血中の幹細胞を、体内に投与して
体内の組織再生を目論むもの、ということなら
一応、話としては、あり得るのですが。

他人の幹細胞が、本人の組織として
定着するのか、というところは
かなり疑問があります。

がん治療の場合は、がん細胞を壊滅させればいいので
白血病の一種で、他人の骨髄移植を行うこともあります。
この場合、NK細胞は他人の細胞と闘わないはずですが
(他人のがん細胞は攻撃します)、T細胞などは
他人の細胞を攻撃しますので、本人のがん細胞よりも
他人のがん細胞の方を、激しく攻撃する傾向があります。

もちろん、T細胞の場合は、
他人の正常細胞も攻撃してしまうので
他人の骨髄移植には、深刻な合併症リスクがあります。

それでも、他人の免疫細胞を用いる
がん免疫療法は、実際に行われてきた歴史があり
どういう問題が発生するかも、ある程度
見えています。

一方、組織を再生する狭義の再生医療の場合
まだまだ、やってみないと、何がどうなるのか
わかりません。 その際、他人の幹細胞を
用いる、というのは、相当な高いハードルを
覚悟しないといけません。
もし、臍帯血をがん治療に使った ?
ということなら、なぜ、そんなことをするのか
まったく、理解できません。

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