藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2013年08月10日

  

えとせとら, がん

2013.8.10.
 
 
TPP交渉が始まりましたが
今のところ、米国の主張は
米国にしては、穏やかなものと
なっているようです。
 
TPPは突然、降ってわいたものではなく
第二次大戦前に米国が描いた
日本占領計画の一環を推し進める
プロジェクトの線上にあり
TPPに参加してもしなくても、
占領計画の実行として、米国はあの手、この手で
圧力をかけ続けてきましたし、これからもかけ続けるでしょう。
 
たとえば、「かんぽ」の新規商品は一切、認めないと
麻生氏がTVで明言したのは、TPP交渉参加決定より
前のことです。 
TPPに参加しようがしまいが、TPPなどの場を通じて
米国が要求することを
日本政府が認めていくわけです。
 
 
要するに、米国側は、日本政府が事実上の支払保証に
関与すると考えられる保険が存在すると、米国資本の
保険の販売が競争上不利になる、
 
まさに、TPPの趣旨である
 
「米国資本がTPP参加国に投資した事業の収益を損ねると
 考えられるあらゆる障壁の排除」
 
に該当するわけです。
 
 
日本側は、日本郵政傘下の窓口でアフラックのがん保険を
売ってるではないか、これでええじゃない、と言ってるようですが
そんなものんでは、十分ではない、と米国はさらなる競争阻害
要因の排除を求めるいるようです。
 
ちなみに、がん保険というのは、生命保険とも損害保険とも
異なる第三分野の保険として、外国資本だけに限って
認められたものでした。 米国勢が独占的に市場を押さえた
後に、日本の生保にも損保にも参入が認められ、
今では、どこでも扱っています。
 
アメリカンファミリーという名前はついていても、実態は、
日本のベンチャー企業のようなアフラックが、先頭を切り、
日本市場の8割を押さえた時期もあります。 
これを追いかけたのが、アフラックよりも圧倒的に
規模が大きいAIGです。 
がん保険は、アリコのブランドで売ってましたが、
AIGが弩級戦艦だとすると、アフラックは
小舟に銃を積んだくらい、規模観に差があります。
それでも、がん保険の分野に関しては、
アフラックがパイオニアです。
 
ニッセイのおばちゃん、に代表される生保販売員50万が
カバーする「対面販売市場」は、おおよそ日本人口の2割。
要するに、人件費をかけても、採算がとれるだけの
保険料を支払ってくる層、ということです。
これは、あくまで死亡保険(正式には死亡保険です。
死んだら、お金がもらえるのですから。 
それでは売りにくいので、生命保険というよくわからない
言い方をしているだけです)
ただし、特約をつけることによって、がん保険がカバーする
範囲に踏み込むこともできます。
海外勢は、対面販売ではペイしない、残り8割の市場に対して、
販売コストをかけずに、月々の保険料を2~3千円に抑え、
通販を基本に市場開拓を進めました。
 
標準治療を受ける患者さんが、入院費給付1日1万円を
受け取る、あるいは、標準治療の治療費の本人負担を
支払い、高額医療保障制度の還付があるまでのつなぎに
100万円の一時金を使う、、、 がんの3分の2は、標準治療で
事実上、完治にもちこめる「限局性」のがんですから、
アフラックの保険設計は、実際に、患者さんにとって
ありがたいものなわけです。
再発・転移し、やがて死に至る進行がんの場合は
こうした従来型のがん保険では不十分ですが。
ANK療法は、標準治療だけでは、ほぼ死に至る
進行がんの治療を前提にしていますので、
アフラックのような入院給付型の保険は馴染みません。
死亡保険の生前給付か、診断給付型がん保険が
合っています。
 
90年代の後半、
ご夫婦でアフラックの保険を売っておられたH氏は
チラシを刷って、ポスティング広告で告知し、資料請求が
あれば送り、電話は、資料が届いたことの
確認をするだけで、決して、売り込みはしない、
そして、書面だけで、契約を取る、というビジネス
モデルを展開しておられました。 月々の収入は
個人事業として家計を支えるのに毛が生えた程度でしたが、
十分、拡大可能なビジネスモデルであり
経営者の能力と意志は高いものがある、と判断し
3分で、この仕事は化ける、投資しようと、決めました。
すぐに投資していていてたら計算上、5千万円が、5年で300億円に
なっていたのですが、実際には、当時の巨大組織の内部の審査を
通すのに時間がかかり、他のベンチャーキャピタルが殺到して
株価をつりあげてしまったので、まったく投資効率が悪くなりました。
それでも実際に、上場し、5年以内に、時価総額400億円を超えました。
 
