藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2020年10月09日

  

免疫

  新型コロナウイルスは従来の常識を次々に覆すという趣の報道をみかけます。それらの多くは誤解に基くものです。新型コロナウイルスは非常に特殊なものではなく、むしろ、ごくありふれたウイルスとして振る舞っているように見えます。ところが、「ウイルスと免疫はこういうもの」という常識の方が間違っているのです。

 

 

免疫に関する主な誤解を並べてみてみましょう

 

誤解1「一度ウイルスに感染すると免疫ができるので二度目は感染しない」

 

「ほとんどの場合」、ウイルスが感染しても免疫はできません!! ただし、ここでは、生まれながらに備わる自然免疫のことは棚に上げて申し上げています。 一度、感染した人は」、二度、三度と感染を繰り返す可能性があります。 最初から感染しない人は、たぶん、ずっと感染しないのでしょう。 つまり一度、感染した人の方が要注意なのです。一度感染したから大丈夫と思うのは真実と「真逆」なのです。 「多くの場合」ウイルス感染したくらいで免疫システムは大騒ぎしません、それが普通です。天然痘や麻疹(はしか)のウイルスに自然感染すると免疫システムは大騒ぎします。激しい症状を発症し、死亡に至ることもあります。一方、一度、「自然感染」して、つまりワクチンによる人為的な感染ではなく、という意味ですが、「激しい症状を発症」した上で、「生き延びた人」は「生涯、感染しない」と考えられてきました。「病をれる」=免疫を獲得したのです。ところが、ウイルスに自然感染して「激しい急性症状」を伴わなかった場合は、何度でも同じウイルスへの感染を繰り返すものです。風邪をひく人は何度でもひきますよね、あれと同じです。「高熱がでて数日間、寝込んでしまった」このレベルは「激しい急性症状」とは言いません。新型コロナウイルスはほとんどの場合、無症状か、軽症ですので感染しても免疫はできない、「感染する人は」何度でも感染すると考えるのが妥当です。

 

誤解2「ウイルスに接触すると感染する」

 

 もちろんウイルスが接触しない限り感染はしません。接触することは感染成立の最低要件です。さて、麻疹が流行している状況ではどこにいても「空気にウイルスがいる」状態ですので、息をしている限り接触を防ぐことはできません。一般人がマスクをしたぐらいでウイルス粒子を防ぐことは不可能です。しかも麻疹の場合は、ほとんどの人が感染します。「ウイルスに接触すると感染する」これは麻疹に関してはその通りであり、誤解なのではありません。麻疹は「物凄く例外的に驚異的な強さの感染力をもつ」ウイルスが起こす感染症です。麻疹のイメージで他のウイルス感染症を捉えてしまうとそれは誤解となります。インフルエンザも流行中は「空気を吸えばウイルスが入ってくる」状態ですが、ウイルスに接触しても感染しない人の方が多いです。インフルエンザウイルスは感染者の数百メートル以上離れたエリアにも拡散し、長く空中に漂っていますが、新型コロナウイルスは感染者から飛び出したウイルス粒子の多くが半径1~2メートル以内に集中的にボタボタ落ちていきます。この「落ちている塊」を大量に口に入れてしまうと最も感染しやすいのですが、人気の少ない通りを歩いている時に息をしたくらいで感染はしません。空気中にも多少の新型コロナウイルスが分散しているようですが、多くの人はウイルスに接触しても感染しません。たとえエボラウイルスのような強い感染力をもつものであっても、ウイルス粒子が一個や二個、あるいは数百個程度が接触しても、それくらいなら感染は成立しません。感染するには、ウイルス粒子が大量に濃密な塊となっていることも条件の一つです。新型コロナウイルスはよほど濃密なウイルス粒子の塊を体内に吸い込んだり飲み込んだりしない限り、そう感染するものではないようです。そしてウイルスに接触した人の状態によっても感染するのかしないのか、結果は違ってきます。

 

 

