藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2020年05月06日

  

免疫

今さらながらという気もするのですが。

 

新型コロナウイルスでこれをやると感染リスクも高く、また感染した際に重症化リスクも高いというNGな行為について。 外出規制が徹底される前からホテルなどにはビュッフェスタイルの食事提供はやめるように「強めの要請」が政府からでておりましたので、当然、周知徹底されていくものと思っておりました。 ところが案外、人と話すと知らないという方も多いので念のため。

 

わかりやすいのはイタリア風食事風景。 あの国には50回以上行きましたが、とにかくよくしゃべります。イタリアといっても地域によって文化や民族がかなり異なるのですが、まあミラノのイメージで書いています。井戸端会議どころではなく大きなおじさんがいつまでも延々と喋りあっています。話し合いというより互いに言うことを言ってるだけで同時に発言している場面も多いですね。 嫌いな国ではなかったですが仕事をするには苛つくことはよくありました。その一つがこのいつ終わるとも知れぬおしゃべり。 アポが終わって次へいこうとするとだれかと誰かが始め、次いくぞ!と怒鳴りつけるまでやってます。 彼らはあまり食事をしません。 食べる量もそれほどではありません。 私などは向うへいくととんでもなく大量に食べる奴と驚かれましたが、仕事で動いている時などは1日に1食ということも珍しくありません。日本人が3食きっちり食べるとよく驚かれていました。総量では日本人というのはよく食べるな、というのが日本人と終日行動を共にする経験のあるイタリア人の感想というところでしょうか。そのかわり、ディナーはまあ、いつまでも長々とおしゃべりを楽しみながら延々と余興なき宴会が続きます。 ヨーロッパでは密集して席に座るのをいやがる民族が多いですが、連中は平気です。 狭いテーブルに所せましと大皿にもられた料理を並べ、肩を寄せ合い互いの手が触れてもそれほど気にせず小皿にとりわけて喋りながら時々食事を口に運びます。ゴッドファーザーやメディチ家頭首等、超上流階級はお食事中に限らず大変礼儀正しいですが、それはもうごく一部の方々です。 食事のルールはあるにはあるもののかなり適当でフォークもさほど取り換えずただひたすら喋りながら食べ続けます。誰かが発言していてもおかまいなし、同時に何人もが言葉を発しています。

 

新型コロナウイルスはインフルエンザウイルスほど広い空間に一気に広まって感染するということはありませんが、広がらない分、感染者周囲メートル範囲にはドカッと集中的に大量のウイルスがくっついた「大き目」の飛沫がボタボタ落ちています。 TVやネットでよくマイクロ飛沫が換気することで散っていくという映像を見せていますが、あれを見ている人の中には光っているのがウイルスだと思う人もいるのかもしれません。あれは「チリ」のようなものでウイルスが映るわけではありません。では外に出されたウイルスはどうなるのでしょうか。 これがもし強い感染力をもつウイルスであったら感染源をばらまいたことになりますが新型コロナウイルスはそこまで強い感染力はなく、微量分散ウイルスを風で飛ばして広い空間に撒いてしまえば、その程度のウイルス量を吸い込んでも感染は成立しません。 SARSウイルスの感染流行の際にも窓をあけて外気をとりこみ徹底して換気した病院では院内感染がなく、密閉していた施設では大変な院内感染が起こったことから経験則として伝えられていることですが、新型コロナウイルスはおそらく近いウイルスであろうということで換気の重要性は当初から指摘されていました。  おそらく、ですが、大声で話ながら食事をする人からこぼれ出た大き目の飛沫に大量のウイルスがくっついている濃厚なウイルス塊を鼻から気道へ吸い込むのではなく口から体内に取り込んでしまうと重症化しやすいと考えられています。厳密に証明することはできませんので、あくまでそう考えられている、ということです。 テーブルの周りに密集して大声でしゃべりながらテーブルの上に並べられた食事をみんなで食べる。 日本で大きなクラスターとなったK大学の研修生のパーティーや、K産大のケース、阪神タイガースの選手らが感染したパーティー、いずれもこの条件に合い、感染率が非常に高いです。スペインをはじめヨーロッパで流行しているウイルスは日本で流行しているものとは遺伝子が変異した別タイプのウイルスであるという報告があります。 人を宿主としないウイルスはおおむね人から人へと感染する間、遺伝子が不安定でよく変異します。 遺伝子というか厳密に遺伝子であるとは限らないのですが、遺伝情報が載っていない部分も含めてゲノムに変異がある、というだけではウイルスの性質が変わったことの証明にはなりません。特に遺伝子としての情報が載っていない部分のゲノムはよく変異し、そこでの変異はほぼウイルスの性質に影響を与えません。 遺伝子情報が載っている部分のゲノムであっても、コアリージョンと呼ばれる重要な性質を決める部分は通常それほど変異はせず、おそらく変異はしているのでしょうが、変異するとまずウイルスにとって好ましくない変異であり、コアリージョンに変異が発生したウイルスは消えていきます。 万一、ウイルスにとって悪性度を増すコアリージョンの変異が生じたら、これはえらいことになります。 K産大のケースでは、スペインから帰国した人を含むパーティーだったということで変異して強力になったウイルスがヨーロッパから持ち込まれたという説が広まりました。これを完全に否定する根拠はまだありませんが、もし強毒化したウイルスが日本に上陸し大きなクラスターをつくったのなら、今頃、死亡者数が激増していてもおかしくないはずですが、特にそうした兆候は見られません。 まだまだ現時点では「意味のある」(危険という意味ですが)ウイルス遺伝子の変異はみつかっていない、意味があるかどうかはわからない変異はいくつもみつかっており、日本とヨーロッパでは流行しているウイルスのゲノムに微妙な違いはある、だからといってヨーロッパ型が危険で日本型は悪性度が穏やかであるとまでは言えない状況です。

