藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

TOP > エビデンスの作り方~tPAの場合(1)

2009年02月10日

  

未分類

2009.2.10.
 
 
医薬品開発において、
エビデンスは、作るものです。
 
臨床試験をやってみて、
公正で客観的なデータ分析を行い、
治療効果を判定する、、、
 
そういうやり方では、製造承認を
取得するのは無理です。
仮に取得できても、
そういう薬は、長く市場に
とどまることは難しいです。
 
 
どんな数字が、どれ位、動けば
「効いた」と看做すのか、最初に
設計するのです。
 
「効く」、「効かない」の価値判断の基準が
定着すれば、その基準の上にエビデンスを
築いた薬は、何十年経っても、市場で繁栄します。
 
 
効いたかどうかを客観的に分析し、
判定するのが治験の
本質ではありません。
 
何をもって、効いたと看做すか
判断基準の設計が、治験の要です。
 
設計を間違わなければ、
想定通りの結果が出ます。 
ただし、予期せぬ副作用が
出ることはあります
 
副作用が出たら、今度は、
副作用を薬効と看做して、
判断基準を再設計し、
同じ物質を、別の薬効で
承認を取ることを考えます。
 
 
そして、どこまで試験期間を引っ張るか、
これ次第で、結果が、黒にも白にもなりますので、
どの時点の数字を、データとするかの
見極めが大事です
 
 
 
心筋梗塞の場合。
 
冠状動脈に血栓ができて、
心臓の筋肉に血液が行き渡らなくなると、
心筋梗塞にいたることがあります。
 
血栓溶解酵素で、冠状動脈の血栓を溶かす、
そんな治療が、バイオ医薬品の先頭バッターとして
脚光を浴びた時がありました。
 
宇宙ステーション、スペースラブの船内。
 
無重力に近い空間で、血栓溶解酵素、
ウロキナーゼ(UK)を大量に産生する細胞を
より分け、地上に持ち帰ってから、米国大手
医薬品メーカー、アボット社が、組織培養によって
UKの大量生産を始めました。 
組織培養を意味するTCをつけ、
TCUKと名づけられました。
 
三菱商事が総代理店として、日本の医薬品メーカーに
アボット社のTCUKをライセンスします。
 
日本のバイオ医薬品第一号です。
 
私が就職した時には、もう上市後だったのですが、
この仕事を決めた先輩に、 
 
「この薬、何の意味があるのですか?」
 
と、ぶしつけに質問しました。
 
「なんでって、日本のバイオ医薬品第一号だぞ、
 宇宙で開発された薬の第一号でもあるんだぞ、、、」
 
「いや、こんなの、オシッコから取れるUKと、どう違うんですか?
わざわざ、宇宙ステーションなんか使わなくても、そこら辺の
公衆トイレで尿を集めたらしまいじゃないですか。
どんな技術を使ったかなんて、患者さんにはどうでもいいことです。
薬なんだから、効けばいいんでしょ。」
 
TCUKは、薬価が高かったのです。
バイオ医薬第一号、宇宙医薬第一号、
物は、オシッコ品と大差ないのですが、
薬価が高いため、関係各社は、
儲かるのです。 
患者さんにとっては、、、、
他人のオシッコは嫌だ、
と言う人には福音かもしれませんが、
これ、心筋梗塞の薬ですからね、
どうのこうの言ってるより、
効くか効かないか、
それだけだと思いますけど。
 
UKは古い薬です。
戦後いつ頃からでしょうか、
ミドリ十字が、人尿を集めて
精製していました。
20歳位の男性の尿が
一番いい、ということで、
国内よりもっとコストが安く
大量に入手できるソースが選ばれました。
中国人民解放軍、軍といっても、
師団単位で会社のように
ビジネスをやるので、各部隊へ防腐剤入りの
容器を送って、それに入れてもらった
若い兵士の尿を買うのです。
香港の商社経由、台湾へ持ち込み、
パッと見、シルバーの灰のようなものまで
精製して日本へ持ち込みます。
 
こういうタイプの仕事は、知的所有権のライセンスではなく、
「物」の製造供給の流れをつくる、ということになります。
サンプルと分析表を見れば、ある程度の技術力のレベルは
分かりますので、そこそこ以上の相手と判断すると、
現場をみにいきます。 供給能力と品質管理は、
現場へいって、人と会わないと分かりません。
これは、と思えば、技術を教え、また、ウリナスタチンのような
他の医薬品の抽出方法も教え、有力メーカーとして
育てていきます。
 
UKの派生型で、proUKというのもありましたが、ま、省略しましょう。
 
SKというのもあります。
溶血性連鎖球菌、よく出てきますね、免疫療法の走りとなった菌です。
この菌がつくる物質で、連鎖をあらわすストレプト、溶解酵素をあらわす
カイネースをくっつけて、ストレプトカイネース(SK)と称します。
実際には、人間の自前の血栓溶解酵素の前駆体であるプラスミノーゲンに
結合することで、血栓溶解機能を誘導するものですから、カイネースでは
ないのですが、見つかった時に考えられた機能で、名前がついてしまいます。
この菌、培地に血液を加えると、SKを沢山つくります。
溶血性ですからね、人の血液を好み、血液の塊を溶かす機能があるのです。
人間の体内で、血液の塊で雪隠詰めにされるのを回避するために、
人間の血栓溶解酵素を活性化する、という、生きる智恵ですが、
それを人間様の病気の治療に使おうという策です。
 
そして、バイオベンチャーの老舗、ジェネンテック社の最初のブロックバスター級
バイオ医薬品、tPA  組織培養を表すt に、先述プラスミノーゲン、
それを活性化する Activator で、tPA です。 
 
 
SKのお値段は、200ドル位、注射したらそれでOK
UKは、概ね、コストは、2000ドル位だったでしょうか。
t-PAは、2万ドル位する上に、手術しながら投与するので、
総合費用は、20万ドルに達しました。
 
1対10対1000 のコスト比となる三つの医薬品
 
これらを総合比較するバトルロイヤル治験が実施されました。
 
 
続きは明日以降、、、

>>全投稿記事一覧を見る