藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2019年01月25日

  

えとせとら, 免疫

インフルエンザにかかったかな? と思ったら。

 

通常、ご病気の方に対する医療相談であれば 「医師にご相談ください」 となるのですが。

 

インフルエンザの場合はそう単純にはいかない事情があります。

 

何人ものお医者さんが「インフルエンザを疑う人が病院に押しかけられたらウイルスをまかれて迷惑という側面もある」、「企業が社員に診断書をとってこいと命じることがあるが確定診断は簡単ではないのにわざわざ診断書取りにウイルスもってこられてもかなわん」、「NHKさんの番組でインフルエンザで亡くなった人のことを報道し恐怖をあおっておきながらお医者さんにかかりましょう、これはやり過ぎ」、などなど相次ぐ批判投稿がネット上を飛び交っています。 

 

インフルエンザは放置しても通常、数日でほぼ完治します。では亡くなることや重症化することはないのか、というと、元々、肺炎になりやすい衰弱している方などが呼吸障害を起こせば救急措置として気道確保などをしないと死に至るリスクもあります。 もしウイルスが血液へ移行し、更に脊髄へ侵入し、脳に達すればインフルエンザ脳症という致死レベルの重い疾病に至る可能性もあります。 という風にあおるといけないんだ、というお医者さん方のご批判があるわけですが、一応、本当に危険なこともあるので症状が重い場合は病院いかないとよくない、ということです。 高熱が続いているのに水分補給を怠れば脱水症状になるかもしれませんし、解熱剤をのめば解熱剤の免疫抑制作用によってウイルスが体内に広がり、脳に達するリスクも上がります。 結局、しんどいなら休む、ものすごくしんどいなら病院いく、会社休むくらいにしんどいのに病院に診断書とりにいけなど企業の方でも無茶はいわない、という当たり前の対応ができれば問題はないはずなのですが、異常な反応をする組織や人が多いのが問題です。

 

インフルエンザにかかっているのに外出したら迷惑行為だという言い方があります。一見、正論のように思えるかもしれません。そうね、ま、マスクして外出するから大丈夫かな、という人もいます。 インフルエンザは感染して48時間(ま、2日くらい、とお読みください)は自覚症状がありません。本人は気付いていないのです。この間に他人にウイルスをまきまくってます。 くしゃみしようがしまいが、マスクしようがしまいが、本人が息をしていれば即座に他人にウイルスを送り出しているのです。 現実問題として、他人にうつさないようにすることはできないのです。 症状がでてるのに方々、人ごみにでかけまくるのはどうかと思いますが、こうすれば防げる、こうすれば感染が広がらない、これが正しい! という決定的な方法はないのです。

 

でもやっぱりしんどいからお医者さんにいってタミフルを処方してもらって早く治そう、これも逆です。 タミフルが一番効果を発揮するのは「感染」48時間以内、つまり風邪の症状がでる前なので本人はまだ感染していることに気付かない時期です。 この時期に周辺の人にウイルスをばらまくのを抑えて伝播速度を抑えるのがこの薬の使命です。 あれ、風邪かな、と思った時にはもうタミフルの最適投与時期は過ぎたのです。 この薬、一人ずつの患者の病気を治すのではなく流行が広がる速度を遅くするという観点で実用化された薬です。 症状がでてからタミフルをのんでも症状のピークを抑える傾向があるようですが、完治までの時間が逆に延びてしまう傾向もあるようです。 本当に危険な高病原性インフルエンザの大流行発生時には全員がタミフルやリレンザの投与を受けるべきなのですが、一般の風邪までタミフルを処方してきたため、耐性ウイルスが拡散し、薬が効かなくなってきています。疫病発生時のための備蓄薬のはずが日本は処方しすぎたため国際的に非難を浴びています。 良心的な病院が最新のインフルエンザ薬の採用を見送ったことがニュースになっていますが、とても妥当な判断ですね。使ってもインフルエンザが治ることはない、使えば使うほど耐性ウイルスが増えていざ高病原性インフルエンザによるパンデミック発生となった時に役に立たなくなってしまうから不用意に使わないということです。

 

お医者さんの投稿の中にやってはいけないこととして「食べ過ぎ」という指摘があります。野生動物は病気になればじっと動かず、食べずに凌ぎます。消化は莫大なエネルギーを消耗します。 病気の時はむしろ病気の元を体外に排泄することに集中します。そのため脱水症状になっては命取りですので水分補給はまめに行う必要があります。 カテキン茶が効くという話が蔓延していますがカテキン成分が効いても効かなくてもお茶にして水分補給をチマチマ続けるのは理に適っています。私自身が開発担当だった免疫系の動物薬で乳房炎(乳牛の乳房の細菌性の炎症)によく効くものがあったのですがカテキン茶を餌に混ぜて併用すると確かに顕著な相乗効果が見られましたね。カテキンは「飼料」であって動物薬にはならないので、まあ現場で適当に一緒に使ってくださいとあまり深く突っ込まなかったですが。ともかく人間にどうかは知りません。害はないでしょうし、とりあえず飲んでおけばいいんじゃないですか。 栄養を摂るならビーフスープとか消化に負担がかからない暖かい汁物を少し口に流す程度で、何日か寝込んだくらいで栄養がなくなってしまうようなことはありません。

 

伝染病対策の基本は「隔離」ですが、パンデミックでもない限り、インフルエンザの流行で隔離はできませんし、徹底した移動制限を課すと経済危機になって大不況になりその方が途上国などでの犠牲者が増えるという議論もあります。 現実的には外出は可能な限り避ける、マスクで予防になると信じるのは妄想ですが、マスクはした方がいい、少なくともやって悪いことはない、うがい、手洗いはどっちでもいい、栄養はとるものの消化が大変なもの、特に食べ過ぎはよろしくない、解熱剤はのまない、水分補給は少しずつの量をまめに続ける、こういう基本動作しかありません。 インフルエンザに感染しない人も少なからずいますが、それは基本的に日常生活が妥当だということです。 感染してからあわてて、どうするのとやってもとりあえず間に合いません。 

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