藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2015年04月03日

  

免疫

2015.4.3.
 
 
 
テラさんが、細胞の凍結保管時に使用する
添加剤の独占的通常実施権を取得したと
発表されています。
 
 
これについて、どうなのか? 
 
とお問い合わせをいただいております。
 
 
ヒトの細胞を凍結保管する際に
注意すべきことがあります。
突然、細胞内の水が
一気に氷の結晶になってしまうと
細胞が傷つき、死んでしまうこともあるのです。
 
金魚なら、いきなり液体窒素に放り込んで
カチカチに凍らせて、今度は、
金魚氷を、水に投げ込むと
何事もなかったかのように
ほどなく泳ぎます。
 
池が凍結したくらいでは死なない、寒いところにも
すんでる淡水魚ならではの生命力です。
 
人間は、日常生活の中で、体が凍ることはまずありませんので
個々の細胞も、凍らない前提になっているため、
金魚のようにはいきません。
 
 
 
話を戻しますと、細胞内部に、大きな氷の塊が
できることで、細胞が傷害を受けないように、
凍結時に、ジワジワと小さな氷の結晶ができる
ようにする必要があります。
 
この目的で、添加剤としてよく用いられているのが
DMSF(ジメチルスルフォキシド)です。
 
 
これに替わる物質として、カルボキシル化ポリL-リジンが
使えると、特許申請したベンチャー企業がいます。
株式会社バイオベルデ というところです。
そこから実施権を買ったということなのでしょう。
 
 
特に、特別、DMSFより有利とはいえないのですが
テラさんのプレスリリースには、DMSFは有害であるが
今回、実施権を取得したものは、そのまま人体に
戻せるとしています。
大元のバイオベルデ社のHPには
DMSFと同等の機能である、としています。
特徴は、DMSFと異なり、細胞の分化への
影響が軽微である、としています。
 
再生医療で、体外において、組織を再構成する場合
細胞の分化への影響は、極力、排除する必要があります。
免疫細胞療法の場合は、分化が進んだ細胞を
凍結保管するので、あまり意味はありません。
 
どうも、話が食い違っている感は否めません。
 
 
DMSFと、カルボキシル化ポリL-リジンの違いが
どうであろうと、そういうことには関係なく、
実用上の観点からは、あまり意味があるとは
考えられません。
 
 
免疫細胞療法においては、
体内に戻した後、即座に機能することが
重要です。
 
一方、再生医療における、培養組織を体内に戻す場合は
とりあえず、生きていてくれればいいわけです。
生きのびて、周囲の組織に馴染むように「生着」し
それからおもむろに機能を発揮し始めても問題ありません。
輸送、保管された組織は、輸送や保管中に傷まないことが
重要なのであって、活性を高めておく必要が高いとは
限りません。
 
がん免疫細胞療法においては、
体内に戻された途端に、
がん細胞が仕掛けている
強い免疫抑制を受けてしまいます。
よほど、活性を高め、数もそろえて
点滴しないと、体内に戻された途端に
免疫抑制によって眠りこけるのです。
これでは役に立ちません。
 
点滴で戻す際に、
十分な活性を維持していること
これは、免疫細胞療法を実施する上で
必須要件の一つです。
 
よく誤解されていることですが、
免疫細胞療法に用いる細胞は
「常温」で輸送するのがベストなのです。
 
 
常温でないと、活性を維持できないからです。
 
 
 
細胞を、冷やしてしまうと、活性が下がります。
 
ましてや、凍結して、解凍した直後は、
完全に活性が下がってしまっています。
この状態では、ろくに機能できません。
寝起きの免疫細胞を、強烈な免疫抑制下にある
がん患者体内に戻すと、即、熟睡となってしまいます。
 
 
結局のところ、培養センターで、ゆっくり解凍し
その後、洗浄をするので、多少、どんなものを
使っていても、大差はありません。
凍結時に、細胞が傷つかないようにする機能が
重要なのであって、
解凍後のことは、どうせ洗うので、
洗い流せるものである限り
何使っていても、
おんなじ、なのです。
 
もっと重要なことがあります。
再培養して、活性を高め、戦闘モードになるまで
よく起こした状態にしないと、役に立ちません。
元気な状態なら、常温輸送により、相当の
長時間、活性を維持しています。
 
医薬品として、免疫細胞療法を捉えるなら
工場で製造後、流通させ、医療機関で保管する
ということも考えないと、ということなのでしょうが、
臨床現場の医療機関で、凍結された細胞を解凍し
活性を高めた状態までもっていくのは
非現実的です。
 
細胞培養センターで、即座に点滴できる状態に
しないと、実用性はありません。
 
 
 
どこから、どうみても、意味がよくわかりません、、、、、

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