藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2009年11月24日

  

免疫

2009.11.23.
 
 
抗原に抗体が結合する
 
 
これ、1対1の対応をしている、
そういうイメージがつくられてしまいました。
 
 
実際には、そんなことはありえないのです。
 
 
「大体 1対1 の対応」 なのです。
 
 
 
何故なら、全ての分子は揺らいでいるからです。
 
 
日常生活では、目にするものが、全て揺らいで見える
ことはありません。 もし、そう見えたら、相当ヤバイですよね。
 
一般に、物はじっとしています。
形がグニャグニャ、プヨプヨ、絶えず変化する、
中にはそういう物もありますが、普通は、
テーブルの上に置いたら、置かれたまま
じっとせず、勝手に揺らいだりはしません。
 
 
ところが、分子のレベルでは、絶対零度(マイナス273度C)
にしない限り、全ての「物」が揺らいでいるのです。
 
 
そもそも、細胞はシャボン玉と概ね同じ
水の中に油の薄い膜で包まれたシャボン玉が
浮いているのですが、一番、中心の部分は、
たった2分子の厚さしかありません。
プヨプヨ、ポヨンポヨンしているのです。
 
がん細胞であれ、正常細胞であれ
細胞表面蛋白は、このプヨプヨの油の膜に
分子の一部がくっついていて、他の部分が
細胞の外や内に突き出るような形をしています。
まあるい形のものも、膜の中に殆どうずまってるものもあります。
 
免疫反応は、相手が何物であっても、金属であろうが
化学物質であろうが、何であっても起こり得ますが、
一般に議論されているのは、蛋白質を抗原とするケースです。
糖、糖蛋白、糖脂質、要するに蛋白、糖分、脂質や
それらが結合したものを考えておけばいいでしょう。
 
抗原となる糖蛋白質の、一番、コアとなるエピトープと
呼ばれる部分、この部分を認識しているんだ! という部分ですね、
そこは、アミノ酸だったら数個、糖だったら2個くらいです。
実際には、エピトープだけではなく、周辺の構造の影響を
受けますし、そもそも、周辺構造が変化して、エピトープが
隠れてしまったり、露出したりする、或いは、形が変形させられる、
異なる部分の電場の影響を強く受ける、などなど、複雑な要素が
絡んでエピトープの性質を変化させます。
 
人間は、ああ、グリシンというアミノ酸の次が、フェニールアラニンで、
その次にイソロイシン、メチオニン、とアミノ酸が並ぶんだ、
そこがエピトープ、認識の中心部位なんだ、と、目で文字を見る訳です。
現実の分子同士は、相手の文字を見るのではありません、
抗原には文字が書かれているのではないのです。
絶えず、激しく、動き、揺らぎ、形をかえ、電気の分布を変え 
引き合い、反発し合って、互いに影響を及ぼし合っているのです。  
 
 
そもそも、原子というものの実態が、よく分からない面もあるのですが、
じっとしていないのです。 どこかに硬い塊が転がっている、のではありません。
敢えていうなら、電子の雲のような存在です。 
その雲は絶えず揺らいでいるのです。
一個一個が揺らいでいる電子やら、
陽子やらが集まって原子ができているとして、
その原子もまた、揺らいでおり、
更にいくつかの原子が比較的タイトに結合して
できたアミノ酸分子も、分子内で揺らいでいます。
 
アミノ酸同士の結合はもっと豪快に揺らぎます。
グリシンがいると、グリシンを軸に、両サイドのアミノ酸の
鎖がクルクル回転します。 
割と、固定したままの構造を維持する部分もあります。
バネや、コイルのような構
造を持つ部分もあります。 
ガッチャン、ガッチャンと、分子の一部の向きが、
ゴロッと変換するところもあります。
 
一種類の物質が一つの構造を持つのではありません。
揺らぎ、つまり振動しているだけではなく、大きく異なる構造を
いくつももっていて、瞬間、瞬間、パッと、別の構造にシフトし、
また、次に別の構造に転換する、こういう変身を繰り返しているのです。
 
 
こうして、激しく変化を繰り返す蛋白質
 
 
文字や記号で表すとシンプルに見えるのですが、
現実の分子は、常時、まるで違う構造に変化したりして、
じっとしていないのです。
 
抗原も、抗体も、同様に揺らぎ続けていますので、
ある瞬間、ピタリと型が合って結合する時もあれば、
合わない瞬間もあります。 全然、違う分子と
ある一瞬だけ型が合うこともあります。
 
こうして、一つの抗原に対する一つの抗体を作った気になっていても、
実際には、その抗体は他の抗原に結合する時もあり、また、
標的の抗原に結合しない時もあるのです。
 
 
更に、がん細胞は、盛んに、細胞表面の物質構成を
とっかえ、ひっかえ、モデルチェンジします。
 
先週、シグナル(信号)とノイズの関係について、
書かせていただきました。
単一標的物質(抗原)を
目標として、単一センサー、それが抗体であっても、
同様の構造をもつキラーT細胞のセンサーであっても、
どこまでいっても、信号とノイズは混じるのです。
 
一つのセンサーだけで、一つの標的を狙おうとして、
がん治療を設計した場合、
必ず、シグナルとノイズのジレンマに嵌ります。
がんを徹底的に叩こうとすると、
ノイズも増大し、正常細胞も激しく攻撃します。
また、ノイズを排除しようとすればするほど、
標的(がん)を撃ち漏らす確率が上がるのです。

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