藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
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TOP > 2億8千万回分のワクチンどうやってうつのか

2020年09月05日

  

免疫

政府は「国民の理解を得られやすい」として、新型コロナウイルス対応ワクチンの輸入契約を進めていますが、「合意を得られやすい」のは事実でしょう。 それと「合理的に理解される」こととは大きな違いがあります。

 

あくまで開発が一定のレベルまで進めば、という前提条件付ながら、海外メーカー3社と合計、2億8千万回分、これもまたあくまで現時点での想定としてですが、一人に2回接種するということで1億4千万人分のワクチン発注契約を固めた、としています。

 

ワクチンの開発は10年単位で、それでもなかなかうまくいかないことが多いのですが、今回は即席というより「やっつけ」に近い開発プランで、しかも成功した実績がない方式(失敗は結構あります)がズラリと並んでいます。 国民の理解を得やすいというのですが、たとえば今回契約したサルのアデノウイルスの遺伝子を改変して数千万人の国民に人為感染させる(感染細胞内でウイルスが増殖しない仕掛けはしてありますが、過去に同じタイプの仕掛けの別の開発途上の製品で、増殖してしまった事故があります)という話をどうやって国民に理解してもらえるのでしょうか。国は堂々と「有効性と安全性」については「わからない」と答えています。わかる訳ないですからね、やってみないことには。これを「理解を得やすい」という、、、、。

 

というそもそも、その即席ワクチンなんなの?! という話は棚にあげて、もしこれを本気で接種すると仮定すれば、これ、実際にどうやってうつのでしょうか。

 

全国民に10万円ずつ配るのにも大変な作業と時間がかかり、未だにもらっていない人もいらっしゃるわけですが、物理的に医療行為としてワクチンを接種するのですから、お金を送金するより大変です。

 

たとえば、地域に根付いた町のクリニックに一日に100人がワクチンをうちにきたら結構、大変です。今回のワクチン接種は公費負担と言ってるのですから、10万円とおなじはなしで、だれが資格者でどこに住んでいる人で、世帯主に連絡していいのかどうか、などなど、改めて調査をする必要があります。しかも、2回接種するなら、1回目なのか、2回目なのか、接種間隔は適切なのか、どこで接種するかはテレワーク推奨中なのですから勤務先ではなく、居住地の最寄りのかかりつけ医ということになるのでしょうが、身元確認と接種歴の管理が必要になります。ワクチンは自然感染した経験のある人に接種すると異常な副反応を起こすことがありますが、では、ワクチン接種前に感染歴の検査を行う、というのは「順番が違う」のです。ワクチンは量産してしまえば、大したコストはかかりません。医療機関への負荷はかかりますが。一回接種あたり千円札1~2枚で成り立ちます。検査はそうはいきませんし、コスト以上にキャパを上げられませんので、今回のように国民全員分のワクチンを用意するというスケールになると検査はおいついていけません。検査せずに「目を瞑って接種する」しかありません。もちろん、自己申告で私は陽性判定を受けたことがあります、とか、あるいは陽性判定者を事前にスクリーニングする、という作業をやるか、です。受付をして、本人確認の上、接種歴を確認し、適格者となると接種の上、接種歴の更新をして、といくつか事務処理をしなければいけませんが、実際の摂取も含めて、一人に5分もかけていたら、それで500分の業務量になります。もう、パパパッと流れ作業でやらないと待合室で座って待たれるだけで、通常診療の妨げになります。これを200日続けてやっと1万人、全国1万の医療機関を動員してもまだ1億人です。 かなり無理な話のように思えます。 小児のワクチンは生まれてからいつ何をとシステムができていますし、高齢者住宅の住人の方などはインフルエンザワクチンの接種がシステム化されていますが、それ以外は新たな仕組みをつくらないと無理でしょう。

 

選挙方式でやるのが現実的でしょう。不在者投票用紙が郵送されるように、ワクチン接種票が届き、土日の投票所に赴くと、地域医療の医師にボランティアで休日、出てきていただき、朝から晩まで一斉にワクチンを接種し続ける、これならやってやれないことはありません。

 

 

ちなみに、過去には先例があります。1960年のポリオ騒動の際には三菱商事によるソ連製ワクチンの輸入などがあり、実際に1000万人以上に接種が行われました。これは経口だったので、飲めばいいだけでしたが。また、11年前、今回と状況が酷似する先例がありました。2009年メキシコシティー発新型インフルエンザパンデミックの際に、第ニ波は悪性度を増すぞと散々、警告が発せられ、実際に亡くなった方は日本では200人以下でした。そして、第ニ波は通常のインフルエンザより被害が小さい、というものでした。ところが政府はヨーロッパの二社から9900万人分のワクチン輸入契約を締結しました。総額1126億円也です。国会でも問題になりました。日本政府側はキャンセルできないのに、メーカー側は事故が起こった際の補償を日本政府が制度化しなかった場合はキャンセルできる、など一方的にメーカー側に有利な契約になっているとの質疑応答の議事録が公開されています。結局、91億円を支払って、ごく一部はキャンセルされましたが大半が輸入され、接種されたのは2300人ほど。感染収束後に接種した人もいたのかもしれませんが、ほぼ全量に近い数量が廃棄処分になりました。医師会も国に抗議しました。国産ワクチンなら売れなかったものは返品できるのに輸入品は返品できないどころが、国から大量に仕入れさせられた、ほとんど不良在庫なのにどうしてくれるのか、と。そもそも、輸入品は強い免疫刺激剤を添加しているので副反応が強い(何の副反応もない不活化ワクチンに効果は期待できませんが)、国産品はこまめに1mlバイアルなのに、輸入品は手間とコストを省いて10mlバイアルで、18回分が1バイアルに入っている。一人ポツンときて接種したら、残りは廃棄するしかない、また輸入品は値段が高い、国産品なら1回2500円くらいが相場、輸入品は1回4000円辺りが相場。 1年近く揉め続けた後、国は全不良在庫の買い取りを決めました。 

 

ほとんど接種しなかったため、「安全性」の問題もほぼ表面化せず、そもそも、それほど深刻な感染症ではなかったため、効果がどうであっても大勢に影響なし。1000億円近い国費を浪費しましたが医療機関の損失は概ね補填され、国民に医療上の被害はなく、「ワクチンを海外から調達してでも有事に備えた」国の行動は「国民による理解を得やすかった」 のです。

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