藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2019年03月26日

  

免疫

今日ではイタリア料理やスペイン料理においてトマトは鉄板食材の一つとなっていますが、案外と歴史は新しいようです。 この手の話は正確なことはわからないわけですが、概ね3百年ほど、くらいかと。 

 

食べ物については何百万年も同じものを食べ続けるなどざらにありますので300年というのは進化の次元で物を考えれば「一瞬」に過ぎません。 今日、日常的に食べている栽培植物はバナナのケースで3万年? という説もあり、かなり確度が高い小麦で1万年を超える歴史があります。 他にも主だった栽培植物は概ね数千年くらいの歴史があります。 南米原産のトマトの場合はコロンブス等が持ち込むまでヨーロッパには生えていなかったわけですが、大西洋を越えてヨーロッパにやってきてからもおおよそ200年ほどの間、広く食されることはなかったようです。 

 

トマトはナス科の植物ですが近縁種にはジャガイモがあります。 ジャガイモとサツマイモやタロイモはいずれもイモですが、かなりかけ離れた種です。ジャガイモはトマトと同じ仲間です。 ジャガイモにトマトを接木できるので、ならばと両者の細胞を細胞融合し、ジャガイモとトマトの両方が成ることをもくろんでポマトがつくられましたが何度やっても結果は地下部分がトマト、地上部分がジャガイモになり、全く何の役にも立たない代物でした。 種の異なる細胞を融合するのは戦後ほどなく大阪大学の岡田先生が始められ、遺伝子操作などよりかなり古くから行われ細胞工学の基本的な技術として永年培われてきました。ドイツでポマトが作られたのは大学に入る前に新聞記事で読んだのですが70年代の終わりころのことでした。

 

ナス科の植物は一見、弱そうに見えます。根も茎も葉も実や種もどれも特別に硬いわけでもなく一発で食べられてしまうように見えます。 それでも生き延びてきただけのことはあって、強力な化学兵器を駆使して自らを防衛します。丈夫な「毛」から分泌する粘液で虫をトラップしたり、アルカロイド系の神経毒等をまき散らしてかたっぱしから虫を殺すことが知られています。特に傷がついた時には猛然と化学戦を仕掛けるようです。こうしてバタバタと地面に落ちた虫の養分を根から吸い取るので食虫植物の一種とも考えられています。

 

問題はこうした毒が人間にとっても有害なことです。 ジャガイモにガンマ線照射をしないで放置しておくと芽がでてきますが、強力な神経毒を含んでおり大量に食べたら危険です。 ジャガイモは種子ではなく、地下茎にできた腫瘍、つまり病気なのですが、これをとことん大きくし、株植え栽培、いわゆるクローン栽培を繰り返して食べ続けてきました。 大量の栄養を蓄え、簡単に食べられるものには通常、こってりと毒が盛られています。 植物は動く物=動物や昆虫によって「食われてたまるか!」と走って逃げることができない分だけ様々な毒による防御態勢をとっています。

 

南米原産で数千年の栽培植物としての歴史があるのなら、なぜ西洋人が食べようとしたトマトが毒が強すぎてとても食べられない代物だったのか、南米の人たちは毒を食べて苦しんでいたのか、じゃ、なぜ食べてたのか、ぐつぐつ煮るから大丈夫なのか、とここの辺りはよくわかりません。 南米の文明が徹底して破壊され、詳細なことがわからないというか、研究が偏っているのですが、少なくとも何千年食べてきた人々と、いきなり口にする人々では同じ毒に対しても反応が異なる、ということはよくある話です。

 

ヨーロッパの人々は親子どころか数世代、十数世代にわたってトマトの品種改良を続け、毒が少ない品種を作りだし、熟してから食べれば毒が少なく(一般に植物は熟す前は食べられると何のメリットもないので強い毒を盛っています)、調理法にも工夫を重ねました。

 

