藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2015年02月01日

  

免疫

2015.1.31.
 
 
少し時間がたってしまいましたが
免疫治療に関する臨床試験の評価基準の
提案がなされ、厚生労働省も慎重に検討する
というニュースが、朝日新聞系を中心に
報道されていました。
 
様々なグループが動いていますが
今回のは、三重大学の珠玖教授を
リーダーとしています。
 
この方は、いわゆる がんワクチン 
それも WT1 がんワクチンの
研究の第一人者のお一人です。
 
 
この方は、WT1ペプチドワクチンで
がんを治療することに
専門家として疑問を
呈しておられます。
 
結局、効かないではないか、と。
 
ペプチドでは無理なのではないか、
アミノ酸が何個かつながっただけの
小さな分子ではうまくいかない
ということではないのか
ならば、WT1タンパクをフォールプロテイン、
要するに、タンパク質分子丸ごと、
免疫細胞の中に入れ
免疫細胞の中で、細かくペプチドに
分解されていくプロセスの中で、
一部ペプチドが、細胞表面の
MHCクラスI に提示されるのではないか、
と提言されたことがあります。
 
研究者とはこういうもので、
ペプチドワクチンの研究をやってるからといって
それでうまくいくと主張しているのではなく
あくまで研究しているのです。
で、うまくいかないとなると
次の手を考えるのです。
 
それをメディアが、あたかもすでに
有効性が確認されているような報道をすると
患者さんは、混乱してしまいます。
 
 
さて、今回の免疫治療に関する
臨床試験のガイドラインの提案なのですが、
とても、「変」な内容で報道されています。
 
 
というのは、免疫治療というのは、
腫瘍を縮小させることはできなくても、
患者が延命することはあるので、
抗がん剤のような腫瘍縮小効果で奏効率を
判定する方法以外の効果判定法を
確立すべきである、と「報道」されています。
 
珠玖教授が、
こんなことを実際に
おっしゃったのかどうかは
確認しておりませんので、
あくまで、「報道」されたことへの
コメントですが、明らかに「変」です。
 
 
 
米国LAK療法もANK療法も
画像上の消滅も含めた腫瘍縮小効果が
みられますが、腫瘍縮小効果がみられない
免疫治療というのは、それは、単純に
治療強度が弱いからです。
 
当然、がんワクチンのグループが集まると
腫瘍縮小効果など、あるわけがないものを
研究しておられるのですから、延命効果が
認められることに懸けていくしかありません。
 
 
 
 
 
ただ、そもそも、抗がん剤の効果判定基準は、
 
「延命」です。
 
 
「腫瘍縮小」に基く
「奏効率」ではありません。
 
 
海外では、80年代終わりから
90年代にかけて
国内では、2005年前後あたりから、
奏効率ではなく延命を効果判定基準と
するようになり、
それ以前に承認されたものは、
効果判定基準が間違っていたことが
明らかになったにもかかわらず
承認取消にならずに
そのまま使われています。
 
 
 
さて、がん免疫治療の目的は二つあります。
 
 
 がん細胞を傷害すること
 
 抑制された腫瘍免疫を回復させること
 
 
結果として、腫瘍は消滅し、再発も転移もしない
 
ここがゴールです。
 
 
 
効果判定も、腫瘍縮小、免疫刺激 この二つを
基準とすべきで、その上で、長期的に生存期間の延伸
再発や転移のリスク低減を参考とする
(長期データは集めるのが物凄く大変ですので
 一応、参考としておきます) 
 
こうするのが本来あるべき姿です。
 
 
 
腫瘍縮小が見れない
ということは、
とりあえず治療強度が足りない
ということです。
 
では、治療強度を強くすればどうなのか。
 
 
がんワクチンのように、どうやっても
腫瘍が縮小しない、というのは
原理的に無理がある、ということです。
 
 
 
100人の患者を治療して100人全員でなくても
何人かは、腫瘍縮小がみられないと、どうにも
歯が立っていない、ということになります。
 
 
殺細胞剤による腫瘍縮小効果というのは
それが、大きければ大きいほど、正常細胞の
ダメージも大きいことになり
結果的に、腫瘍縮小による奏効率は
患者余命の延伸に寄与しないどころか
「よく効く」ほど、いつまでも投与を続けると
むしろ、余命は短くなります。
 
免疫治療の場合、腫瘍が縮小するほど
体内の免疫も強くなっているはずです。
 
 
免疫治療こそ、腫瘍縮小で効果判定する
意味はあるのです。
 
 
もちろん、それで結果的に患者余命の延伸に
寄与しなければ、それは実質的には有効では
なかったことになりますが、とりあえずの
効果判定にはなっています。
 
標準治療の現行の効果判定基準よりは
はるかに意味のあるものなります。
 
 
 
そうなると、治療強度が決定的に不足する
治療を推進している人々にとっては都合が悪いのです。
 
 
 
もっとも免疫系のがん治療の場合
腫瘍縮小がみられるまでに時間がかかることはあります。
また、腫瘍縮小後の予後は、抗がん剤よりもいいようですが
これを単純なデータにするのは難しいものがあります。
 
 
やはり、慎重に進めなければいけない、これはその通りです。
 
 
一般の医薬品においても単純な測定基準で、シンプルなデータを
統計処理するため、有効性は確認されたものの、はたして患者の
ためになっているのか、というものが大量に保険適用されています。
 
結局、複数のデータを集めて、総合勘案しなければいけない
つまり、「考える」プロセスが必要ということになりますが
こうなると、誰かの恣意的な操作が入るので国民の資産を
投入する保険適用にはできない、という話に戻ってしまいます。
 
それでも、単一データの統計処理で白か黒かを出す
このやり方は限界です。  
データの根拠や意味について考えること
なくして、現状のがん治療における閉塞感を
打破することはできないでしょう。

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