藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

TOP > 幻冬舎「がん 最先端治療の実力」

2010年08月23日

  

がん, 免疫

2010.8.21.
 
 
抗体医薬品のシリーズの途中で、長期の中断が
ありましたが、今、幻冬舎さんが出版された
「がん 最先端治療の実力」がよく売れていますので
しばらく、この本にまつわる話を中心にします。
 
 
監修はANK療法開発者の一人、勅使河原計介医学博士ですし
本の中身の何割かは、ANK療法関係者への取材が占めています。
 
もっとも、発行元は幻冬舎さんですし、
発売元は幻冬舎メディアコンサルティングさん
著者は荒川香里さんです。 
リンパ球バンクが出した本、ということではありません。
 
内容的にも、既存の治療法の限界、放射線療法とその発展型である重粒子線療法
化学療法と分子標的薬、がんと免疫の関係や、免疫細胞のネットワーク
更には、国の政策が変わらない限り、どんな治療法があっても、
ほとんどの人は知る機会もない
現実の中で、国の政策を変えさせ始めたNPOの活動、、、と多岐に亘っております。
 
 
スタイルは原理に立ち返って考える、というものです。
 
化学療法剤にも種類は多く、メカニズムもいくつかあるのですが、
一言でいうと、「毒」です。 
がん細胞と正常細胞を区別することができない毒です。
当然、毒を盛れば、がん細胞にも倒れるものがでてくるでしょうが、
正常細胞もやられてしまう、という当たり前のことがおこります。
腫瘍組織の縮小だけをデータにし、正常細胞への打撃、
特に免疫細胞の打撃を測定しなければ、「効いている」という
統計値が出てきます。 これをエビデンス、と言ってのけてきたので
「効果がある」、「エビデンスがある」治療法が次々に政府によって
承認され、国民健康保険適用となり、
多くの人が治療を受けやすくなりました。
そして、がんで亡くなる方は増え続けたのです。
 
 
そういう意味では統計は正直なのです。
 
個々の治療法の評価においては、正常細胞への打撃をデータ化
していなくても、がんで亡くなる人が増える、という明確な
エビデンスが出ているわけです。 
 
(最近では、死亡率の上昇には歯止めがかっていますが、
 これには別の背景があります。 
 少なくとも、下がる傾向はありません)
 
 
 
要するに、原理的に無理なものは、「改良」しても駄目、ということです。
 
標準治療のように、無理矢理エビデンスのようなものを作り上げたところで、
結局、がんで亡くなる人は減らないのです。
 
 
技術が進歩した! 
そもそも技術は進歩するものと、思っている人が多いわけです。
ところが、技術の進歩により、人は病気で亡くなるようになり、
とうとう、健康なまま死んでいく人は殆どいなくなり、
がんでなくなる人は急増してきたのです。
余計な技術がなかった時代は、健康なまま死んでいく人も多かったのです。
 
でも、技術は進歩しているではないか。
それは何と、どう比較するか、です。
 
最近は副作用の少ない化学療法剤も増えてきた、
平気でそう言ってのける専門家もいらっしゃいます。
化学療法が進歩したかの如く、言うわけです。
 
化学療法剤を大量投与すると、とことん、継続して投与すると
人は生きていけません。 そんな実験はできるわけがないから
最初からやっていない、ということになっています。
 
実は、やったんですが、、、実際に、、、、、
(このくだりは本には書いてません、当然ながら)
 
 
ま、それはともかく。
 
大量に継続投与すると、生き残る人はいなくなってしまうので
量を減らしたり、投与期間を短くし、休薬期間を設けたり、
投与の方法を工夫してきたのです
 
結果、投与して、たちどころに亡くなる方は随分と減ってきました。
 
これを技術の進歩と呼んでるわけです。
 
では、がんで亡くなる方が減るのかというと、
減らないのです。
投与直後の反応をコントロールするようになった、
そのため、副作用が分かり難くなっただけです。
 
 
一方、自覚症状として、吐き気がひどい。
実際に、嘔吐してしまう。
やる気がなくなる、鬱になってしまう。
こういったことが問題とされます。
神経の痛みや痺れもそうです。
 
じゃ、ステロイドをうてばいいじゃないか。
 
 
化学療法剤を投与された患者さんが、ステロイドの大量投与を
受けると、「患者が明確に自覚する」副作用を抑えることが
できるわけです。 もちろん、ステロイドという免疫抑制剤によって
がん細胞をやっつけるはずの免疫細胞は抑えこまれてしまいます。
でも、今、吐き気があったのがなくなった、患者さんは喜びます。
今、体内のNK活性が低下し始め、がん細胞を殺すパワーが
落ちていく、、、 これを自覚できる人はまずいないのでしょう。
 
こういうのを支持療法と呼んでいます。
 
著者の荒川さんは、支持療法のことを、患者や家族を支持するのではなく
「化学療法剤を支持する」と、こきおろしていますが、私が著者だったら、
そこまではっきりと本当のことは書けなかったでしょう、、、、
実の母を亡くされているのです。
誰が何といおうが、本当のことを書いて文句を
言われる筋合いはないのです。
 
 
さて、患者さんは、支持療法により「楽」にはなるのですが、それはあくまで
その時点での「自覚」の話。 本来、耐え難い打撃を受ける薬を
投与されているから、「拒絶反応」をおこしているのに、「自覚」を
抑えてしまうと、限界を超えて薬の投与が続くことになります。
 
 
原理的に駄目なものは、改良しても駄目なのです。
そもそも、改良はできないのです。
患者さんの自覚を抑えることで、
誤魔化しているだけなのです。
吐き気を催すのは、
体に害があるものが
入ってきたから、
吐き出したいのです。
当たり前の反応なのです。
これを副作用と呼んでいるのです。
 
 
(つづく)

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