藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

TOP > 免疫チェックポイント阻害薬の呼称について

2016年02月16日

  

くすり, 免疫

2016.2.16.
 
 
 
免疫チェックポイント阻害薬のメディアでの
呼び名は、概ね、「がん免疫療法」となっています。
 
これは間違いではありません。
 
 
紛れもなく、免疫療法の一種です。
 
 
一方、がん免疫療法ではなく
分子標的薬と呼ぶべきであるとする
意見もあります。
 
というかですね、このブログでも
リンパ球バンクが関与している
出版物でも、免疫チェックポイント阻害薬のことを
最初から、「分子標的薬の一種」と称しています。
 
 
免疫チェックポイント阻害薬には
「免疫」という名前がついていますから
免疫療法の一種であろうことは容易に
想像がつきますが、「分子標的薬」というと
「免疫」という名前がついてませんから
免疫療法の一種であることがわかりにくくなります。
 
 
そもそも、分子標的薬は基本的に
免疫療法の一種です。
実際に、分子標的薬は、ANK療法と
よく一緒に併用されているのです。
 
 
さて、標準治療礼賛派の方の中には
免疫チェックポイント阻害薬を
がん免疫療法と報道するから
活性化リンパ球療法や
がんワクチン療法まで
一緒に捉える人がでてきてしまうのである、と。
エビデンスのある免疫チェックポイント阻害薬と
エビデンスのない療法を混同してしまうからよくないんだ、と
おっしゃるようです。
 
 免疫細胞療法にはエビデンスがあることを
 ご存じないようですが、まあ、確かに
 がんワクチン療法というのはエビデンスが
 ありませんね。
 
当方は、当初から、いえいえ、分子標的薬はそもそも
「免疫重視の考え方に基く新しい抗がん剤」ですよ
と言い続けてきております。
 
分子標的薬のうち、リューマチの薬は関係ありませんが
がん治療に用いる分子標的薬のことを
「がん免疫療法」と称しても、間違いではありません。
 
間違いではありませんが、
 
「間違いではない」 ということと
「誤解を招きやすい」ということは
別次元の問題です。
 
リンパ球バンクは、一貫して、ANK療法のような
免疫細胞を体外培養して患者体内に戻す治療を
「免疫細胞療法」と呼称し、
「分子標的薬」のことを
「免疫重視の新しい抗がん剤」と呼称してきました。
免疫に関連する治療なら、なんであっても
免疫療法と称して、間違いではありませんが
「薬」と「細胞医療」を同じ名前で呼んでしまうと
患者さんは、混乱してしまうだろうと考え、
両者の呼び方は区別してきました。
 
 
 
免疫チェックポイント阻害薬といっても
それは概念であって、これからどんどん
新しい薬剤が登場するはずです。
 
現状、承認取得済のものはPD-1 とか
PD-L1 を標的とするものですが、
これらの物質は、主にT細胞の多くに
広く発現する物質です。
そして、B7遺伝子系統というのですが
数多くの遺伝子が互いに影響しあって
発現を制御するシステムですので
PD-1 とか、PD-L1 のような
レセプターに何かを結合させると
細胞内で、どのような一連の反応が
惹起されるか予想困難です。
 
少なくとも、T細胞に腫瘍特異性は
ありませんので、PD-1 やPD-L1を
触りに行っても、ピンポイントに
腫瘍免疫系にヒットしているとは
限りません。
 
むしろ、ADCC活性をもつ分子標的薬の場合は、
明確にNK細胞との親和性が高いわけです。
そして、NK細胞には、高い腫瘍特異性があります。
ハーセプチンは、オブジーボやヤーボイよりも
遥かにクリアカットな
「免疫チェックポイント薬」 なのです。
但し、「阻害薬」ではなく
「刺激剤」です。
 
直接的にNK細胞と結合する分子標的薬は
作用機序から考えても、最も「免疫療法」的な
薬剤です。 免疫チェックポイント阻害薬のような
すこしブロードな標的を狙う薬剤に比べると
よっぽどピンポイントなチェックポイント薬です。
 
ADCC活性をもたない他の分子標的薬の場合は
免疫細胞との直接的な相互作用は及ぼしませんので
それを「免疫療法」と言ってしまうのは
言い過ぎ感もあり、「免疫重視の考え方に基く新しい抗がん剤」と
言ってきたのです。 イレッサやタルセバは、NK細胞を
直接、刺激するのではありませんが、免疫細胞に悪影響を
及ぼさない、という設計になっています。
そして、薬剤そのものは、がん細胞を傷害しませんが
NK細胞が、がん細胞を傷害するのを「待つ」わけです。
実際、単独投与なら、腫瘍が消滅し、再発しない人も
ごく僅かながら、でてきます。 
がん細胞を傷害しない
薬で、腫瘍が消滅するのは、体内のNK細胞の
傷害速度が、イレッサやタルセバなどによって、
増殖にブレーキをかけられたがん細胞の増殖ペースを
上回り続け、やがて、腫瘍が消滅したと考えるのが
自然です。
 
 
今、免疫チェックポイント阻害薬のブームですので
これに便乗する方が、「商売」はうまくいくのでしょう。
それで、実際に、患者さんが助かるなら、悪いことでは
ないのでしょうが、事実が歪んで伝わる、というのは
結局、遠回りをすることになります。
 
免疫チェックポイント阻害薬を
メディアが「がん免疫療法」と称することに
便乗して、免疫チェックポイント阻害薬を処方することを
宣伝文句にする医療機関も現れていますが、これは
違法ではないものの、「考え物」です。
 
投与するか、しないかは、まず医師の判断があり
それを患者さんサイドが、合意するかどうか、であって
また、他の治療で歯が立たない時には、ともかく
やってみる、という判断をすることもあるわけですが
現行の免疫チェックポイント阻害薬は、まだまだ
「駆け出し」のもので、効果の切れ味の割には、
自己免疫疾患の発生率も高く、重篤な副作用もあるので
いきなり、クリニックレベルで使うのは「考え物」です。
つまり、だめだと断言はできないものの
慎重に考えなければいけない、ということです。
 
 
分子標的薬には種類が多く
副作用発生頻度が低い
投与可否判断の検査がやりやすい
価格が比較的手ごろ
 
など、いくつかの条件を考慮しながら
これなら、クリニックでやってもいいか、と
慎重に判断すべきものですし、もちろん
状況によっては、副作用がでやすいもので
投与可否判断が困難な状況で、かつ価格も高いものを
使わざるを得ない場面もあるでしょう。
 
そこは、医師裁量権の範囲内と考えるのが筋でしょう。
問題なのは、「便乗商売」的に、話題のものを使っていく、
という姿勢です。
 
 
ただ、じゃ、「規制だ」 それはやり過ぎでしょう。
まともにやっているところまで、治療ができなくなると
結果的に、多くの患者さんの命が失われることになります。
 
 
まず、「話し合う」ことが先でしょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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