藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
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2015年10月27日

  

くすり, 免疫

2015.10.27.
 
 
今をときめく免疫チェックポイント阻害薬
 
 
当然、問い合わせも多くなっています。
 
現状では、「様子見」&「将来に期待」です。
 
 
 
分子標的薬の一種である免疫チェックポイント阻害薬は
一般メディアでも大きく取り上げられています。
この薬の意義は大きいのです。
免疫抑制こそが、がんという病気の本質であり
免疫さえ正常に機能させれば、がんという病気は
克服できることは証明されていたのですが、
それを「医薬品」で実用レベルのものを
開発するとなると、「コーリーの毒」のジレンマに
阻まれてきました。
 
抑制された免疫を覚醒させるには
がんより危険なもの、生命の危険を伴う
激甚な急性症状を発症する感染症等でなければ
十分な効果は発揮できず、
安全なものでは効果が不十分
 
つまり、コーリーの毒は
免疫系治療薬は、原理的に無理が
あることを示し、実際、無理があったのです。
 
だからこそ、一度、免疫抑制が弱い
体外に免疫細胞を取り出し、
安全に、免疫細胞を活性化させる
免疫細胞療法が開発されたのです。
 
一度、壁の外に出たわけです。
 
 
一方、分子標的薬は、まず、
免疫刺激とは関係ないところで
がん細胞の増殖や血管新生の抑制をかけ
しかも免疫細胞には悪影響を与えないのが
基本設計です。
それに加えて、ADCC活性を有する分子標的薬は
コーリーの毒のジレンマを破れるNK細胞が、
壁を壊すのを手伝うように
設計されています。
元々、体内にいて、攻撃スピードが
免疫抑制により落ちてしまっている
NK細胞の攻撃スピードを速める
というものです。
ADCC活性は、欧米で標準となってきた
分子標的薬の多くにおいて
抗腫瘍効果を発揮する「作用機序」とされており
日本でも、添付文書に明確に記載されています。
 
免疫チェックポイント阻害薬の場合は、
正面から壁を破れなければ、
裏口に回って、壁のつっかえ棒を外してみたら
壁が崩れ始めた。。。。
 
それが、免疫チェックポイント阻害薬です。
 
 
実際に、免疫抑制信号をブロックする薬が
抗腫瘍効果を発揮したのです。
進行がんは、治らないものと決めてしまい
「延命」を効果判定基準とし
分子標的薬もある程度、普及し、
それ以後は、「延命効果」も伸び悩む
閉塞感の中にあって、
ひさしぶりに活気的な事件でした。
 
 
「やっぱり免疫だ」
 
「やっぱり免疫抑制が要だ」
 
 
を医薬品産業が再確認し、
がん専門医にも、免疫の重要性が一気に浸透しました。
 
 
 
現在、数々の免疫チェックポイント阻害薬が
開発中です。
 
これらが、続々と市場にでてきてはじめて
真の実力が問われることになります。
 
 
 
現状では、悪性黒色腫の一部の患者に
ある程度の効果を示したに過ぎず
一方で、自己免疫疾患の発生率が
3割に達し、死亡例も出ています。
 
悪性黒色腫は、一般に抗がん剤が奏効しないため
免疫のダメージが少ない患者さんが多くなります。
つまり、免疫系治療にとって、有利ながんなのです。
 
他のがんでは、同じようにはいきません。
 
もちろん、他のがんでも、標準治療による
免疫への打撃が小さい患者さんを選べば
この薬が効きやすいはずです。
やってみないとわかりませんが。
 
一番の問題は、この薬、原理的にはNK細胞の
活性化にも寄与している可能性はありますが
一応、CTLの活性化がメイン(?)のようです。
 
原理の説明と臨床の実態にはズレがあるので
説明通りに機能しているとは限りません。
標的サイトを持たない場合でも効果が出ることがあります。
でも、一応、CTLの活性化が作用機序とされています。
 
 
ところが、CTLは、がん細胞と正常細胞を区別できません。
特に、漠然と、CTL全体の免疫抑制を緩めてしまえば、
活性化された多くのCTLが、正常細胞を襲うはずですし
実際に、免疫細胞によって正常細胞が攻撃される
自己免疫疾患が発生しているのです。
 
 
とりあえず、先頭を切って承認された2品目については
それほど、切れ味はない上、副作用も高率で発生し
治療費が、年間1500万円ほど、となると
使う気にはなれません。
 
ハーセプチンやアービタックスの方が
よっぽど実用的です。
 
 
 
ということで、今後、品揃えが進んでいく中で
真価のほどを見極めていきたいところですが
現時点で、ANK療法実施医療機関が
この薬を自由診療で勧めることはないようです。
 
 
町のクリニックでも、この薬を自由診療で処方する
ところがでてきているようですが、高額の上に
自己免疫疾患のリスクも高いのですから
「やり過ぎ」感は否めません。
 
新しい薬は、何が起こるか分からないので
ただでさえ、慎重に使っていくべきですが
この薬は、明確に深刻な副作用を伴うことは
分かっているのですから、それに見合う効果を
期待できる、とか、他に治療がない、とか
「使わざるを得ない」状況が揃わない限り
迂闊に、多くのがん種に
使っていいものではないと考えます。
もちろん、原理的に、悪性黒色腫以外は
効かないということはないはずなので
免疫を傷つける治療と同時に行わないよう
配慮をしながら、保険適用範囲の拡大を
慎重に進めていただきたいですし
実際に、他の部位での治験が数々
進行中です。

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