イタリアには出張で50回以上はいきましたが、あちらで食べる美味しいトマトソースを自分で作ろうとしても中々、味がでませんでした。 日本のトマトは水っぽく、形も球体を少しつぶした形をしていますが、イタリアのトマトは円筒形で色は様々ですが敢えて言えば濃い色をしており、身も厚くて硬く、香味も強いです。 そもそもトマトの品種が異なり、またあまり雨が降らない地域で、畑の表面に水平に広がる茎や葉っぱの合間にぽつぽつと赤い実がなっているという感じでした。日本のトマトは元気いっぱいに見え、正確にいうと葉っぱは元気に見え、実は野生味がないという印象です。水気耕栽培で1万個のトマトをつける巨木トマトとか、イタリアの貧しそうな畑の風景と日本の工場のような環境でつくられるトマトは完全に別物に見えます。 日本でも子供のころのトマトは臭くて近づくのもいやでしたが、最近は耐え難いような匂いはしません。 そういえば子供の頃、つまり今から50年ほど前は子供の多くはケチャップは食べるのですが、生のトマトは嫌いでしたね。

日本のトマトで美味しいソースは無理とあきらめ、イタリア製のトマト缶詰の輸入品でソースを作ったらうまくできたのですが、現地の人は水煮にして保存しておき、いきなり食べたりしないようでした。 なんでこんな面倒なことするの? と聞いても、いやトマトというのは昔からこうして食べるもんだ、という答えしかかえってきません。 保存になるというのはわかりますが。 カプレーゼとか、生のトマトを食べないわけではありませんが、量としてはわずかで、基本的に調理したトマトを食べます。  まず湯に通してから冷たい水に放り込んで浮き上がった皮をむき、種をとってしまいます。あそこに栄養があるように見えるのですが、さっととってしまいます。 それからバジルの葉を加えて30分くらいは水で煮ます。 これを瓶詰にしておいてそこそこ時間が経ったものを使っていきます。

 

皮や種には毒が多いので取り除き、さらに水煮によって毒が抜け、加熱によって毒が弱まり、毒による作用をバジルなどのハーブで弱めるということだそうです。

 

トマトの品種はとんでもない数にのぼり、今日、食卓にのぼるトマトは少なくともアルカロイド系の神経毒についてはほぼ問題なく食べれるはずです。 未熟なトマトを生で皮ごと、種ごと、丸ごとドカドカ食べない限りはまず問題ないようです。

 

ところがトマトの毒としてトマトレクチンの問題は消えたとはいえないようです。品種が多く、様々に栽培条件が異なり、天候や収穫時期の違い、調理法の違いなどにより、レクチンの含量がまるで異なる上に、トマトレクチンといっても種類が多く、一概には言えないのですが基本的にトマトレクチンにはかなりの有害性があります。 水煮で相当、抜けるのでしょうが、レクチンは酸や熱に対しても強い抵抗性を示し、人間の消化器官にとっては極めて難消化性であり、腸内細菌にも分解されにくく、むしろ腸内細菌に害をなします。 特にレクチンを大量に含む豆類の調理は長時間、水にさらし、レクチンの水溶性を更に高める重曹を加えて長時間、煮込み、豆の外に溶かし出す作業が延々と行われます。レクチンは一般的な加熱調理では変性しませんので灰汁抜きをしてきたわけです。 トマトなどのナス科のレクチンはさらに熱に対して強い傾向があり、煮ても焼いても食えない代物、というかそれを食べるから問題なのですが。 

 

