藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

TOP > 自然免疫(8) 免疫抑制 強力ゆえの自己制御

2008年11月09日

  

免疫

2008.11.9. 免疫療法は、免疫抑制というシステムを考慮せずには考えられません。 体内には、自然免疫による強力な攻撃力が存在し、異物、がん細胞、正常細胞、あらゆるものを状況に応じて激しく攻撃する戦力が温存され、ブレーキをかけた状態で待機させているのです。 これが一斉に作動するのが、何日か前に書きました、野生の動物が自然死した場合の自己消化です。 前駆体として保管されていた消化酵素や、炎症系のシステムが一斉に作動し、あっという間に自分の体をトロトロに溶かし、文字通り土に還ります。(野生であっても、殺された場合は、そうはなりません) 生命のシステムは、即応可能なように、最高レベルにエネルギーを蓄えておき、必要なときに一気に放出する、という仕組みをよく採用しています。 例えば神経細胞は電気信号を伝えますが、基本的には神経細胞に限らず、全ての細胞が電気信号を伝播する仕組みをもっています。 普段、わざわざエネルギーを使って、原子レベルのポンプを動かしているのです。このポンプでナトリウムイオンを細胞の外へ、カリウムイオンを細胞の中へと運んでいます。 どちらもプラスの電気をもったイオンですが、ナトリウムの方が量が多いので細胞の外がプラス、内側がマイナスに帯電します。そして信号伝達が必要なときに、両方のイオンが一瞬にして細胞膜を通過できる穴をあけます。 結果的にプラスの電気が沢山はいってくるので、細胞の外側がマイナス方向へ、内側がプラス方向へと電位が変化します。 この電気変化を隣接するエリア毎に連続して行うことで電気信号を伝えるのです。細かいことはどうでもいいのですが、何か事が起こったときに、慌ててポンプを動かして電位を溜めても時間がかかってしまうのです。 なので普段からエネルギーを消耗してでも、沢山の電気を溜めておくのです。それを一気に放出して迅速かつ強い電気信号を送るのです。自然免疫も、最高度の破壊力を蓄えながら、それが自分の正常細胞を尽く破壊しないように、強力な制御をかけているのです。健康な人でも、免疫抑制は強くかかっています。 がん患者さんとなると、更に、強力に免疫抑制がかかります。 がん細胞だって、殺されたくないので、目の上の瘤であるNK細胞が眠るよう、非常に強力な免疫抑制物質を放出するのです。 がん患者さんのNK細胞は残念ながら、調べた限り、一人の例外もなく、がん細胞を殺す能力が眠らされています。 健常人といわれる人(医学では健康の定義はありません、病気と診断されていなければ健常といいます。みるからに元気そうでも、青白くてヒョロヒョロしていても、病気と診断がつかなければ、全く同じ健常人なのです)は、NK細胞の活性(がん細胞を殺す能力)が低い人もいれば高い人もいます。あんまり低い人は短期間にがんを発症し、すぐに、、、 ということになってしまわれました。 高い人はなかなか、がんを発症しませんが、これは何十年にも亘って追跡調査をしないと、データにはなりません。 さて、強力な免疫抑制下にあるがん患者さんに、生半可な免疫療法を実施しても、がん細胞を次々と殺していく、というレベルには踏み込めないのです。非常に強力なインパクトをもって、免疫抑制状態を打破しないと、がん細胞を殺すことはできません。  

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