誤解3「初めて接触するウイルスだから免疫がない」

 

 元気な人はそう滅多にウイルスに感染しないか、感染したとしても症状はでません。たとえそのウイルスが、人生で初めて遭遇するウイルスであってもです。衛生状態や栄養状態が悪いと多くの感染症が流行しますが、現代の日本において、接触すればほとんどの人が感染するような病原体はほぼ流行していません。

一口に「免疫」といっても様々なタイプがあります。まず、「自然免疫」と呼ばれる生まれながらに備わっている免疫システムがあり、これが感染症防御の基本になります。

「初めて接触するウイルスに対しても免疫がある」のです。

自然免疫は個々のウイルス毎に異なる微細な特性ではなく、ウイルス共通の構造などを認識します。「どんなウイルスか」にはあまり関心を示さないのですが、「ウイルスである限り」排除しようとします。初めて感染された直後は満足に反撃できないものの、一度、感染後、数週間してから反撃したり、同じウイルスが次にやってくる時に備えるタイプの免疫は「獲得免疫」と呼ばれます。こちらはウイルス毎の細部の特徴を認識しますが、実は相手がウイルスであるということは認識していません。正常細胞ももっている超微細な認識番号があり、一部が欠番になっています。ウイルスがたまたまこの欠番のどれかをもっていた場合、それを目印に「攻撃せよ」と自然免疫から指示が出され、獲得免疫はウイルス粒子全体の様子はお構いなしに、ただ単にその認識番号だけを目標に攻撃するのです。 また、獲得免疫は自然免疫が感染症の発生を認識し、出動を促してくるまでは、稼働しようとしません。ウイルスが侵入してくるとまず先に自然免疫が撃退し、それで済めば獲得免疫は反応しません。新型コロナウイルスに接触しても、自然免疫が直ちに撃退すれば獲得免疫は誘導されないのです。自然免疫が大騒ぎをし、なんだなんだ、何が起こっていると、自然免疫に呼び出された獲得免疫システムは、自然免疫から、騒ぎの原因となった病原体の特徴的な信号を示されます。「これが目印だから」と自然免疫の指示によって獲得免疫は攻撃目標に対応する免疫細胞を選び、大量増殖させて特定の病原体と戦う戦力を増強します。

 

 

誤解4「感染したら抗体がつくられる」

 

 私たちの体の中には普段から沢山のウイルスがいます。私たちのゲノムの8%は古代ウイルスが感染し、そのまま私たちの一部になったものです。私たちは想像しているよりもはるかに多種多様なウイルスに日常的に感染しており、ほぼ無症状なのです。ウイルスの大半は病気とは関係なく、そのため存在していることや感染していることに気づくことはまずないのです。稀に、症状がでるウイルスがいます。そして更にもっと稀に多くの人の命を奪う疫病を起こすウイルスもいます。通常、ウイルス感染によって抗体がつくられることはありません。ところが、症状がでるような強い刺激を伴うウイルス感染の場合は、そのウイルスに対する抗体が作られます。新型コロナウイルスの場合、感染者の多くが無症状ですから抗体が作られるケースは少ないと考えられ、実際に感染者中、抗体保有者は非常に少ないことが報告されています。

 

 

誤解5「抗体がウイルスを防ぐ」

 

 実際には抗体はウイルス感染症に対して、あまり有力な防衛手段ではないのです。遺伝的に抗体をつくるB細胞という免疫細胞が十分成熟しない人が生まれてきます。こういう方は満足に抗体をつくれないのですが、それでもウイルス感染症に対してそれほど弱い訳ではありません。ただ、抗体がつくれない人は細菌感染症にはものすごく弱くなってしまいます。抗体は細菌感染症防御では重要な主役級の活躍をしますが、ウイルス感染については主役ではありません。

 

 

誤解6「抗体ができたからもうウイルスは怖くない」

 

