藤井真則のブログ

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TOP > 遺伝子検査ビジネスは、疫学ではなく易学?

2014年09月24日

  

えとせとら

 

ウェッジという雑誌に
「遺伝子検査ビジネスは、疫学か易学か」という
タイトルの記事がありました。

昔から、遺伝子というのは、あたかもそれによって
人の性格なり能力なり、はては、運命のようなものまで
決まってしまうかの如き錯覚が蔓延しておりますが
実際には、そのようなものではありません。

 

医学上の意味のある遺伝子検査はあります。今回のお話は性格や社会における能力に関する遺伝子という趣旨です。

 

いい加減な遺伝子検査ビジネスが、人々を惑わし始めた時候に
適切で良心的な記事だと、
一部、買わせていただき、拝読させていただきました。

アンジェリーナジョリーさんの手術の件は、
完全に間違ったことを書いてましたが、その点を除けば
概ね妥当な内容だなあ、と、抵抗感なく読ませていただきました。

遺伝子検査ビジネスというのは、如何に根拠が曖昧なものか、
どのような思惑でビジネス展開されているのか
背景の俯瞰も含めて書かれてあります。

ご興味のある方は、ぜひ、ご一読ください。

さて、遺伝子などというのは、ヒトとチンパンジーとで
1%の相違もなく、もっといえば、ゴキブリとヒトでも
そう変わりません。

私の遺伝子はどんなのかしら、検査してみようかしら、、、
と思われてるセレブ女子な方などに向かって、
まあ、大体、そこらへんのゴキブリとほとんど同じですよ、
などと言おうものなら、それこそ、あんたこそゴキブリよ
同じ目に遭わせてやる、と、スリッパで叩かれるかもしれませんが
実際、そうなのです。

細胞をつくり、活動させ、動物の細胞としてやっていくのか、
植物の細胞なのか、原核生物でいくのか、基本的な生命活動の
設計図というより、細胞を組み立てる部品の図面のようなもの。
遺伝子とはそういうものであって、遺伝子をいくら調べても
一般の人が知りたいようなことは書いていません。

遺伝子検査で占う彼と彼女の相性、この二人の子供なら
遺伝子はこうなって、成績優秀まちがいなし、、、
こういうアホなビジネスが蔓延するのかもしれませんが
ほぼ、根拠はありません。

細胞をつくる部品はわかっています。
一つひとつ合成することができます。
ところが、細胞を構成する細胞器官の多くは
人工的につくることはできません。

細胞膜をつくる、こういうことはできないのです。

チューブリンα、βというタンパク質の設計図は
遺伝子に書いてあり、これを元に、これらのたんぱく質を
合成することはできます。
そして、ある条件にすると、これらのたんぱく質が自ずと
結合し合い、チューブ構造をつくっていくことも
わかっていますし、ある程度まで、人工的に生成可能です。

ところが、実際に機能する微小管という組織をつくることはできません。
チューブが二本、並んで、伸びたり、消えたりして、細胞の活動を
制御しているのですが、どうやって制御するのかについて
遺伝子は何も語らないのです。
遺伝子にとって、それはもう、ぼくの担当外、なのです。
微小管は、中心体から伸びていきます。
中心体がないと、微小管はうまく機能できません。
中心体は、チューブ3本ずつが並んでくっつき、
その3本セットが、立体構造をつくっているのですが
中心体を合成することはできません。
中心体を構成するタンパク質は微小管と同じものですから、
遺伝子に情報として書かれてあり、合成することもできます。

ところが、中心体という構造をつくることはできません。

中心体は、中心体から派生するように生成されますが
中心体がなければ、中心体はつくれないのです。

じゃ、最初の一個めの中心体は、どうやってできたのか、、、、、、

実は、この微小管、遺伝子より遥かに膨大な情報を司っているのですが
とりあえず、今回は、説明をパスします。
まだまだ、微小管検査ビジネスというのは、流行りそうにはないようです、、、

ひとつずつ説明するときりがありませんが、遺伝子に書かれていることは
「途中まで」なのです。 生命の情報というよりも、生命体をつくる部品の
設計図しか書かれていないのです。

細胞は細胞からしか生まれません。

細胞の中の遺伝子をいくら読み込んでも
細胞の作り方は書いていません。

実際には無理がありますが、恐竜の遺伝子を完全に複製できたとしても
恐竜は生まれません。 細胞がないからです。 恐竜の細胞をつくることはできません。
映画では、ダチョウの卵(つまり、細胞。卵一個が巨大な細胞です)に恐竜の遺伝子をいれて、
足りないところは、カエルの遺伝子で補っていますが、カエルの細胞に、
マウスやニワトリの遺伝子を放り込んでも、
ヒヨコが走り回ることはありません。