 

 

さて、口からの感染に気をつけろ、これは当初から言われていたことです。専門家会議といってますが新型コロナウイルスの専門家はいません。新型ですから。 いや私が専門家なんです、なんていうと、じゃあ、あなたがこのウイルスを作ったんですね、と言われかねないですから注意が必要です。 一般コロナウイルスの専門家。 これもまあ非常に少なく、大変失礼ながらマイナーな分野ですのであまり有名というわけにはいきません。 政治家は真の専門家よりもマスメディア等で有名な人のコメントを利用します。 新型コロナウイルスと同じRNA一本鎖ウイルスでプラス型となると、重篤な疾病を起こすものが少なく、そもそもそれほど注目されないウイルスファミリーです。 こうなるとRNAウイルス一本鎖でマイナス型ではありますが、インフルエンザが同じ呼吸器系でもあり、そもそもパンデミック対策のシステムは高病原性インフルエンザに備えて構築されていますので、この分野の世界の第一人者であられる喜田宏先生(北大獣医学部助教授時代はインフルエンザウイルスの流行メカニズムを解明したにもかかわらず出世しないと言われていましたが、ウイルス学会の基調講演に招かれ、人獣共通感染症センターの所長にご就任、またお弟子さんの多くがウイルス関連の要職に次々と就任されていかれました)が語られることがWHO総長や米国CDC(疾病コントロールセンター、感染症対策の世界の中心)に対して大きなインパクトを持ちます。 喜田宏先生とは永らくお会いしていませんが、次にお会いする際には高病原性インフルエンザ対策についての打ち合わせと自分では決めています。新型コロナウイルスに関しては特に質問したいこともなく、伝え聞くところ今回も精力的に各界の要人にアドバイスを送っておられるそうです。この先生、インフルエンザは口を注意せんと、これをずっとおっしゃってます。 気道感染ばかりに目がいくが口から感染すると重症化しやすい。 また消化管の中にも結構ウイルスがいる、と。 もともとインフルエンザウイルスは野生の鴨の消化管によくいるウイルスです。 鴨は風邪はひきませんが、少し下痢をすることはあります。新型コロナウイルスも血液中の抗体が消えている人であっても糞便からはウイルスが検出されるケースが見られます。おそらく消化管にもいるのでしょうが、胃が痛いとか、下痢といった症状を訴える感染者は目立ちませんので消化器官の中では暴れはしないのでしょうか。 もちろん、新型コロナウイルスにようやく関心が集まり始めた初期段階では、誰も本当のことはわからないわけですから、インフルエンザの重鎮のお言葉も無視はできないものの違う種類のウイルスだからどうなのか、という迷いもあったのでしょう。 政府はTVなどを通じて、長時間の喋りながらの密集した食事はやめましょう、と強調することはなかったですが、先ほどのようにホテルにはビュッフェはやめてほしい、と要請し、東京都も飲食系への自粛を強く呼びかける傾向はありました。 米国CDC内部でも飛沫核を呼気として吸い込む気道感染よりも経口感染を注意しないといけない、と当初から言ってました。イタリア人の習慣についてもあれは危ないということを1月の段階から言ってました。 私自身はそれでどの程度重症化するのか? という感じでピンとはこなかったのでこのブログでも経口感染のことを書きませんでしたので完全に時期は逸しているのですが、今回はあくまで念のため、です。

 

