藤井真則のブログ

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2015年08月21日

  

えとせとら

2015.8.21.
 
 
米軍は、ハワイ空襲を事前に知っていた
とする説が、根強くあります。
 
事前に知っていてもいなくても、
開戦前から日本占領政策を
練っていた米国と、
戦争を始めたものの
どうやって終わらせるのか、
EXIT に関しては、
NO PLAN だった日本。
日米交渉の推移をみても、
米国が仕掛けたことは
紛れもない事実です。
 
その上での各論としてのリメンバー・パールハーバー
ということですが、まず、よく出てくる話が
米国は、日本の暗号を解読していた、とするものです。
 
実際に、米国に、そんな能力があったのかは、
甚だ疑問があります。 
なぜなら、米国がパープルブックとか、パープル暗号と
読んでいたのは、帝国海軍の暗号であって、これは大変、
複雑なものでしたが、もっと単純な帝国陸軍の暗号については
終戦時に至っても、解読できなかったのです。
ちなみに、外務省は、海軍暗号をよく使っていたため
日米外交交渉に関する本国とワシントンの日本大使館の
やり取りも、解読されていた、ということになっています。
 
帝国海軍の暗号帳の表紙は紫色をしています。
 
米国が、帝国海軍の暗号通信を傍受した上で解読したとしても
では、なぜ、暗号帳の表紙の色まで分かったのでしょうか。
 
一応、米海軍は、
帝国海軍の暗号帳をウェーク島攻防戦の際に
島のすぐ沖合で撃沈された駆逐艦から
入手したとしています。 
ハワイ空襲と同時に、日本軍は、米軍の拠点を
一斉に攻撃しますが、ハワイ、ミッドウェー環礁、ウェーク島
マーカス島、硫黄島、とつないでいけば、米太平洋艦隊の
本拠地であるハワイから、日本本土まで侵攻可能ですし
実際、南方から遠回りする米陸軍を尻目に、
米海軍は、一気に中部太平洋を
西へ進み、日本本土へ迫ることになります。
ここに防御の一手をうっておくことは当然で
ウェーク島にも開戦と同時に猛攻が加えられますが
僅かな米軍守備隊の奮闘で、日本軍は
甚大な被害を被り、その際、問題の駆逐艦も
撃沈されてしまいます。
 
ただし、ウェーク島で暗号帳を入手したとしても
生きて帰還した米兵はいませんし
仮に、暗号帳の回収に成功したとする話が
事実であったとしても、
それは、ハワイ空襲の後になります。
 
 
 
では、米艦隊は、どのような行動をとっていたのでしょうか。
 
結論から言うと、全体的には、怪しいとも取れるという
程度の怪しさですが、空母エンタープライズを中心とする
機動部隊は、確信犯で、ハワイを狙う日本の空母部隊を
待ち伏せ、迎撃した、という行動をとっています。
 
 
戦艦21隻のうち、8隻はパールハーバーに行儀よく
並べて停泊中でした。 
これらは、速度が遅く、空母に
ついていくのは難しい旧式艦です。
その後、高速で、強力なレーダーと対空火器を装備するものの
装甲が薄く、艦砲を撃ちあう殴り合いよりも
空母戦に対応できる新型戦艦が10隻配備されますが、
開戦時には、実戦配備されていません。
 
軽巡洋艦は、開戦時には僅かしか太平洋に配備されていません。
米軍の軽巡洋艦は、ひたすら艦砲をずらりと並べ、レーダー照準射撃で
砲弾の雨を降らせる殴り合いが得意なタイプで、対空火器も魚雷も
貧弱で、開戦時には、対日作戦に不向きと考えられていたようです。
 
重巡洋艦は、火力では軽巡洋艦より劣るのですが、
総合力では優れた点が多く、特に対空火器は強力で
開戦時から終戦時まで、空母部隊の護衛の主役をつとめます。 
パールハーバー空襲時、太平洋に重点的に
配備されていた重巡洋艦は、全て偶然、「出動中」でした。
 
