藤井真則のブログ

このブログはリンパ球バンク株式会社の社長時代に、会社社長ブログとして会社HP上に掲載されていたものです。ちょうど還暦を迎えるタイミングで社長の責を後任に譲り一時は閉鎖しておりましたが、再開を望まれる方もいらっしゃるため、別途個人ブログとして再掲載するものです。ANK療法という特定のがん治療に関しては、同法の普及のために設立されたリンパ球バンク株式会社のHPをご覧ください。
本ブログは、あまり標準的ではない特殊な治療の普及にあたり、「常識の壁」を破るために、特に分野は特定せずに書かれたものです。「常識とは、ある特定の組織・勢力の都合により強力に流布されて定着したからこそ、常識化した不真実であることが多い」という前提で書かれています。

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2008年11月03日

  

免疫

新型インフルエンザの脅威が叫ばれています。
一番よく売れている作者が書かれた本に
「新型ウィルスに対して、人々は免疫をもたないから
大変なことになる、、、。」

これは全くの間違いとはいいませんが、不正確というより
間違いに近い、です。

私たちは、どんなタイプの新型ウィルスであっても、初めて遭遇する
相手であっても、ちゃんと働く免疫力をもっているのです。
問題は、免疫力とウィルスの感染力とのバランスです。

インフルエンザウィルスは、何百万年も前か、恐らくそれ以上、
遥か太古の昔から存在しているでしょう。(厳密に証明することは
できません) 私たちの身の回りに昔からいくらでもいるのです。
もし、ウィルスが原因で病気になるなら、そして、初めて遭遇する
ウィルスに対しては、免疫が働かないならば、私たち人類は、
とっくに絶滅していたでしょう。 過去、インフルエンザが最も
猛威をふるったのは、スペイン風邪ですが、この時は、第一次
世界大戦の真っ最中だったのです。 人々が尋常でないストレスを
受け、精神的、肉体的、衛生的にも非常に困難な状況にあった時です。
現代も、異常なほど沢山の方が、がんで亡くなってしまわれるのですから、
インフルエンザに限らず、深刻な疫病が大発生してもおかしくない
状況なのではないでしょうか。 がんに罹る人が極端に多いということは、
それだけ、免疫が低下しているとも考えられるからです。
その意味でも、パンデミックフルーは差し迫った確率の高い脅威でしょう。

とはいえ、新型ウィルスに対して免疫がない、というのは明らかに間違いです。

私たちは、常時、無数のウィルス粒子に接触しています。
それでも病気にならないのは、強力な自然免疫が働いているからです。
例えば、指先からは、大量の強力なRNase (RNA分解酵素)が分泌
されています。 この酵素は、RNAウィルスの遺伝子を片っ端からたちどころに分解してしまいます。 他にもDNaseや、様々なプロテアーゼ(蛋白分解酵素)やリゾチーム(これはウィルスというより、バクテリアの細胞壁を分解します)等など、あっという間に、ウィルス粒子やバクテリアを分子レベルにバラバラにしてしまう酵素が守っているのです。唾液や鼻の粘膜、涙なども強力な各種分解酵素を大量に分泌しています。これらの酵素は、全身、どこにもありますし、体の中にもあります。ウィルス、特にRNAウィルスは、人間の体に接触すると非常に不安定なのです。 元気な状態であれば、この自然免疫の最前線の酵素群が強力に働き、初めて遭遇するか否かに関係なく、ウィルスの感染から、私たちの体を守っています。元気がなくなると、酵素の分泌が減ったり、また粘膜が弱くなったりして、感染を招き易くなります。 あとは程度問題で、普通のインフルエンザウィルス程度なら、弱っている人以外は、感染が成立しないでしょうが、エボラウィルスとか、高病原性インフルエンザなど、感染力が強いウィルスの場合は、少々、元気な人でも感染を許してしまう確率が高くなります。エボラウィルスの場合、強いタイプのものなら、たった2000個のウィルス粒子に接触しただけで、殆どの人が感染すると考えられていますが、それでも、全身、感染者の血液を浴びても、平気な人もいるのです。ウィルスの型と、その人の細胞の型の相性の問題もあるのですが、自然免疫が強く働いている人ほど、未知のウィルスであっても感染する確率が低いという傾向はあります。

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