藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

TOP > 塩のお話 (4) 抗がん剤多剤耐性のルーツ

2008年12月20日

  

えとせとら

塩の話を始めたら、急に、アクセス数が落ちてしまいました。
人気ないんですねえ、、、

間違った塩を取ってるから、がん患者が増えるんです、と書いてしまうと流石に、完全ノーエビデンスですから具合悪いですねえ。かもしれないかなあ、と、思うこともある、、、 ぐらいが限界でしょうか。

さて、専ら草を食べる動物である草食動物は深刻なナトリウム不足に陥ります。植物は細胞内にナトリウムをとり込み、カリウムは放出するという動物と真逆のことをするのですが、実際には植物を食べるとナトリウムは少なくてカリウムを沢山とることになります。  植物の体のほとんどは「死んでいる」状態です。 動かない生き物なので、活動すべき最低限の部位だけ細胞が生きていて、他はもぬけの殻となります。茎や葉っぱの軸などはセルロースでできた細胞の殻が残っていて中は中空のチューブという部分が大半を占めています。生きている細胞も細胞内のほとんどを液胞というゴミ捨てタンクのような器官が占めていますが、この細胞内器官は細胞の外のようなもので、ここにカリウムを放り込むのです。死んでしまった細胞も細胞壁に包まれた中身は液胞だけになります。結果的にカリウムタンクが残るのです。

こうしたカリウムタンクである植物を専ら食料にする動物にとっては塩化ナトリウムの単結晶である天日塩は、「自然の恵み」になります。
野生の草食動物は必死にナトリウムを求め、ナトリウムとなるとなんでもかんでも
吸収してしまいます。 人間は進化上、人間としては案外肉食の時期が長かった可能性がありますが先祖から含めると圧倒的に草食系の時代が長かったので、やっぱりナトリウムを口に入れてしまうと無制限に吸収してしまいます。 カルシウムなんかは小腸が吸収する量が決まっているので食品として沢山とっても少ししかとらなくても、殆ど吸収量には、影響しないのです。

カルシウム不足と言いますがそうではなく、リンを取り過ぎるから、リン酸カルシウムでできた骨からカルシウムが溶け出し問題となるのです。  
ナトリウム、リン、コレステロール、重要にして、長い長い進化の歴史の中で、常に不足勝ちだった物質は食べると美味しいと感じ、いくらでも吸収してしまいます。 現代人は、何億年という長い歴史の中でずっと不足し続けてきた物質を、逆に大量摂取するという、とんでもないショック状態にあるのです。

サバンナでは象が必死にソーダ灰(ナトリウム)を探し回り、見つけるやいなや灰色の土みたいなソーダ灰をバカバカ食べます。 その糞が草原に撒かれることで辛うじてナトリウム不足を補います。 象はサバンナが森にならないように木を切る役割ばかりかナトリウムを分散させる役割も担っています。 牧場の牛も放置すると深刻なナトリウム不足になるので、天日塩を固め雨が降っても流れない特殊な加工をしてそこら辺に置いておきます。 すると牛はペロペロ塩を舐めています。

動物の細胞はカリウムを細胞内に取り込みナトリウムを細胞外の体液に維持する傾向があります。太古の海の中、ご先祖の細胞様がなぜこういうことをするようになったかはよく分かりませんが、今の時代を生きる生物では、この手の特定ミネラル類をとりこんだり、放出したりする作用が、重要な生理機能を果たしています。 動物の場合は、細胞はカリウムリッチになりますが、(なので、カリウムを注射すると痛いのです。細胞が壊れたというシグナルですから)、周囲のリンパ液には沢山、ナトリウムがあり、概ね古代の海水の成分と似ているミネラルバランスを維持しています。  その点、植物は液胞にカリウムを大量に摂り込み生きている細胞の体積はわずかですのでナトリウムの比率はぐっと低くなります。 植物の方が、かつての生命の揺り篭、海への未練を断ち切っているのでしょうか、、、。 

さて、このナトリウムやカリウムを運ぶもの、ナトリウムポンプとかカリウムポンプと呼ばれるもの。 簡単に言うと蛋白質が重なってできた竹輪みたいな中空チューブです。 竹輪の外壁の中ほどは油の性質をもつので油でできた細胞膜と馴染みます。 竹輪の両端付近は水に近い性質を持つので細胞膜から突き出て細胞の外と内にチューブの口が開くことになります。 そして、ナトリウムポンプはナトリウムイオンがぴったり納まる入り口をもっています。 一旦、口にナトリウムイオンがはまると、わざわざエネルギー(ここで、リンが登場します、、、うううん、面倒なので説明パス)を使って、この蛋白質でできた竹輪の構造を変化させます。 ギュッと入り口が閉り、竹輪の内壁の一部がナトリウムイオンに接近するのですが、内壁は電気を帯びており、プラスの電気をもつナトリウムイオンを電気的な反発力で、ポン! と反対側へ押し出すのです。 ポンプというより、電磁パルス砲なのですが。 こうして、細胞は、特定の物質を細胞の外へ出したり、中へ入れたり選択的に輸送しているのです。

腎臓細胞は、血液を一旦捨て、捨てた中から必要な物質を再吸収して残りを尿として、ほんとに捨ててしまいます。 そのため、沢山の種類の強力ポンプを大量に装備しています。  この腎臓細胞ががんになっても元の細胞の強力ポンプの性質はひきずっています。 そのため、抗がん剤、特に化学療法剤を投与しても、どんどんポンプで細胞の外へ汲み出してしまいます。 一種類の化学療法剤を投与しても、ポンプ遺伝子を刺激しポンプを量産するので、他の種類の化学療法剤も構わず、汲み出します。
どんな細胞にもポンプはあり、化学療法剤の投与を続けると、いつかはポンプの大軍を揃え、薬剤が効かなくなる時が訪れます。 その中でも腎臓は特にポンプが強いので最初から化学療法剤が効かないのです。

塩の話は、もっと長編を予定しておりましたが、不評につき、
この辺で、打ち止めにしましょう。

 

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