 ウイルスに対する抗体ができた人は「要注意!」です。たとえば、デング熱に初回感染した時には重症化率が数%ですが、デング熱ともなれば感染することで抗体がつくられます。ところが、抗体をもっていても二回目の感染も起こり得ます。しかも2回目は重症化率が数十%に跳ね上がるのです。これはADE(抗体依存性感染増強)によるものと考えられています。中和抗体と呼ばれるタイプの抗体がウイルス粒子を包んでも、ウイルス粒子は破壊されません。それどころか、中和抗体をまぶしてあると「中間処理済」とみなされ体内の免疫監視機構をフリーパスとなります。「抗体パス」なわけですね。そして処分場となる様々な細胞に運び込むのですが、抗体は処分工場役の細胞を認識し、細胞内に入り込む鍵の役割も果たします。処理する相手が細菌毒ならまず中和抗体で文字通り中和して体内で作用しないように封印し、処分工場細胞で分解すればそれで無毒化です。ウイルス粒子も多くは処分工場で分解されただの栄養になりますが、稀に、まんまと細胞内に担ぎ込まれたウイルスが、細胞内の製造装置を借用してウイルスのコピーを作らせ、大量増殖して飛び出してくることがあります。こうした現象をADEと呼んでいるのです。

 新型コロナウイルス感染においても、体液中のウイルス粒子が急に減少し、症状が緩和していくのかと思った矢先、一気に重症化するケースが何件も報告され、これはADEによって体液中の抗体が細胞内に取り込まれてしまい、細胞内で大量生産されたウイルスが重症化を招いたと考えられています。新型コロナウイルスに対する抗体をもつ人は少し用心する方がいいのかもしれません。

 

 

誤解7「ワクチンこそウイルス感染症対策の切札」

 

 日本には「ワクチン信仰」が根付いています。感染症といえばワクチンが決め手。そう思う人がほとんどのようです。

感染症法が定める感染症は111種類。一方、実用化されたワクチンは16種類です。感染症法が関知しない感染症もいくらでもありますし、ワクチンには混合ワクチンもあれば同じ感染症に対するものがだぶってカウントされているものもあるのですが、ざっくり、1割少ししかワクチンが実用化されていないということです。 

しかも、呼吸器系ウイルス感染症を予防できるワクチンは今までただの一つも実用化されていないことをご存じでしょうか。たとえば、現在、実使用されている皮下接種される不活化型のインフルエンザワクチンには感染予防効果は認められていません。平たく言うと「効かない」のです。型の予測が違っていた、という話は関係ありません。原理的にも効くはずのないものなのです。不活化ワクチン(ウイルス粒子をホルマリン処理などにより通常の感染ルートでは感染しないようにしたもの)を皮下接種すると、血液の中からあまり外に出ないIg-G型というタイプの中和抗体が作られます。一方、インフルエンザウイルスや新型コロナウイルスは気道や消化管の粘膜細胞に感染すると、細胞内で増殖し外へ飛び出し、他人に染ってしまいます。皮下接種するワクチンでつくらせた抗体は粘膜まででてこないタイプですので、ウイルスと接触することもないのです。「ウイルスが血液まで侵入してきて重症化しそうな場合は血液中の中和抗体が防いでくれるのでは」ということで「重症化防止を目的とする」としています。これは「目的とする」のであって、

 

   重症化防止効果が確認されたのでありません。

   一方、重症化防止効果がないという確認もされていません。

 

 しかも誤解6で紹介したADE=抗体依存性感染増強という現象が起こるかもしれませんので、不用意に血液中の中和抗体をつくると重症化を招くリスクさえあるのです。

 今日、開発に凌ぎを削るワクチンプロジェクトのほとんどが血液中の中和抗体の誘導を狙っており、これまでただの一度も感染予防効果を実現したことのないことを目標にしています。また、従来型のワクチン開発ではなく、新しい技術の説明が目白押しですが、実際には初めて試す技術はほとんどなく、これまで実用化に挑戦したものの、結果はうまくいかなったものが大半を占めています。天然痘や麻疹、あるいは黄熱病に対して、生ワクチンが感染予防効果を発揮し、天然痘は撲滅に成功、黄熱病は撲滅は無理ですが被害者は激減しました。感染予防効果を見事に示したいくつかの「生ワクチン」の成功例があるのは事実です。