細胞の中には、遺伝子にはのっていない、どんな情報があるのか、、、
その鍵が、微小管ということなのですが、遺伝子の話を進めしょう。

ヒトの遺伝子には、顔の形に影響する情報は書かれています。
特に、Y染色体には、顔の形に影響を与える情報が、いくつか
書かれています。 もちろん、これらの遺伝子がなくても、
生死にかかわることはなく、顔を作ることも可能で、
顔の基本構造に、修正を加える遺伝子、という言い方の方が
正確でしょうか。  Y染色体は男性にしかありませんので
こんなものに、生死にかかわる情報とか、顔そのもの基本構造の
設計図がのっていたら、女性は生きていけなかったり、顔が
できなかったりしますから、Y染色体には、なかったところで
どうということはない情報しかのっていません。
当然、男になる情報、信号物質をつくる情報は
のっており、このたった一種類の物質が作用することで
本来、女性としてつくられているヒトの体が、修正加工を受けて
男性という「変異体」に改造されるのです。

迂闊なことを言うと集中砲火を浴びるので注意が必要ですが
イケメン男性の娘には美人が多いといいます。
何をもって、美人と証明するのか、という話は
専門外ということで、逃げさせていただきます。
一般に、若い女性が将来どうなるかを読むには
母親をみればいい、と言いますが、(一般に言われていることですので、、、 )
美人かどうかは、父親の影響を強く受ける、
と、こういう話があります。
確かに、独特の顔立ちをつくりだす遺伝子は、Y染色体に
のっているのですが、もちろん、娘さんには、Y染色体は
伝わらないので、遺伝子がジャンプして父親のY染色体から
X染色体に引っ越しているのか、とか
何らかのメカニズムが働かないと、辻褄はあいません。
(遺伝子は、よく、ひっこしをします。なので
生まれた時と、ずっと同じなのではありません)

特定の機能を果たすべき遺伝子が欠損していると、これは直接、
影響を与えることがあります。ところが、日本人の場合は、
徹底した雑種ですので、父母の両方からもらった遺伝子が
二つとも欠損という確率は非常に低く、多少、欠陥遺伝子があっても
もう一人の親から受け継いだ遺伝子がカバーするので問題ありません。
白人は、純系ですので、モロ、両親から同じ欠陥遺伝子を受け継ぐ確率が
高く、遺伝病の診断をする、というビジネスは欧米中心に巨大市場を
形成しています。 今のところ、直接、胎児の遺伝子をとるのは
簡単ではないので、血液検査で判定する染色体異常(21番染色体が
まったく正常であっても、3本あるケースは、ダウン症を発症します)検査は
毎年、500万人を超える人々が受診し、最大手のジェンザイム社の
関連売上は6000億円をこえておりました。 最近、このビジネスには
関与してませんので、今、どうなってるかは知りません。
これは、遺伝子を調べているのではありませんが、今後、
胎児遺伝子を徹底して調べるというプロジェクトが
「蠢いて」います。

では、この遺伝子があるから、頭がいい、とか、お勉強ができる、とか
お勉強はできるけど、どうしようもない馬鹿、とか、そういうことが
決まるのかというと、そのようなものは見当たりません。

どういう性格になるかは、まず、親の性格と、どんな言語を刷り込まれたか、
などなど、環境要因の方が圧倒的に大きいので、遺伝子しらべても
何もわかりません。

また、ある能力に深くかかわっている遺伝子というのもあるのですが
その遺伝子が、どの程度、発現する、つまり活動するのか、というのは
外部環境要因の影響を強く受けます。

結局、遺伝子だけ、調べても、よくわからんですねえ、、、、、

ということなのです。

その点、まだ、「易学」の方が、親がどうこういうより、
本人が生まれた時点の環境を元に、本人のもってうまれたものを
推測する、というもの、ま、いろんなのがありますが、そういう
ものが多くあります。 なんで、方角とか日時が大事なのかというと
本人が生まれた時の、宇宙空間における位置をあらわしているのです。
もっとも、それなら、生まれた日じゃなく、受精した日ではないのか、
とか、人工授精だの、帝王切開だのの場合、いつの日時を元に占えばいいのか、、、、
などなど、いくらでも矛盾はあるのですが、少なくとも、
遺伝子検査ビジネスよりは、まだ、後天的な要素を重視しているという
意味で、まし、ということになるでしょう。

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