レクチンは糖たんぱくの一種で、ほぼすべての細胞にある、というほど普遍的なものです。種類は凄まじく多いです。 アミノ酸の並び方の違いによってたんぱく質のバリエーションはものすごい数になるのですが、レクチンには大量の糖鎖がついており、こちらの種類のバリエーションはアミノ酸とは次元が違い天文学的な数になります。 しかも遺伝子の解析で分析可能なアミノ酸配列と違って糖鎖の構成は遺伝子によるコントロールを直接は受けないので、実際にどうなっているのか大変、複雑で分析も困難です。 細胞表面の先端は糖鎖で覆われ、これが実際の細胞の「名札」の機能も果たしているのですが、レクチンは「名札」に結合する鍵をもつ物質で細胞同士やウイルス、細菌と細胞の認識や結合に大きな役割を果たします。 植物には特に大量のレクチンが含まれていることがあり、植物性たんぱくとはレクチンのことである、というほどドカッとレクチンを含むものもあります。 これが何をしているのか昔はさっぱりわからず、意味もない物質をなんで大量にもっているのか、窒素の貯蔵タンクか、と考えらえていた時期もあります。 その後、植物レクチンの場合は生体防御において重要な機能があることがわかってきました。 つまり昆虫や動物を殺したり、弱めたりする機能です。 神経毒は即効性、こら食うな! という強烈なメッセージですが、レクチンは遅効性、食べてすぐに反応することもありますが、ジワジワと長期的な影響を及ぼしてきます。 

 

トマトレクチンは小腸の粘液分泌細胞には特に集中的に結合します。小腸は粘膜を構成する基本的な細胞が一個ずつ、つまりたったの一層だけ細胞が並んだとても薄い膜ですが、ところどころに粘液やホルモンを分泌する細胞が点在しています。 絨毛の根本にいる幹細胞から分化した粘膜細胞が更に分化しながら先端へ移動し、更にそのまま腸管の中へと放り出され、常に入れ替わるようになっています。1日に1回のペースよりもまだ早いピッチで細胞が総入れ替えになっています。  レクチンの刺激を受けると腸はあわてて細胞の入れ替えを図り、1日に数回も全細胞が入れ替わるペースになることもあります。 そのため未成熟な粘膜細胞が準備不十分で前線に投入されると防御用の複雑な組み合わせの糖鎖の装備が不十分で、病原菌の標的になることもあります。 通常、人間の細胞の糖鎖の基本構造の多くはハイマンノース型、Dマンノースという糖が一つおきに並んだ基本構造ですが、これがモロむき出しになると、そこに有害細菌がとりつきやすくなります。  病原菌の多くはD-マンノースを標的に人間の細胞に近づいてくるのです。 ちなみに結核菌の培養にはD-マンノースという糖が必須で、丸山ワクチン製造用にも使われるGMP準拠のD-マンノースの工場立ち上げを担当したのですが、人間の体内で悪さをする菌を培養するのにD-マンノースを培地に加えるとよく増殖することがあります。 そこで小腸の粘膜細胞は成熟過程でマンノース型基本糖鎖の更に外側により複雑な構造の糖鎖を継ぎ足して防御します。 電気的に細菌と反発したり、ウイルスをトラップしたりする静電気防御ネットを張るのです。 これが不十分な若い細胞は餌食になりやすくなります。   レクチンの多くは粘膜細胞の糖鎖構造を認識してべったり結合し、栄養の吸収阻害を起こしますので、レクチンがとりついてくると小腸では細胞の入れ替えを早めようとするのです。そのため、エネルギーを大量に消耗しますので、折角、食べたのに摂取できる栄養と消耗する栄養のバランスが悪くなり、最悪マイナスになります。  また、粘膜細胞にとりついたレクチンはエンドサイトーシスによって粘膜細胞内に取り込まれ、さらに粘膜細胞の中を通過する形で、体の中へと侵入することがあります。実験データ上は口から摂取したレクチンの数パーセントに上るレクチンが体内に侵入するという報告もあります。 また粘液の分泌細胞にとりつき、ムチン質の粘液で覆われているべき小腸粘膜の粘液が薄くなるうえに、ムチン質を凝集させる作用もあり、小腸粘膜が「スカスカ」になってしまいます。 こうなるとレクチンだけではなく、腸管内の様々なもの、本来、体内に入ってもらっては困るものまでがドカドカと入り込むことになります。 このあたりは多くのレクチンに共通にみられる特徴ですが、トマトレクチンの場合は非常に顕著な特徴があります。 それは血管への極端に強い親和性です。 トマトレクチンはN-アセチルグルコースアミンという糖がが3個、4個以上連続して結合している場合に非常に強く結合する性質がありますが、こうした糖鎖構造が血管内皮細胞の表面にびっしりとあるわけです。

