藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2014年03月12日

  

えとせとら

2014.3.12.
 
 
日本中で東日本大震災と、復興について
様々な活動やイベントが行われており、
とうぜん、その話と考えておりましたが
STAP細胞の件について、よく聞かれますので
すみません、そちらの話題でいきます。
 
 
一言でいうと、「騒ぎ過ぎ」それに尽きます。
 
 
メディアは騒ぎが大きい方がニュースになるので
騒ぐのが仕事になってしまっているのでしょうが、
現状では、静観すべきでしょう。
 
 
 
初期化そのものが、生物学の歴史を変えるような
大騒ぎな発見ではなく、また、マウスで何かやったからといって
実用性はありません。
 
 
初期化すること自体は、とんでもニュースではありません。
初期化の効率を高める技術かどうかが、ポイントです。
 
 
そもそも、大騒ぎしてはいけない話なのが
ニューアイドル登場! とやってしまい、
今度は、反動を受ける始末となっています。
 
 
写真に疑念があるとか、ミスがあった、というなら、それは問題ですし
意図的に適正でないデータを使用したのが事実ならば論外の問題ですが
そうであったとしても、STAP細胞技術なるものが
実在するのかどうかが本質です。
 
それを今度は、現時点で、あたかも「インチキ」という印象が
広がるような報道がされています。 
もちろん、インチキなのかもしれませんが
現時点では、あくまで、疑義がでてきた、という段階です。
 
 
さて、論文を発表すると、通常、何がおこるか。
 
 
何もおこりません。
 
 
 
殆どの場合、何もおこりません。
 
 
 
 
大学のランクを論文の数で判定するというわけのわからないことが
横行していますが、論文をただ出しても、インパクトのないものなら
誰も批判もせず、ただ、論文をだしたんです、という事実だけが残ります。
逆に、極端に大きな影響力をもつ論文の場合、発表時点では誰もわからず
無視されていたこともあります。
革命的な研究というもの、真に世界最先端の研究というものは
当の本人以外は、わからない、これはよくあることです。
気象学者のエドワード・ノートン・ローレンツ教授が、気象変動の
シュミレーションに基くバタフライ効果に関する論文を発表した時
メディアどころか、研究者の反応も今一でした。
後に、カオス理論学会が開催され、登壇したローレンツ教授は
熱烈な拍手で迎えられましたが、要するに、科学の根底を覆すレベルの
研究の先駆けとなったのに、10年ほどの間、ほとんどの人は
大きな話題にしなかったのです。
もっとも、沈黙で迎えられる論文の大半は、沈黙するしかない
内容だから、沈黙されます。
うちは何本、論文だしてる、ということを自慢する組織もありますが
どうしても、公的な予算をとってくるのに、論文だしておかないと
折衝もできないという事情があります。
 
 
で、インパクトのある論文の場合、反論もくることが多いわけです。
こないこともありますが、本当に、インパクトのある論文であれば、
激論になることもあります。 
それまでの常識と異なる事実を示しているのであれば
既存勢力は猛然と反論します。 
 
それは当然でしょう。 
 
反対意見がでてきて、へえ~ そうだったんですね、はいわかりました。
と、あっさり引き下がるくらいなら、最初から学説なんか出すな、ということです。
 
 
 
さて、論文をだして、インパクトがあると、それを世界各地の研究者が検証します。
実験できるものであれば、実験します。 追試といいます。
世界、数十カ所の研究機関で、同様の結果を得た、、、 となると
この論文は正しかったんだな、と、信用レベルがあがります。
 
ところが。
 
追試できるかどうかは条件次第です。
特別な実験技術を必要としないか、容易に習得可能でないと、真っ当な追試ができません。
もし、熟練や、特殊な技能を必要とする場合、論文に書いてある通りにやっても
再現できません。
 
今回、再現できないぞ! と、各地の研究者が言ってる、ということ自体は
その論文の信憑性を損なうとは限りません。 
論文は再現性が重要というのは、第三者による再現が可能な
特別な技術を要しないもの、という条件があるのです。
 
ANK療法で論文を書いても、誰も追試できません。
そもそもNK細胞の臨床上、意味のある培養は世界中
どこもできないのですから、追試のやりようがありません。
結局、簡単に培養できるT細胞や樹状細胞の研究が盛んになります。
 
論文を書く、論文が追試を受け、再現性が確認される、、、、
これがあたかも科学的に「正しい」証をたてる唯一のプロセスのような
風潮がありますが、これだと、簡単にできるものしか普及しません。
実際、そうなってしまっているのです。
簡単に実験できるものでないと、成果をあげるのに
時間も費用もかかり、研究予算の取得が難しくなります。
どうしても、研究者は、ブーミングなテーマで予算申請したがります。
 
 
STAP細胞も、ちょっとしたコツ程度のもので、多くの研究者が容易に
つくれるものでないのであれば、それほど意味はないことになります。
STAP細胞は、発見したことに意味はありません。
実験材料として使えるなら、意味があります。
それが、非常な熟練や勘を要するとか、実は、効率が悪いとなると
じゃ、iPS細胞があるから、STAPは要らないじゃないか、となります。
 
 
再現性に問題があったとしても、それ自体で、論文の信憑性が失われるものでは
ありません。 争点は、実在するのかどうか、という点と
論文作成がいい加減だったかどうか、ということになりますが
取り下げるかどうかは、決めてから発表すればいいことです。
 
 
 
 

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