藤井真則のブログ

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2018年12月15日

  

がん, 免疫

大人気の「ざんねんないきもの」シリーズ。

 

私も生物学科卒ですので、まあいろんな生き物を実際に見たり飼ったり、ほんとにごめんなさい解剖もしてきました。  色んなのが生きています。 とんでもないのから、なんでこいつが生き延びれたんだ、というのも。 も、どんくさあ、、、一発で食われると思うが、とか。

 

いろんなのが、案外、平気で生きています。

弱肉強食とか自然淘汰、強者が弱者を排除して進化しながら生き残った、という話を学校で習うわけですが、現実の野生の生き物は意外に仲良くやっていたり、少なくとも無駄な戦いはしない、とか、無理に進化の競争をやる気はないように見えます。 そして昔からいる生き物はどこかで生き延び、新しい生き物が加わるのであって、細かく分類した種でみれば過去に発生した生物のほとんどは絶滅しているわけですが、大まかな分類でいうと「競争」ではなく、「棲み分け」しながら互いに生きる場をみつけ、進化は「淘汰」ではなく「足し算」で進んできたように見えます。

 

今風の進化論は種ではなくて、遺伝子単位で見るのが流行しており、こういう見方をすると絶滅はほとんどしていない、になります。 人間には過去生きた生き物の情報が詰まっており、受精卵から赤ちゃんになる過程で魚のエラやら大気中の酸素分圧が今の半分の時代に使っていた蛋白質やら、わずか数か月の間に数億年の進化のプロセスを再現し、大人になっても頭の中には爬虫類の脳と馬あたりの原始的な哺乳類の脳に霊長類の脳が薄皮のように張り付いています。

 

分子遺伝学を専攻していた当時、ヒューマンゲノムプロジェクトの真っ最中で、DNA二重螺旋をみつけたことにしたワトソン博士からガンガン一方的な要求をする電話が教授室にかかってきました。当時の小川英行教授は、前段階の大腸菌ゲノムプロジェクトの日本側のまとめをやっておられたので、米国からの日本の研究者への「要求」をひたすら一方的に通知してきたのです。

こんなものは研究者を動員してやるものではなくて工場で作業としてやるもんでしょ、と教授に申し上げたら、その通りなんだが全ての分子生物の研究者をこのプロジェクトに投入しろと「命令」してくるんだ、という話でした。

 

で、大山鳴動して分かったことは遺伝子を調べても肝心な情報のほとんどがそこに書かれてはいない、だったのですが。 30億ほど並んでいるDNAの配列の大半は遺伝子ではありませんでした。何のためにそこにあるのか、わかりません。遺伝子として機能するのは1割くらい? と言われていたのがもっと少ないことがわかり、実は今でも正確にはわからないのですが、ごく一部だけが遺伝子として機能することがわかっています。あとは何をしてるのか、、、 あるいは何もしていないのか、わからないのです。 学校ではタンパク質の構造を決めるんだと教えていましたが、実際にタンパク質のアミノ酸配列情報が書かれている「構造遺伝子」は遺伝子のさらにごく一部です。 他は遺伝子の活動(発現)を制御するものでこの仕組みはかなり複雑です。 

 

 

さて、私たちの体の中にはT細胞が生きています。 あれ、なんでいるんでしょうね。 

別にT細胞なくても生きていけるのです。

T細胞が成熟しない遺伝病があり、まともなT細胞がほとんど育たないのですが、元気に長生きすることも可能です。ただしウイルス感染症と真菌の感染症には弱いので、この点は注意が必要です。 T細胞はウイルス感染や真菌感染に対しては重要な役割をはたしているので、やはり突然なくなってしまうとまずいのは事実です。 T細胞が存在する前提で進化してきたため、ウイルス感染にはT細胞が主役としてふるまうようになったのでしょうが、T細胞が存在しない脊索動物は、T細胞をもつ私たち脊椎動物よりはるかにウイルス感染に強い抵抗力を示します。 たとえばヤツメウナギは名前はウナギでも脊椎動物ではないのですが、まあ、手で掴む時はウナギと同じで指三本だけで挟むと簡単、両手で握るとスルスル、ヌルヌル、前へ進んで逃げてしまいます、で、この生き物およそ不衛生な腐った泥の中を好み、腐敗した魚の死骸などを好んで丸のみします。それでも感染症とは縁がありません。有害物質が蓄積したヘドロの中を動き回っていても、がんにもなりません。 体内にはNK細胞に相当する細胞が大量におり、高い活性を維持し、少々、何がどう感染しても平気です。

 

ところがT細胞をもつ脊椎動物は遥かに感染症に弱くなりました。

 

T細胞のどこが残念なのか、というとまずやたらと免疫抑制をかけたがります。

 

寄生虫は通常は免疫細胞に排除されますが、殺されないためにT細胞を呼び寄せます。特に免疫抑制系のT細胞を呼び集めて腫瘍を形成するのです。その中で寄生虫はぬくぬくと成長を続けるわけです。 ウイルスや細菌、それに、がん細胞も同じ様なことをやってのけます。脊索動物であるヤツメウナギやナメクジウオにはT細胞はいないので免疫抑制がそれほどかからず、NK細胞(NK様細胞)や他の自然免疫系の免疫細胞が活発に活動し、次々に外敵や、がん細胞を排除しているようです。

 

またT細胞は正常細胞をよく殺してしまいます。自己免疫疾患には少なからずT細胞が関与しています。これはものすごく残念なことです。ヤツメウナギは自己免疫疾患にはなりません。オタマジャクシの尻尾の細胞や人間で言えば幼児期や胎児期に使わなかった神経細胞などを免疫細胞が処分するのですが、T細胞にはこうした仲間殺しの任務もあります。

 

もっとも不思議なのは、臓器移植の際に、他人が命を懸けて提供してくれた生体肝などに文句を言うことです。 それはないやろ、と。 NK細胞は他人の細胞と仲良くし、本人であってもがん細胞は問答無用で攻撃しますが、T細胞は本人か他人かに拘ります。

臓器移植法が成立して20年経ちましたが、T細胞が生まれて数億年経っています。いろんな説がありますが、3億年ということはない、もっと古いでしょう。何億年前に臓器移植はやっていなかったと思うのですが、なぜ、わざわざ他人の臓器が体内に入ってくるのを拒絶するシステムを持つ必要があるのでしょうか。 これには深い話があるのですが、面倒ですから今回は書きません。ただ、他人から臓器もらって文句言うのはT細胞もやめた方がいいと思います。

 

免疫細胞のタイプによる性質に違いについてもっと詳しくという方はこちらへ

がんを殺傷する免疫細胞

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