藤井真則のブログ

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TOP > 順天堂大、血液がん細胞に穴をあけて死滅させる抗体を樹立、という報道について (1・・・

2016年04月08日

  

がん, くすり

2016.4.8.

 

 

4月6日の話で恐縮です。

順天堂大学さんが、

悪性リンパ腫や

成人T細胞白血病細胞を

従来法とは異なる手法で

死滅させる抗体を樹立した

と発表されました。

 

 

結論からいうと

まだ、何ともいえない

ということですが

つまり、医薬品になる

可能性はあるかもしれないし

ないかもしれない、

ということです。

 

研究成果を発表したいのは

当たり前のことですし

やったことをそのまま

発表するなら誰に

とやかく言われることは

ありません。

一方で、

ここから先が長い

という事実は

伝えるのが親切という

ものでしょう。

 

患者さんが、

こういうニュースを

目にすると、

私の病気も治るかもしれない

と思う人がでてきます。

 

報道すること自体は当然と考えます。

報道統制はやってはいけないことです。

今回のような基礎レベルのものは

ほとんどがそうですが、

実際に、この開発レベルの抗体を

いきなり人体に投与することはできません。

なので、まだ、人体に投与されてない

あるいは、すぐ患者さんの

治療に試すことはできません

とか、今さら、当たり前ではありますが、

決まり文句のように

基礎研究と実際の治療の

ギャップが大きいことを

周知徹底すべきでしょう。

殆どの患者さんは

どれほど新薬の開発に時間と

お金がかかるか、実態を

ご存じありません。

 

大学の研究がすぐ

実用化されると

思っている人

 

いやいや

開発って時間がかかるんだろ

5年とか、かかるんだろ

と思っている人

(5年では、全く話になりません)

 

お金もかかるんだろ、

5億とか10億とか

かかるんだろうな

と思ってる人もいらっしゃるようです。

(そんな資金では、ほぼ何もできません)

 

基礎からだと

発売まで、15~20年

通常の新薬で

開発費は、1000億円

バイオ系はその倍以上

 

というあたりが

おもいっきりざっくりとした

数字ですが、もちろん

ピンからキリまであります。

 

 

さて、今回、どこが、従来法と

違うのでしょうか。

 

 

マウスに対して

従来のような1種類ではなく

複数種類の悪性リンパ腫

こういう場合、人間様の

悪性リンパ腫細胞群です、

これらを一緒に

マウスの体内に

注入します。

 

こうしておいて

異物で刺激しておいた上で

マウスの抗体をつくる細胞を

摂り出します。

 

さて、たくさんの候補細胞の中から

悪性リンパ腫細胞に対する

傷害活性が高いものを選別するのですが

今回は、従来法にはないプロセスを

加えてあるとされています。

 

抗体産生細胞同士を融合させるのです。

細胞は、通常、ひとつひとつ存在し

お互いに境界は維持していますが、

いくつかの方法で

二つの細胞とか、

それ以上の細胞を互いにくっつけてしまい

大きな一つの細胞膜に

それまで別々だった細胞の中身が

一緒くたに包まれている

合いの子細胞にすることができます。

通常、融合「当初」は、

元の両方の細胞の性質をもっています。

 

こうして、ミックスされた抗体産生細胞群から

悪性リンパ腫細胞に対する傷害活性が強いものを

選別するわけです。

 

そうして、標的細胞の様々な部位を認識し

多くの悪性リンパ腫を傷害する抗体を

得ました、と。

 

マウスの病態モデルでは

この抗体を投与することで

延命効果が見られた、とされ、

また、正常細胞に対しては

傷害活性がないことも確認した、と

されています。

 

 

これだけ読むと

うまくいくように

思われるかもしれません。

 

 

ところが、

ここからが

長いのです。

 

 

複数の抗体が

まざっているのか

複数の認識サイトをもつ

一種類の抗体をつくったのか、、、

などなど、

チェックポイントは

山のようにあるのですが

まず、大量生産して

安定性を確保できるのか、

とか、数えきれないほどの

山々があります。

 

 

