藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHP(リンクをお願いします)をご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2009年01月25日

  

くすり

2009.1.24.
 
 

日刊紙などでも、ドラッグ・ラグに関する
記事をよくみかけます。
 
海外で承認されている医薬品、
それも、数十ヶ国で承認済み、とか、
最近の記事では、日本と北朝鮮以外の国では
承認されている、という表現もありましたが、
(パレスチナでは承認されてないはずですが)
極端に日本の新薬承認プロセスが遅れている、
というトーンで書かれています。
 
大体、記事にはパターンがあるようで、
健康保険が効かないので、
高額な医薬品を自由診療で
使っている、、、(以下同文)、、、、
 
 
ドラッグ・ラグがあるのは事実ですが、
厚生労働省の動きが遅過ぎるんだ、
と、いう話にもっていく傾向がありますね。
 
じゃあ、患者が圧力団体を形成して、
厚生労働省に承認手続きをスピードアップしろ、
と要求すれば、状況は変わるのでしょうか。
 
 
ちなみに、イレッサの製造承認やタミフルの子供への投与の承認、
これらは、日本の厚生労働省が世界に先駆けて行ったものです。
どちらも、騒然とした議論となりましたし、特に、タミフルは問題が
多いのですが、問題のあるなしを問わず、世界に先駆ける、
ということは、賛否両論物議を醸すのは当然です。
 
プレパンデミックワクチンの量産も、日本が世界に先駆けて断行したことです。
これは、更に、問題を孕んでいるのですが、今日の趣旨であるドラッグ・ラグ
ということの関連では、新世代分子標的薬系抗がん剤のトップランナーとなり、
インフルエンザ対策でも、ダントツのスピードで、世界がやらないことを
やっています。 (やってることが、いいか悪いかは、今日は問いません)
重大なテーマについて、世界に先駆けて動くこともあるのです。
 
 
実は、構造上の問題 があるのです。
 
厚生労働省に、ただ、承認審査を早くしろ、と、
筵旗を並べて抗議しても、それで問題の根源解決にはなりません。
 
 
アメリカ政府、FDAが、ポンポン、新薬を承認するのは、
自由保険の国だからです。 薬代を払うのは、使用者本人か、
民間の医療保険なので、高額な新薬を次々に承認しても
予算の心配がいらないのです。 
後のことは、ボク知らない、という立場なのです。
 
オバマ氏は、就任前から、医療産業を名指しで非難していました。
 
「米国医療産業の市場セクターは、米国GDPの15.1%に達する。
 (軍事産業の2.5倍の巨大市場です。)
 しかも、薬価は年々、上昇する。
 (日本の薬価は年々、下降するものですが、
 米国では薬価は上昇するものなのです。)
 
 断固、医療産業を叩く必要がある!」
 
そう演説したものですから、米国医薬品市場縮小を
見越して、米国でも日本でも医薬品銘柄株が暴落しました。
 
連邦準備銀行が生命保険会社に資金注入したのですから、
医療保険の支払額を抑え込むことは、財政上、必要な措置、
という側面もあるのでしょう。 オバマ氏の財務問題のブレインの
一人は、連邦準備銀行の元理事ですが、理事は、同銀の
株主のファミリーの中から選ばれる仕組みです。
 
また、米国では、貧しい人は医療を受けられないので、
日本みたいな、国民皆保険制度の導入も検討しなければ
いけない、と、選挙前は言ってました。
これはなんとか実現していただきたいものですね。
父がケニアの寒村生まれ、黒人初の大統領として、
貧民層の代表というイメージに訴えたのでしょうが、
「公約」は守っていただきませんと。
 
もっとも、オバマ氏の周辺のブレインの顔ぶれを見ていると、
超保守反動ですので、蓋を開けてみたら、
 
NO CHNAGE 
YES WE CAN、BUT WE NEVER DO 
 
かもしれません。
 
 
WE CAN  かどうかではなく、
JUST  DO  IT    です。
 
 
日本はどうか。
国民皆保険の国です。
これは素晴らしい。
 
問題は、予算がゼロサムになっていることです。
医療はお金がかかるものなので、そう簡単に
青天井予算にする訳にはいきません。
国家予算が、60-70兆円レベルの国で、
国民医療費は、33兆円に達するのですから、
(自由診療や、保険本人自己負担も含みます)
これ以上、ポンポン、増額できないのが現実です。
 
そこへ次々に新薬を承認すれば、どうなるか。
薬価は、「単価」ですから、一度、認めたら、
後はもう、単価 X 使った量 だけ、
自動的に健康保険財政を圧迫します。 
抗体医薬品のような、異常に製造コストの高い医薬品は、
薬価を相当、高くしないと、医薬品メーカーの利益が
減ってしまいます。 一方、安易に高い薬価がつく新薬を
承認すると、あっという間に健康保険がパンクしてしまいます。
大抵、保険適用になっても、やたらと使用制限がつき、
実際には、jなかなか保険が使えないのが実態ですが、
使用制限は、強力な予算管理効果を発揮します。
 
米国は次々に抗体医薬品を承認し、
日本ではなかなか承認しないのは、
保険制度の違い、という構造も一因です。
 
イレッサや、タミフルは、低分子化学合成物質で、
製造コストは抗体医薬品より遥かに安く、
薬価も思い切り低く抑えても、医薬品メーカーは
たっぷりと利益を取れます。 こういうのは、世界に
先駆けて承認しても、それ程、健康保険の財政を
圧迫しないのです。
 
また、患者数が少ない薬であっても、
米国は医薬品メーカーが取り上げます。
思い切り、薬価を高く設定すればいいからです。
薬の効能がある、と考えられても、誰も、
開発メーカーとして取り上げない、
こういうのを、オーファン・ドラッグといいます。
(生まれたのに、育てる人がいない、孤児の薬)
オーファン指定を受ければ、思いっきり、製造承認プロセスを
省略でき、開発コスト・期間が短くなります。
出る方を抑え、入る方を上げることで、
米国では十分ビジネスとして成り立つのです。
 
日本でも、オーファン制度は導入されましたし、
臨床試験症例ゼロで承認されたケースもあります。
ただ、薬価については、医薬品メーカーが
好きなように設定することができないので、
もし、赤字になるような薬価になったらたまらない、と
医薬品メーカーは、まず手を出してきません。
本格的な新薬を開発する体力のない
創薬系バイオベンチャーが、
時々、手を出しますが、
全く、ビジネスとしては成立していません。
医療だから、赤字でもやるべきだ、という人が
いらっしゃいますし、当然、医療というのは、
まず、患者さんを助けることが第一なのは
当たり前です。
 
実際、リンパ球バンクは今、赤字なのですが、
一方、赤字では、継続できませんので、
医療といえど、黒字化は重要なことです。 
 
医療機関だって、ずっと赤字だったら、
いつかは潰れてしまいます。 
利益を無視しては、
何も成り立ちません。 
 
利益がいい悪いではなく、
利益のためにやっているのか、
患者さんのためにやっているのか、
立つ位置と姿勢の問題です。
また、いくらなんでも儲けすぎでしょう?
という場合も、議論の対象となるべきでしょう。
儲けたお金をどう使っているか、ということが
重要と考えますが。 
 
 
さて、新薬を認めたら、その分、
他の予算を削るのですが、
どうやってるのでしょうか。
 
 
今日は、この辺りで。
 
 
 

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