藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2012年11月14日

  

免疫

2012.11.13.
 
 
以前にも、このブログで紹介したことがありますが
またぞろ、免疫細胞が、がん細胞を認識する機構と
MHCクラスIとの関係について、お問い合わせが
多くなっており、なるべく、簡便に説明させていただきます。
 
 
結論から言うと、以下のような関係にあります。
 
  なお、標的がん細胞が、MHCクラスIという物質を細胞表面に
  発現している場合を(+)、していない場合を(-)としています。
 
 
 また、認識・攻撃力を
 
  強い:  +++ 
  弱い:  +
  攻撃しない: -  
 
であらわしています。
 
 
 
        MHCクラスI(+)   MHCクラスI(-)
 
 
CTL:      + or -          -
 
 
NK細胞:       +++ +++
(野生型・高活性)
 
 
NK細胞:     + or  -         +
(野生型・低活性)
 
 
NK細胞:       -             +
(クローン培養)
 
 
要するに、T細胞の中でも、標的細胞に体当たり攻撃を敢行する
CTLの場合は、標的細胞を攻撃するのか、しないのか、
認識をする際には、相手の細胞のMHCクラスIの情報を
見に行くので、MHCクラスIがなかったり、ひっこめてしまった
がん細胞は最初から認識の仕様がない、ということになります。
 
MHCクラスIを発現しないがん細胞は、どんなタイプのCTLを
もってきても、誰も攻撃しない、のです。
 
MHCクラスIを出していたとしても、今度は、型が合わないと
CTLは攻撃をしませんので、CTLをがん治療として用いるには
患者さんの体内のがん細胞と型が合うCTLを選択的に増殖させないと
意味はない、ということにります。 
 
 
 
では、NK細胞はどうか、というと、「野生型」で、「活性が高い」
場合は、MHCクラスIのあるなしにかかわらず、相手が、がん細胞で
あれば、傷害します。
 
「野生型」というのは、人体から取り出したままの状態のもの、
という意味です。
 
ただし、野生型であっても、がん患者さんの場合は、
活性が低下しており、あまり、がん細胞を傷害しません。
 
そして、がん患者さんの体の外に取り出してから、
強い刺激によって活性を高めた野生型のNK細胞であれば
MHCクラスIを発現するがん細胞でも傷害するようになります。
 
ところが、一般に、通常の培養法で、野生型のNK細胞の培養を
行うと、培養期間が3~10日位を過ぎると活性の低下が始まる傾向があり
2週間の培養で、ほぼ、活性がなくなる位、低下します。
 
こうなると、MHCクラスIを発現しているがん細胞を攻撃しない
NK細胞の割合が増えてしまいます。
 
繰り返しになりますが、活性を高めた状態で野生型のNK細胞の
培養を継続していれば、MHCクラスIを発現していても
していなくても、相手が、がん細胞であれば、攻撃します。
 
 
 
なお、大学で実験に使うNK細胞は、通常、「野生型」ではありません。
 
NK細胞は、体内で、細胞分裂を繰り返し、十分、分化した細胞です。
もう、あまり寿命は残っていないのです。
細胞の場合、寿命というのは生きている「時間」のことではなく、
残っている「細胞分裂の回数」です。
がん患者さんのNK細胞の場合は、平均して、細胞分裂回数の
残りが、10回を切っています。 つまり、如何なる技術を
用いても、正常なNK細胞である限り、
 
2x2x2x、、、(10回)、、x2  = 1000 倍
 
1000倍まで増殖させることはできない、ということです。
(これは、成人の、がん患者さんのNK細胞の場合)
(健常人や、がん患者さんでも小さなお子さんの場合は、
 1000倍を超えて増殖することもあります)
 
 
そこで、研究に用いるNK細胞は、異常化し、
限界を超えて、細胞分裂を繰り返すものを選別し、
そのコピー(一個の元細胞のクローンを増やすので
クローン培養といいます)を大量につくります。
 
こうして得たクローンNK細胞(異常化)は
多くの場合、MHCクラスIを攻撃しないタイプです。
(攻撃するものもいます)
 
 
結果的に、学術論文に登場するNK細胞は、
個人差を拾う野生型ではなく、ほとんどが
クローン培養された異常株であるため
それも、多くの場合、NHCクラスIを
発現する標的を攻撃しないサブタイプであるため、
NK細胞は、MHCクラスIを発現する
がん細胞を攻撃しない、と思っている人が
増えてしまいました。
 
 
また、野生型のNK細胞であっても、
培養を続けると、活性が下がってしまい
MHCクラスIを発現するがん細胞を
攻撃しないものが増えてくるので、
野生型でも、MHCクラスIを発現する
がん細胞は攻撃しないんだ、
と思っている人もまた、増えてしまったのです。
 
 
 
 
 

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