と、やっていくと

このブログも長くなりますので

何篇かに分けさせてください。

 

 

今日は、(1)ですが、

 

 

まず、マウスの実験の基本的で

多くの研究に共通の問題を指摘

させていただきます。

 

今回の研究だけの問題ではなく

「マウスによる、がん治療の実験」

すべてにおける共通の問題、です。

 

 

 

マウスの自然発生がんというのは

そう滅多にありませんが、

がん治療実験の際には、

マウスの免疫にある程度のダメージを

与えて、人間のがん細胞を移植します。

 

さて、この場合、NK細胞抜きマウスは

つくることができません。

 

人間でも、マウスでも、NK細胞は

生きていくのに必須の細胞ですので

NK細胞がなければ、生まれてきません。

 

完全に免疫機能を取り除いたマウスは

つくれない、ということです。

 

一方、T細胞はなくても
生きていけますので
T細胞がほとんど成熟しない
マウスはつくれますし
遺伝的な問題で
T細胞がほとんど成熟しない
人も生まれてきますが
特に、がんになりやすい
わけではなく、ウイルス感染症に
弱くなっています。

 

さて、マウス体内にヒトがん細胞を

移植しても、なかなか生き残ることは

できません。マウスの免疫をかなり

弱めても、です。

 

そこを何とか移植するのですが

うまく移植できたとおもっても

今度は、それほど、転移しません。

 

 

人間の体内なら、方々へ飛び散り

微小分散するがん細胞であっても

マウスの体内では、

割と、まとまっている

ということです。

 

もう、この時点で、がんねずみ、の場合

人間のがん患者に比べて、がんの悪性度は

「かなり低い」のです。

 

 

今回の場合は、抗体を投与するわけですが

わずかの刺激で、炎症反応が起こったとしても

マウスの体内に、「ヒト」の細胞、つまり

がん細胞であろうが、正常細胞であろうが

異種の細胞、異物がいるのですから

非常によく目につきます。

 

ちょっとしたきっかけで、免疫システムに

スイッチが入ると、

 

マウス免疫細胞 vs ヒト細胞

 

なのですから、

NK細胞のような、がん細胞退治を

本職とする免疫細胞であってもなくても、

異物を攻撃する、

ありとあらゆる免疫細胞が攻撃に

加わる可能性が考えられます。

 

 

なので、ちょっとした「種火」をつければ

あっという間に、免疫反応が燃え上がり

異物であるヒトがん細胞は猛攻を受けますが

周囲にいる正常細胞は、マウスの細胞ですので

巻き添えを受けにくいわけです。

 

 

かくして、がんねずみ、はとても治しやすい。

 

 

マウス病態モデルは、がん治療の評価の場合

思いっきり、下駄を履く傾向がある、ということです。

 

特に、NK細胞のような腫瘍免疫担当細胞でなくても

何でも働く可能性がある、ということです。

 

 

T細胞や、樹状細胞、あるいは全く別の白血球など

主に感染症免疫を担当する細胞であっても

マウス体内にいる、ヒト細胞に対しては、異物退治として

働きやすい状況にある、ということです。

 

 

だから、がんワクチン、とか、この手の治療技術が

効果があるように見えるわけです、あくまで

マウス病態モデルの場合は。

 

 

マウスでうまくいっても

人間様では、そうはいかない

というのは、いくつも理由があります。

 

がん治療の実験を考える場合

マウス病態モデルでは、

マウスの正常細胞集団の中に

ヒトのがん細胞が混じっているのに対し

がん患者体内では、

膨大な数の本人の正常細胞の中に

本人の正常細胞由来のヒトがん細胞が

紛れていれ、非常に見えにくい

という遥かに難易度の高い状況にある

ということです。

 

しかも、悪性度の高いがん細胞の場合

がん患者体内では、方々へ分散し

益々、見つけにくくなっていますが

一般に、マウス体内では、がん細胞同士

かたまっているので、一網打尽に

されやすい、ということもあります。

 

 

なので、マウスでうまくいった

というのは、

まだこれから現実的な効果を

検証する、という段階にある

ということです。

 

 

 

(続く)

 

 

 

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