 

血流にのったトマトレクチンは血液が流れている限り、あらゆる血管を巡り、血管内皮細胞の表面糖鎖にとりつきます。 多くのレクチンと同じくトマトレクチンは難消化性で、消化酵素や酸にも耐え、胃酸ぐらいでは分解されません。 また腸内細菌によってもなかなか分解されません。逆にトマトレクチンの一部には腸内細菌のαアミラーゼを阻害するものもあり、ある種の腸内細菌の活動を抑制します。 レクチンの多くが腸内細菌のバランスを崩す作用をもちますが、トマトレクチンの場合も有害な細菌を増殖させるなど、あまり好ましい影響は及ばさないようです。 血管内皮にびっしりこびりついたトマトレクチンはなかなか分解もされず、「取れない」わけですが、「電気的にくっついている」だけですので全く剥がれないわけではありません。 血管の浸透性が高まった部分では、血液成分が血管外に漏れだすのと一緒にトマトレクチンが血管の外へと流れ出していく映像がみられます。 つまりどこまでも体内の奥深くまで侵入するということです。 一般にレクチンは高い抗原性をもち、過剰な炎症反応を惹き起こしたり、動物の重要組織にそっくりの抗原シグナルを強力に発することで自己免疫反応を誘導し長期的な毒性を発揮しますが、トマトレクチンは動物の種を問わずにびっしりと血管内皮こびりつく性質があり、「人間の血管内皮」にも非常に強くこびりつくことまでは確認されています。 その先、具体的にどこまで疾病につながるのはまだまだ研究が必要なようですが、かなりまずいかもしれませんね。 

 

動脈硬化の原因は未だに特定できていません。アテローム状動脈硬化層には大量のコレステロールとカルシウムの沈着が見られるので、コレステロールは体に悪いという説が登場しました。なぜかカルシウムは体にいい、になっているので実はあまり科学的な話ではないのですが。 ところがコレステロールが正常な血管内皮に直接くっついたりはしません。 簡単に言うと糖鎖で覆われた内皮表面はつるんつるんなのです。 魚のつるつる、ぬめぬめした感じも糖鎖がつくりだすものです。 とりつくしまもないわけですが、動脈硬化層には、芯のような異常部分があり、そこからコレステロールなどの沈着が成長していきます。 まず先に血管内皮にささくれのような異常が発生するのですが、この構造的な異常、傷のようなものがなぜできるのかはまだコンセンサスを得られた、これだ!という原因が特定されていません。 長い時間をかけて、ジワジワと進行するものは研究もむつかしく、実験動物を使ってありえないのような過酷な状況で試したりするのですがかなり無理があります。私たちの生活の中では数十年かけてゆっくり進行している疾病がいくつもあるわけで、この原因を特定するのは非常に難しいわけです。

 

トマトソースにすれば問題ないのか、この問題を厳密に検証しようとすると膨大な研究が必要になります。  少し煮たくらいでどうにかなるとは思えませんが。 しかもどこまでいっても腸内細菌の挙動は人によって、そしてその人の体調によってまるで変わり、また何を食べ続けたかによってもゴロンと特性が変わるので、クリアな結論がでることはありません。 ただ、あまりにも多くの自己免疫疾患が存在し、自分自身の免疫細胞が自分自身の重要組織に猛攻をかけるというなかなか説明の難しい現象が当たり前に発生しており、微量であっても見事に血管を染め上げてしまうトマトレクチンの威力を示す血管網の立体画像をみていると、これはかなりよろしくないかも、という可能性を感じます。  

 

とりあえず今は、トマトは食べないようにしています。 

 

トマトが非常に有害であるという決定的なエビデンスはありません。 一方、あの頑丈なトマトレクチンが腸管粘膜を突破する巧みな構造や仕組みをもち、体内に侵入して人間の血管内皮にびっしりとこびりつく理由をどう説明するのか。 何のためにそうなっているのか。  

 

 

 

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