 
問題の空母ですが、開戦時の米空母は、8隻。
うち2隻は大した戦力にならない旧型で
残り6隻の内、太平洋にいた本格的な空母は3隻。
「サラトガ」はサンディエゴにいましたが
「レキシントン」は、ミッドウェー環礁イースター島の
基地航空隊を増強する目的で、航空部隊の輸送任務に
ついていたため、パールハーバー空襲時には、
お留守といえばお留守、ご近所といえばご近所です。
重巡洋艦と駆逐艦を伴った機動部隊を形成しており
実際に、日本の機動部隊を追撃しています。
 
 
一方、潜水艦隊は、多数が「出動中」。
大部隊が、日本の機動部隊の待ち伏せに成功します。
といっても、北方からやってきた日本艦隊に対し
米潜水艦部隊は、南方航路に張っており
日本艦隊の帰路に立ちふさがることになります。
ところが、日本空母の艦載機による空からの
攻撃で、逆に大打撃を受けます。
米軍の潜水艦は、潜水といっても
たまに少し潜ることもできる水上艦です。
真昼間、好天の日に空からみたら
潜水状態にあっても丸見えで
易々と、通常爆弾の爆撃によって
沈められたのです。
 
 
 
一番、問題なのは「エンタープライズ」です。
 
パールハーバー空襲時には、すぐ沖合で臨戦態勢にありました。
徹底した急降下爆撃の猛訓練を繰り返していたのですが
後に、米空母機動部隊の指揮を取りつづける猛将ハルゼー提督は
ハワイが空襲されたとの報に接し、直ちに、
エンタープライズから急降下爆撃機を
発進させ、北へ向かわせます。 
この急降下爆撃隊は、通常爆弾や徹甲弾ではなく、
テルミット爆弾を装着していました。
最初から、数では劣勢を承知の上、日本の空母の甲板に火を
つけることができれば、艦載機の発着艦が不能になり
一気に航空戦力を削げると考えたのです。
テルミット爆弾というのは、アルミ系の焼夷弾の一種です。
以後、米空母が日本空母と戦闘する際、テルミット爆弾を
使用したことは一度もありません。やはり、飛行甲板や
できればその下の格納甲板を貫通し、船体そのものや機関に
損傷を与え、撃沈を狙う徹甲弾を使用します。
結果的には、予想を遥かに上回る遠方から日本機が来襲しており
米軍機は、日本空母がいる方向へ向かって飛んではいったのですが
航続力が届かず、ハワイへ帰還、味方の対空砲火によって
ひどい被害を被ります。 
空を飛んでいるものは何でも撃つ
という混乱した状態で、同士撃ちが相次いでいたのです。
ハズレ、に終わったエンタープライズは、黒煙が垂れ込める
パールハーバーに入港しますので、もし、第二次攻撃が
敢行されれば、攻撃を受けたはずですが、日本は第一撃を
加えただけで、撤退します。
 
 
全体的には、絶対にクロともシロとも言えませんが
一応、役に立つ空母と重巡洋艦は、ちゃっかり被害を
免れるべく行動しており、旧式戦艦は的になっています。
その中でも、ハルゼーのエンタープライズを中心とする
機動部隊は、空襲前に出港し、焼夷弾を搭載して直ちに
反撃し、空襲直後に戻ってきている、と、作戦意図ありありの
動きをしています。
 
 
 
それよりも重要なのは、日本の機動部隊は、米軍の哨戒網に
ひっかからなかったのでしょうか。
 
当然、米軍は、ハワイ周辺の哨戒を行っていました。
ところが、全周360度ではなく、300度のみであり
日本艦隊が来攻した北方60度には、哨戒を行って
いませんでした。このエリアには、ソ連の哨戒艦が
展開しており、実際、二隻のソ連哨戒艦が日本艦隊を
発見しています。 ところが、ソ連は、この情報を
米国には通報しませんでした。
 
第二次大戦の鍵を握る重要な国の一つはスペインですが
もう一つはソ連です。 日本が戦争に巻き込まれていく
重要な役割をソ連が果たすのですが、これ面倒な話ですので
何をやったのかは、別の機会にします。
 
なお、ソ連は、帝国海軍の暗号帳そのものを
入手していました。 
なので、表紙が紫色であることは
もちろん知っていました。 
有名なゾルゲ事件が絡んでいます。
そして、ソ連は、米国に帝国海軍暗号を教えます。

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