アフラックは、規制だらけの市場に穴をあけ、こうしたベンチャー企業や
資生堂の千趣会のような組織など、保険料が安くても営業費と見合う
あらゆる個人、組織を活用して市場を切り開いたのです。
 
 
一方のAIGは、巨人です。
私が運営していたファンドが投資実行したら
自動的に並行投資するというミラーファンドの
話がもちこまれたことがありましたが、その時、
対象となったファンドは、何せ、世界に展開する資本力の
ごく一部を使うファンドに過ぎないにもかかわらず、
金額は1兆円規模でした。
その後の金融危機の最中、
経営難に陥ったAIGは、連邦準備銀行FRBに
88兆円の新株予約権付社債を買ってもらって再建に
乗り出し、ちょうど、大統領に就任したオバマ氏は
ウォール街をベースとする人物ですが、最初に
指名したブレインが、元FRB議長ポール・ボルカー氏でした。
そして、大統領就任最初の演説が、「米国では毎年薬価が
上昇する。日本では毎年、薬価が下がる。米国の医療
産業は儲け過ぎ。(つまり、保険産業に金を支払わせ過ぎ)
米国でも、日本の医療システムを導入すべきである」
でした。 一貫して、米国流の医療保険システムの市場を
日本につくるという要求があり、その流れにのって、アフラックが
まず、尖兵としてがん保険市場を開拓しましたが、肝心の巨人
AIGがこけてしまったため、オバマ氏就任頃は、話がひっくり返り、
市場開放圧力が弱まりました。
 
ここへきて、態勢を整えた米国保険産業は、再び、民間医療保険市場の
拡大を日本政府に強く要求するようになってきました。
 
 
とろこで、国が関与している保険の存在が、米国資本の事業投資収益を
損ねる、という話を認めてしまうと、当然、「健康保険」の存在が
民間医療保険への投資収益を損ねる、という理屈になります。
ここは、迂闊に、実績をつくるわけにはいきません。
米国の要求がおとなしいように見えても、一つ、認めたら
ゴリゴリと拡大してくる、という警戒は必要です。
 
また、アフラックの保険は、先進医療特約2000万円保障などという
TV広告をうっておりましたが、こうなってくると、大いに疑問符がつきます。
先進医療というのは、大学などが研究データを集めるために、
患者さんにお願いして、実験に協力してもらうものです。
実験条件に適う、ごく一部の人だけが適用を受けるものであり、
実験データ収集が目的ですので、制約もたくさんあります。
他の治療を受けられると、データにならない、、、、などなど。
そもそも、受けられる可能性は非常に低い上に、
受けられたとしても、それは、まだ実験中に過ぎないもの、
しかも、2000万円も先進医療を受けるなんて、
考えられません。
今あるものを全部受けても、そこまでいかない。
先進医療保険や、先進医療特約の料金が安い
(死亡保険に先進医療特約をつけても月に百円玉一個
 程度の保険料ですみます)のは、保険会社にとって支払も少ない、
つまり、「ほとんど使えない」からに他なりません。
保障が厚いのに保険料は安い、そんなことはありえません。
先進医療保険は、安くて、イメージはいいため
売りやすいわけですが、結果的に役に立たないものを
売っていると、あとで大クレームになるでしょう。
ここまでの業績と社会への貢献は、誰も否定しないでしょうが、
最近、ちょっと、やりすぎ? という観はあります。
 
 
米国は、TPP最大の目玉である医療分野で、ゴリゴリと
押してくるでしょうが、米国の関心が薄いとはいえ、
日本側から仕掛けないで、何もしないで、
農産物の関税撤廃を単純に認めてしまうと
東日本大震災から立ち直ろうとしている東北の農家などは
壊滅しかねません。 
首相が、農家まわりするのはいいのですが
実効のある、政策を行っていただきたいものです。
 
 
 
 

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