 ところが、インフルエンザや新型コロナウイルスに対して生ワクチンは使えません。生ワクチンは毒性を弱めたウイルスを実際に感染させることで、強い毒性をもつ野生型のウイルスの感染に干渉することを目論むものです。インフルエンザや新型コロナウイルスのような遺伝子が不安定で頻繁に変異するウイルスについては、いつ強い毒性を回復するかわかりませんので、大勢の健常者に生ワクチンをうつのは非常に危険なのです。

 過去のいくつかの成功例によってワクチンに対する信仰が広がっていますが、ワクチンは相手によっては不向きなのです。そして新型コロナウイルスはワクチンによる予防が非常に難しいと考えらえる性質のウイルスです。マスメディアは稀にしか報道しませんが、開発メーカー自身が語っているのは基本的に「重症化防止が目的」です。ただし、ウイルスが感染する鼻腔の粘膜に直接スプレーするタイプのワクチンは理に適ったものであり、感染予防効果を発揮する可能性が期待されます。

 

なお、先ほどの実用化されたワクチンは16種類しかない上に、その中には「感染予防効果が認められない」にもかかわらず承認されている(承認取り消しになっていない)ものを含んでいます。

 

 

誤解8「外からやってきた敵を排除するのが免疫」     

 

 細菌とウイルス。抗体は細菌感染対策において主役級。ところがウイルス感染にはあまり役に立たない。感染症であっても細菌とウイルスでは免疫の対応がかなり異なります。 

 悪性新生物(通称、がん)は外からきた異物ではありません。本人の細胞ですから本人の正常細胞と同じ物質でできており、ある例外以外、ほとんどの免疫細胞が反応できません。人気アニメ「はたらく細胞第7話 がん」では、NK細胞だけが、最初からがんの正体を見抜いていましたが、他の免疫細胞はみながん細胞に騙されて、逆に助けてしまったものもいました。このアニメ、ここは正確に表現しています。がん細胞は「デマ」を飛ばして免疫細胞をだまし、騙された免疫細胞を利用して自分を守らせるのです。外から来た異物ではないがん細胞を認識するには単純に「この物質をもっているからがん細胞」とは割り切れず、いくつもの物質の分布バランスや量的バランスの違い、とか簡単に言えば「顔つきの違い」を正確に見抜く必要があり、それができるのはがん退治の専門細胞ナチュラルキラー(NK)細胞だけです。

 では、なぜ他人である赤ちゃんがお腹で育つのでしょうか。受精卵は他人の遺伝子が入っていますから「外からきた異物」の目印をもっています。なぜ、免疫は受精卵を排除しないのでしょうか。それはNK細胞集団が受精卵を包み込み、子宮粘膜まで誘導して着床させているからです。がん退治専門細胞として発見されたNK細胞ですが、まるで異なる「優しい」子守り細胞の一面もあるのです。

 さきほど、ADE(抗体依存性感染増強)を紹介しましたが、抗体がウイルスを守るという現象は実はよくあるのです。免疫には異なる性質をもつ「異物」を保護して受け容れる、これを「寛容」と呼びますが、そんな面もあるのです。

 異性であったりウイルスであったり、異なる遺伝子情報をもつものを受容れ、異なるものが融合することで新しいバリエーションを創造していく、生物の進化に性やウイルスは大きく貢献してきたと考えられていますが、外部かたやってきた異なる性質をもつものを受容れ保護するのも免疫の仕事なのです。

 おたまじゃくしの尻尾の細胞のように、不要になった正常細胞を殺してしまうのも免疫の仕事です。

 

 実は複雑で多様な免疫の世界。

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