藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2011年03月26日

  

えとせとら, がん

2011.3.25.

ようやく、TVでも被災地で現状を何とかしようと
懸命な人々の姿や声が、具体的に紹介されるように
なってきました。 直接の被災者でなくても、
人間として、この状況を何とかする
そう考えるのが当たり前ですが、
実際、全国民が本気で考え、行動しないと
日本はこのままでは沈んでしまいます。

さて、放射線傷害について、いくつかお問い合わせがありました。

まず、原爆の場合は、放射線といっても種類が多いのと
放射線以外にも、熱線や爆風、それも衝撃波、さらには物理的な
破片の飛来もあります。 今回の原発事故とは全く次元の違う
打撃を与えるものです。

がん治療に使われる重粒子線は、正に、ドカン!と、相手が
がん細胞であるとか、正常細胞であるとか、まったく関係なく
一瞬にして破壊しつくします。 そのため、「穴」があきます。
穴の中で、生き残る細胞は皆無となります。
通常の放射線療法にみられる「耐性」の出現はありません。

今回、原発周辺に飛び散って、問題となっている物質から
放射される放射線は、そこまで強力なものではありません。
通常のがん治療に使用される放射線と、同様の威力のもの
とお考えください。もちろん、線量や種類、体の外から受けるのか
放射性物質を体内に取り込んでしまうのか、影響力の大きさは
諸条件でまったくことなります。

ちなみに、私の大学時代の最後のテーマは、紫外線による
遺伝子損傷の修復系についてのものでした。
紫外線の場合、通常、DNAの鎖は切らずに、メインの鎖から
飛び出ている枝に悪さをするものなので、修理も容易です。

放射線の場合、DNAの鎖を切ってしまうのでやっかいです。

切れたなら、つなげばいいのですが、、、

DNAは、相補性というのですが、
お互いが相手にとって「鋳型」となる二本の鎖状として
たたまれています。 
一本だけをいくら切っても、相方のもう一本の
鎖がつながっていれば、
切れたところだけをつなぐのは難しくありません。
そういうのが専門のリカーゼとか、ライゲースと呼ばれる
酵素がいるのです。 二本鎖の螺旋のねじれ具合を
調整するジャイレースという酵素もいますし、これらの
酵素とインターラクト(相互作用)する酵素やたんぱく質などが
ウジャウジャといます。

問題は、放射線は、二本鎖のつなぎ目を、ブチッと二本丸ごと
切ってしまうのです。 こうなると、あちこち一度に切られると
どの断片とどの断片をつなぎなおせばいいのか、わからなく
なってしまいます。 実際には、DNAのほとんどは、非活動状態に
あり、堅く仕舞い込まれ、ヒストンなど、たんぱく質でガチガチに
かためられています。
この状態で、二本鎖が切れても、DNAの断片があちこち飛び散る
わけではないので、修理はし易いのです。
また、切れたままでも、次にDNAの鎖を広げて使うまでは
影響がでないこともあります。

ところが、活発に活動しているDNA鎖は、螺旋のねじりを緩め、
二本の鎖が一本ずつ離れています。
この状態で、複数個所同時に切られたら
もう、元に戻すのは難しくなります。
でも、まだ、手はあります。
染色体は二組セットになってますから、
一方の遺伝子がやられただけなら
もう一本の染色体にある遺伝子を使えばいいのです。
一本の染色体から、もう一本の染色体へ、あるいは
同じ染色体の中にも同じ情報が含まれていることがあり、
これらを「コピペ」する仕組みもあります。
「生き物」ですから、いろんなことをやるのです。

男性の場合は、どうしても、抵抗力が弱くなります。
X染色体が一本しかないからです。
Y染色体をもっていますが、顔の形を決める因子など
殆ど、生存には関係ない情報ばかりです。

私がちょこちょこ被曝していたころも、同僚の女性は平気!
男性は、白血球減少など、全滅でした。
また、大学でも放射性物質をしょっちゅう扱っていましたが、
研究室の卒業生で、女の子が生まれた話をきくことはあっても
男の子が生まれた、という話はきいたことがありません。

一番、脆弱なのが、細胞分裂中に、放射線に襲われた時です。
染色体が全面的にオープンになって、
一斉にコピーを取っているのです。
一個の細胞を二個にするため、染色体もコピーするわけです。
この状態で、ブチブチ、方々で二本鎖を丸ごと切りまくられたら
もうアウトです。 なので、放射線療法は、活発に増殖する
つまり、細胞分裂中の細胞をより強く傷害するのです。

通常、修復不能の損傷を受ければ、アポトーシスという
自分で死んでいくプロセスにスイッチが入るので、
遺伝子に傷ついた細胞がいなくなり、元気で正常な
細胞が増殖して穴埋めすれば、細胞レベルの修復ができます。

また、とことん放射線で遺伝子が傷ついても、
なんとか修理する猛者が現れます。
正確な修復システムの仕組みは分かっていないのですが、
放射線に対して、強力な耐性をもちます。
修理しないでも、死に難いようになっているという一面もあるようですが。
相手が、がん細胞の場合、もう、少々、放射線を浴びせても平気です。
放射線療法を受け、再発した場合、放射線に耐性をもっている
確率が高くなります。 どうやってるのか部分的には報告されているのですが
まだ全体像が見えているわけではありません。
切られたらその場で即、修理、してるんでしょうねえ、、??

生命の仕組みは、とにかく複雑です。

放射線被ばくしたからといって、
損傷を修復する仕組みを何重にも
もっているのです。
つまり、その人の耐性の範囲以下の
ダメージなら、治してしまうのです。
限界を超えてやられてしまうと
傷害が残り、がん化する確率が高くなります。
それでも、そのがんを見つけ次第、攻撃する
免疫のシステムが存在します。

もちろん、不用意に被曝するリスクを冒すべきでは
ないにしても、過敏に気にするよりも、如何に
元気に生きていくか、復興とか、人助けに本気に
なって取り組み、生命システム全体が活性化される
状態になっていく方が、放射線によるダメージからも
回復しやすくなるわけです。

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