藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2008年11月07日

  

免疫

2008.11.6. 私たちは絶えず沢山の異物、バクテリアなど無数の他の生命体、ウィルスに接触しています。(一応、ウィルスは生物ではなく物質と考えられています。実際、人間が合成できる生命体は何ひとつ存在しませんが、ウィルスは化学合成可能です) いちいち、この細菌、前に遭ったことがあったっけ?とか、抗体を用意し、よく準備をしてから、、、 そんな面倒で時間のかかることはやってられません。 そんな流暢なことをしていたら、あっという間に病原菌であれ、ウィルスであれ、どんどん増殖してしまいます。 インフルエンザウィルスは一個から始めても、24時間後にはおよそ100万個以上、48時間後には1兆個レベルに増えてしまいます。 1個の大腸菌がフルスピードで増えれば12時間で1兆個、24時間で1秭(じょ)というんでしょうか、1兆の1兆倍です。 抗体が誘導されるまで10日とか2週間を要しますので、間に合う訳ないのです。 自然免疫がその場でいきなり対応、なんでも分解して栄養にしてしまう。 免疫の基本システムである自然免疫は、相手が初めて遭遇する相手か否かを問わず、相手が何であっても無毒化してしまいます。 意外に思われる方が多いでしょうが、抗体というのは、この強力な自然免疫によって、自分の組織が破壊されないように、自己抗原を守るのが主な仕事なのです。いきなりウィルスの破片を注射すると、単に分解され栄養になるだけです。そうならないように、様々工夫すると抗体をつくらせることができますが、抗体の8-9割は、ウィルスを守る働きをします。膨大な種類のあるウィルス感染症に対し、山のようにワクチンの開発が試みられ、殆どが効果なく消えていき、ごく稀に生き残ったワクチンが使われていますが、やっぱり効果に疑問符がついています。 抗体のもつ性質から考えれば、当然のことなのです。 巨額の米国政府資金を投入して開発の山を築いたエイズワクチンも、全て失敗に終わりました。下手に抗体を誘導すると、抗体がエイズウィルスを保護し、抗体をまとったウィルスは細胞に取り込まれ易くなり、感染を助長することさえ懸念されるのです。 エイズワクチン打ってください、といっても、どこの病院でも打ってくれませんよね。詳しくは獲得免疫の項目で説明しましょう。(エイズワクチンは、今でも、開発が継続されています)  さて、自然免疫は外部から入ってきたものに反応するだけではありません。がん細胞を叩く主役もまた自然免疫です。 そもそも、全くの正常細胞であっても、必要でなくなった正常細胞を除去する仕組みも持っているのです。 例えば、オタマジャクシの尻尾。 カエルになる途中、尻尾が消えてしまいますが、あれ実は、自分で食べているのです。 もちろんオタマジャクシが体をくねらせて尻尾を咥えて食べてしまう、のではありません。免疫細胞が食べてしまうのです。細胞は生きろ、という指示がないと、すぐに死んでしまいます。特に神経がやられると神経の周囲の組織を構成する細胞はあっという間に死んでしまい、壊死を起こします。 オタマジャクシの尻尾の細胞も必要がなくなると、パタパタパタと死んでしまい、あとはマクロファージなどが取り込んで消化してしまいます。 やっぱりあくまでも「消化」するのです。 人間の脳の神経も免疫細胞に食べられる場面があります。 大脳皮質の神経細胞は生まれてからも暫くは増殖を続け、ピーク時には300億個を越えますが、3歳頃までには百数十億に減り、その後は、年齢と共に減っていくだけで、増えることは殆どありません。 このプロセスにおいて、信号が入ってくる神経細胞はどんどん神経線維を伸ばしていきます。 あんまり信号が入ってこなかった神経細胞は、アポトーシス(自殺)をおこし、免疫細胞に食べられてしまいます。免疫細胞に殺されるのか、免疫細胞は死体処理をしているだけなのか、その辺ははっきりしていないようですが。 例えば、沢山、存在する視覚を司る神経。結構、専門分野が決まっています。 現代の先進国で育った赤ちゃんの場合、重力と同じ方向(鉛直)の線分(端っこのある直線)に反応する神経細胞、水平方向の線分に反応する神経細胞は盛んに神経線維を伸ばしネットワークを広げます。ところが、斜めの線分に反応する神経細胞、曲線に反応する神経細胞は次々に自殺(?)もしくは殺されていきます。 これがテントで育てられるインディオの子供の場合、斜めの線分に反応する神経細胞が勢力を伸ばします。遊牧民などや全くの自然の大地で育つ子供は、殆ど歪みなく、万遍なく神経細胞が育ちます。頭の形も、綺麗に丸くなってますね。 かくして三つ子の魂は百まで、ということになるわけです。都会人は、殆ど、鉛直か水平な真っ直ぐの線しか見えていないのです。 目で線分を見て重力を計算してますから、山へ連れていくとちゃんと水平とか、体のバランスが取れないのです。 私はハングライダーの操縦をやっていたことがありますが、空を飛ぶと、目で見える情報に頼る限り、重力の方向が分からなくなってしまいます。 逆に、インディオを摩天楼が立ち並ぶマンハッタンへ連れていくと、どうにも具合が悪いそうです。 さて、私たちの体の中では、しょっちゅう、不要な細胞は去り、新しい細胞が生まれ、見た目は変わらないようでも、体の中身は入れ替わっています。 免疫細胞は、この創造的破壊を進めるに担い手でもあるのです。

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