ちなみに先ほどの専門家は常日頃、豚に注意しろ、とおっしゃっています。これには根拠があり、豚の上皮細胞にはヒトの上皮細胞と共通のレセプターがあります。豚の気道上皮細胞には鳥のウイルスのレセプターもあり、実際に鳥のインフルエンザは豚の気道上皮細胞に感染した際に、同じ豚の細胞に感染したヒトのウイルスと遺伝子組み換えを起こし、ヒト・ヒト感染するウイルスに変化して人間界に流行します。 人間と豚は「よく似ている」動物です。 姿がではなく、進化上の位置です。 人類学では人類が頂点であり、万物の霊長よろしく「直立二足歩行」を常態とする進化史上唯一の生物なのですが、人類学ではなく「進化論」の基準でいえば哺乳類の系統進化は「消化管」の進化をベースにします。一番下等(あくまで進化上の位置です)なのが現生哺乳類共通の祖先である馬です(馬は賢い生き物ですが進化論上は下等な位置にいます)。 植物繊維を大量に食べ、今ひとつ消化しきれずに「馬糞」を排泄するわけですが、飼料効率が非常に悪いわけです。 次に進化しているのがネズミ、猪(家畜化した豚)、ヒトなど雑食系の動物です。動物性たんぱく質も直接摂取するなど食べ物の多様化が進んでいます。そして一番進化しているのが牛の仲間。鹿もそうですが繊維を消化する消化官内細菌(人間なら腸内細菌ですが、牛は胃が消化の主力なので)だけではなく、消化管内細菌を食べて動物性たんぱく質を大量生産する原生動物が胃に大量に存在します。これはとにかく効率がいいのです。 サバンナをみれば、イボイノシシの小さな群れがチョロチョロしているのを尻目に巨大なヌーやアフリカ水牛、これにインパラをはじめ、牛・鹿の仲間が体の大きさでも個体数でも圧倒しています。 豚と人間は様々な点で「共通項」があり、近い種類のウイルスにお互い共通に感染する傾向があります。それならサルやネズミもおんなじかというと、これがなぜか豚は特にヒトに近い性質が多いのです。生化学的といいますが、糖尿病の治療に使われてきたインスリンも、かつてはほとんどが毎年、何億頭という豚から抽出されていたのですが、端っこのアミノ酸が一個、ヒトインスリンと違うものの、徹底して精製するとヒトの免疫システムは全く異物と認識しません。他の動物ではそうはいきません。豚の真皮はそのまま火傷した人間のただれた皮膚にはりつけても自分の皮膚が生えてきたようにすぐ機能します。 数えればきりがありませんが、豚とヒトは似ているのです。どちらも皮下脂肪をもち陸上に住む哺乳類としては珍しい生き物です。 ということなどで、コウモリやセンザンコウではなく、「豚」を注意すべきである、と。 人間に感染しやすいウイルスが豚の体内でバリエーションを増やしていたり中間宿主となっている可能性もある、と。 実際、2013年から豚の間にコロナウイルス感染の流行が広まっており、被害をもたらしているのは現在問題の新型コロナウイルスと同じではありませんが、豚の間にコロナウイルスが蔓延していると、その中から自然に発生した(家畜を自然と呼ぶのかは別にして)遺伝子組換により、ヒトにとって悪性度を増したウイルスが発生する潜在リスクが高くなっているということです。 とりあえず今回の新型コロナウイルス問題とは関係ないように「思われます」が。 基本的に注意すべきは豚であるというのはよく耳を傾けるべきと考えます。

 

エイズウイルスも「血液のウイルス」というイメージですが、人間の体内でホスト的な役割をする代表格は直腸にいる樹状細胞です。 初期の感染ルートであった肛門性交の場合は特にそうなります。 ところが直腸内でエイズウイルスは「暴れる」わけではありません。大した症状を発症することもなくやがて樹状細胞からエイズウイルスゲノムのコピーがT細胞に移入され、今度はT細胞が全身にウイルスを運びます。申し上げたいのは症状が目につく部位と、ウイルスが潜んでいたり、初期の橋頭保を確保したり、あるいは重症化の際に一気に侵入する場所、などが一致しないことも多いということです。 インフルエンザウイルスの感染に対しては口腔内のマクロファージがよく反応することが知られていいます。 また骨髄へ侵入し、さらに脳へ侵入しインフルエンザ脳症を発症することで病死となることも知られています。呼吸器系のウイルスとしてイメージされていますが、感染部位や重症化部位が必ずしも呼吸器とは限りません。新型コロナウイルスは「肺炎」が問題ですが、重症化する手前の段階で、どこで勢力を増強しているのか、症状をあまり出さずに宿主のように利用する組織があるのか、そういったことは先入観をもたずによく調べる必要があります。

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